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第四十五節 味方のふりをした敵

前回のあらすじ

よお、心の友よ!

俺の心に巣くう悪魔を、振り払ってはくれないかい?

え、無理? 

じゃあ、巻き込まれたくないからアデュー!




 〝タントウ”をだらりと持つ、愛情表現が傷つけることと行動で示している。


 それは小首をかしげ、目に感情がない。はっきりした恐ろしさが、俺を胸いっぱいにした。



「さて、混乱してもらいたいので結構壊しましたが、まだまだ足りないですわね」



「濃姫、いったいどうして⁉」



「どうして、とは? 私の行動理由はいつも信長様のためですよ?」



 まさか前に話していた、世界に俺を認めさせるためにやっている?



「俺は、こんなことを望んでいない! みんなに謝ろう。俺も一緒に謝ってやるから、だから」



「もっと無茶苦茶にしましょう、ねえ、信長様ならできますよね?」



 “タントウ”を俺の方に構える、俺以外には、ナマクラにしかならない刀を。


 言いたいことは単純だった、俺に、暴れることを望んでいる。



「さあ、選んでください。ここで死ぬか、またはたけり狂って生きながらえるか?」



 死の恐怖が俺の足を震わせる。そうなんだ。濃姫と仲良くなりたいと思っていた。だけど、


 同じくらいに彼女が怖いという思いが膨らんでいっていたのだ。今、理解した。


 仲間を守ることよりも俺は俺のために刀を振り回している。たどり着いた答えは、少し空しかった。


 手を真横にやる、空間に裂け目から出てきたのは一本の炎刀。


 彼女の夫、織田信長が所有していた実休光忠。でも力なさげに炎が揺れているのは気のせいだろうか。



「濃姫‼ 俺は今回、裏切りの条件が弱い。力が出てないのはお前も分かるだろ⁉」


 刀をお客さんに向ける、でも持つ手がカタカタと震えてしまっていた。


 本当にこれで正解なのか迷っているからだろう。ただ、甘い道に進んでしまっただけじゃないのかと自問自答していた。



「だから、どうしたというのですか? 一から新しく作り直すわけでもない、別に壊すのにそこまで力入りませんわ。……人を殺すのも、同じです」


 ゾッとする声、“タントウ”が喉を掻っ切ろうとしている、そう俺に想像させるには十分すぎる言葉だった。



「くそぁぁ!」



「きゃああ‼」「たす、助けてくれ!」「ママ~!」


 俺は、備え付けられているソファを横に裂いて、クレーンゲームの中身をぶちまけるためにガラスに刀を叩きつける。


 無我夢中に振り回していた、死が迫るほど、まだまだ生きていたいと感情が爆発していしまい更に力がこもった。


「落ち着くんだ丈君!」


 ビクッと濃姫の殺意が更に高まった‼ 俺の弱い心を締め付ける。


 ガチン‼‼


 鍔迫り合いになる、俺とキリルの炎刀と剣。


 実休光忠とクォデネンツが拮抗している、ように見えた。


 ギリ、ギン!


 お互い力をこめて距離を取った。



「すげ! 戦国武将の刀と神の剣がぶつかり合っている。現実に起こることがない、現実!」



「ふう、お互いレベルが低い戦いだね。僕は本来用意周到に準備してからじゃないと力をだせない。スピードを求めすぎたかな?」



「大人しくしていてくれよ! 俺は誰も、傷つけたくないんだ!」



「テレビで見ていたけど、その言葉嘘だよね。君は、大を取るために小を軽視するきらいがあると思うよ。超武戦のとき味方に手をかけたのがいい例さ」



「うるさい! だったらどうすればいいんだよ⁉ 俺は濃姫に勝てない。言うことを聞くしかないんだ!」


「これからずっとそう言って逃げるつもりかい! もっとほかの手段を探そうとしなければ、ただ少し賢いロボットと同じだ‼」



「知ったような口を利くなぁああああああ‼」



「知っているから、君の奥底にあるどんなものにも負けない可能性を無視できないんじゃないかぁ‼」



「止めてぇ、これ以上おばあちゃんの居場所を壊さないでぇ!」



「‼ 駄目だ、来てしまっては!」


 涙を流しながら、刀と剣のぶつかり合う中心点で俺に両手を広げる幼い、女の子。


 ふっと殺意が、濃姫が弱めた? 勢いを弱める余裕が生まれる。



「くぅ!」



 クォデネンツを手放し、女の子を離さまいと包み込むキリル。



「がぁ‼ うっ!」


 斜めに切られた背中が痛々しい。キリルはその場で荒い息をしながら、女の子を逃がそうとしていた。



「早く、くぅっ」



「お兄ちゃん、ごめん、ごめんなさい!」



「いいから!」



「う、うん!」



 走り出す女の子。もう、戻れないかもしれない。



 べっとり付いたキリルの血、それが、




 俺が初めて人を殺す意思を持った証に見えた。


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