第三十七節 ドロドロ
前回のあらすじ
真智VS世良 ファイトぉ!
決着はNASI! ついでに俺もとばっちりぃ。
なぜ?
一学年トーナメントは、真智の危険行為で世良が優勝することになったらしい。
で、くじ引きが一年生の先生方が中心の職員室に置かれ、いつでも引きにこいと説明があった。
でも――、
「私? 行かないわよ? だって、自分の実力が知りたかっただけだし」
「なんだよもったいない。引くだけでも引いて来いよ。折角の景品だぞ?」
「なによ? アンタそんなに私と転校生をデートさせたいの?」
俺を睨んできた。世良はどんどんイライラしていく。気持ちのなにかを、吐き出したいといっているようだ。
違う、違うんだ。本当はお前に、そばにいて欲しいからなんだ。
そういったら、まず間違いなく殴られると思うので言わないけど。
「そういうこと、私に濃姫さんとのデートを見せつけたいと?」
「見せつけるも何も、あいつは俺の刀でそれ以下でもそれ以上でもないぞ!」
「嘘ね、私知っているんだから!」
な、何をだよ?
「最初、疑問に思っていたの。どこか、見たことあるな~って。でも、さっき思い出したわ! アンタが自分の家のベット下に隠しているエロそうな本に書かれていた人じゃない!]
おま、あれを見たのか!
それは超能力理論を開発したとき、自分はどんな能力なのか調べるために持っていた、研究資料です! 決してやましい思いはないぞ!
俺が古本屋でおすすめを聞いたらそこの店員さんが『ふふふ、あなたに、これが、ベスト』と言われて半額で買うことが出来た商品なんだ!
お金もなかったし、仕方がなかったんだよ! それに、こ、後悔はしていない!
それで濃姫が載っていたのも偶然なんだ!
「今頃、ベットの下にエロ本を隠すのも大概だけど。余りの妄想に自分の超能力でさえも味方するなんて。良かったわね、このロリコン‼」
「ぐはぁ!!」
ウィナー、世良! 丈選手、ドロップアウトぉぉ!
もうだめだ。このまま何を言っても、俺のレッテル付けがさらにひどくなるだけだろう。
助けてくれ。だれでもいいから。
「見て、真智会長よ、あの『丈様をきちんとわけあい隊』の!」
「あわわ、隣は三年経営学科の実質ナンバーツーです!」
さーっと人込みを端に移動させて、俺が歩いている廊下の逆から良くわからない組織がこっちに向かってきた。
って、問題児扱いかよ真智さん。
「こんにちは、世良さん」
「おはようさん、世良はん」
「……、いったい何ですか? 今忙しいんですけど」
「ごめんやす。実は、提案に来ましたえ」
「それよりまずは、優勝おめでとうございます」
「おめでとうさんどす」
二人は頭を下げる。ちょっとした丁寧な対応に、思わず世良は頭を下げた。
「あ、ありがとうございます?」
「世良さん。あなた、目的は達成したから引きに行かないそうですね」
「そうだけど」
「では、買い取らせてくれる?」
『は?』
俺と世良は疑問符が頭の上に出てくるかと思った。
「実は生徒会に苦情がえらい入ったようで、『二年三年にはデートのチャンスすらないのか!』 と」
「それを重く見た生徒会は今回に限り、『ハグ』ポイントという架空の通貨での商談を許可するそうです。つまり、生徒会、経営学科、それと私達の団体が合同で運営することになりました」
「お金にも使いようによってはできはり」
「ちょ、ちょっと待って。お金⁉ な、なんなのよ『ハグ』ポイントって‼」
「私達が作った丈様の利用権利だと思って。それに目を付けた先輩がこのポイントに価値をつけようとしているの」
「え、ちょっとまってくれ。俺はそんなものを許可した覚えはないぞ」
怖い怖い! 世良さん、そんな目で見ないでくれ!
「だから使わないなら欲しいのよ。それで、『転校生の見えないところで丈様とドロドロとした関係を』っていう層もいるの」
「うん、ん?」
カーッと熱くなる世良の顔。想像力で爆発しそう。ぼーっとした表情に真智と先輩は何度も分かりやすいようにどれだけ意味があるかを説明している。
「だから、よろしゅうお頼み申します」
ボン‼‼ あ、れれ? 世良の目はぐるぐると回っていた。
「私は、引きに、行くわ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼ 悪ふざけしているあんた達に、丈を渡してたまるもんかぁあああ‼‼」
え~、という周囲の落胆が聞こえてくる。
あのさ。え、と。公衆の面前ではっきり言うのは止めてほしいな~、なんて、うん。




