第三十九節 不意
前回のあらすじ
とびきりの豪運を見せつけていく世良。
彼女と共に表向きはダブルデート、しかし俺だけは裏で転校生の素性を調べることになった。
濃姫と距離を縮める暇はないかもしれない。
それでも、姉貴に心配されないために出来るだけ頑張ろう。
この学校にはいろいろな建造物がある。
もっともらしくいったが、少し違うな。正確にはいろいろな施設が建設された。
学校本来の教室や、運動場、体育館などは最初からあった。しかし、後に女性が超能力を持つようになると上昇志向の高いお嬢様たちが多くの県ででてくる。その受け皿として自然と集まった学校がこの高校だ。
だから建造物ではないが今でも多くの物が造られている。『人造湖』だったかな? それもそのうちの一つだ。
なんのために? しらね。彼女達もこの峰空に歴史を作ろうとしている、いいじゃないかそれだけで。
「訓練場は学年で分かれているわ。進級すればするほど、お金がかかっている訓練場になるらしいわよ」
「そうなんだ……、実は僕、結構訓練中に壊してきちゃったんだよ。意味ある訓練にするためにも、どうにかして上級生の訓練場は使えないのかい?」
「無理ね。許可されているはずなのに使用できない場合があるらしいし、色々しがらみで難しいのよ」
しがらみって、似合わないな。お前はそれを無理矢理叩き潰してきただろ?
見学に来ている二年生の訓練場、鍛えている上級生をみて世良とキリルは話しながらも目を輝かせていた。
二年生の力は≪超武戦≫で少し観戦している、はっきり言ってしまうと団体戦に強い学年だ。
掟破りの一年、チームの二年、個の三年。それが今の学年の特色。それを理解しているのか、二年生のチームプレイはずば抜けて凄かった。
今も三人協力して、三人分、いや五人分ぐらいの火炎弾を放っている。
へえ~、あれのやり方、教えてくれるのかな?
つまり、この学校に来てやっと超能力の効率がいい使い方の一端を見れた、それで世良は興奮しているのだ。
俺、もちろん俺も興奮しているよ。この学校で学ぶことが、俺が一年生に出した特訓を更に良いものにすると思うからな。
キリルの方は、日本独自の超能力使用法を面白く思っているのだろうな。
彼は訓練場で鍛える複数のグループに目を行ったり来たりさせていた。
グループか、そう二年生は、ただ少し、悪い決まりみたいなものがあるんだ。
それは、それぞれグループが乱立したため、変な掟みたいなものを強制されるところである。
何気なく入った俺と同級生の女子生徒も、あまりの窮屈さに嫌気がさしたため抜けようとしたんだ。
でも、抜けたいといったと言った瞬間、態度が豹変したらしい。
これはグループから外れたら虐められる、そう思った同級生は俺に助けを求めてきたよ。
まあ、俺はなにもしていないけど。ただ名前を貸してくれればすべて解決するって言っていたし。
「僕たちの国では強い人の意見が通ることが多いけど、それはこの国では違うのかい? 例えば、今からここにいる二年生を倒したらこの訓練場を使わせてくれないかな?」
お~い、物騒だぞ~。次の場所行くから忘れろ~。
「学校で強い人となると、≪生徒総会≫で≪序決≫上位になるしかないわ。あなたに対して姉様がどうするかわからないけど、まだその機会はないの。それに二年生を敵に回すのは止めといた方は良いわよ。だだでさえ、≪序決≫の1桁は二年生が多いし、それも、噂では実力で勝ち取ったというより――」
「危ない‼」
世良に飛んできた火炎弾を身を挺して守るキリル、え?
「ち、外した!」
外した? 狙っていた、だと。
「あら、私の勘違いではありませんでしたか。どうも血の気の多いトレーニングだと思っていましたの」
〝タントウ”を構えた濃姫、彼女は周囲をうかがっている。
いつの間にか、どうして、出口以外の方向を全て、囲まれていた。




