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第三十四節  二人

前回のあらすじ

俺は、転校生の素性を調べることをお願いされた。

探偵でもないのに、情報を持って帰ることができるだろうか?

その中でふっとわいた前からの疑問、

その答えは、さらなる疑問を呼ぶだけだった。




「さ~て、みんな大変お待たせしちゃった! 昨日話した通り、朝のホームルームは転校生を紹介しま~す!」


 待っていた! これで私達と他のクラスとの剣神様の奪い合いが少し落ち着きます と、ほとんどのお嬢様達は妙な落ち着きを持ったまま、少し高まった感情を表に出している。


「しかも~、今日は事前に伝えたときとは少し違ってぇ、転校生が二人いま~す!良かったな~君達。切磋琢磨する仲間が増えるぞ~! では入って来い~二人とも~」


 あの、長谷川先生。転校生ってそんなホイホイ来るものなんですかね? もうこの五月で三人ですよ~。て、言ったら今の空気を壊してしまうだろうか。みんな嬉しそうだし。


 まさか、競えることがうれしいわけじゃないですよね⁉


 トコトコと歩く真っ白な峰空の制服である彼女、それと自信に満ちているカツ、カツと歩くスラリとした俺と同じぐらい身長がありそうな、セミロングの青い髪である少年が出てきた。


 女の子の方には見覚えがあった。ていうか。


 お前、そんなところにいたのかよ。どおりで気持ちいい朝だったわけだ。



「皆様、おはようございます。信長様、今の名前は方後丈様の妻である、濃姫です」



『は? ふざけるな! 彼はみんなものよ!』


 間髪入れずにヤジを浴びせかける。



 待って、俺をおもちゃみたいに奪い合うのはやめてぇ! 少しさあ、落ち着きのある言動をしてください!


 ほら、転校生がびっくりしているだろう。でもこれは、お前も避けては通れないだろうがな!



「あは、は……。始めまして。 ロシア来ました、キリル・ヴァイマンと言います。男性ですが、仲良くしてください」


「ふむ、ありですね」「サラサラな青髪、いいですわ!」「これは、文化祭が楽しみですね」


 ゾク、っと俺はなぜか悪寒が走った。


 な、なんだ? 文化祭って、俺はなにをやらされるんだ⁉


 なぜか、転校生よりも重大な話に聞こえたぞ。



「濃姫さんは昨日会ったことがあるから紹介は後でいいね、では最初、ヴァイマンさんからどうぞ~」



「はい、私の母は由緒正しきヴァイマン家の本家出身で、歴史上超能力を持っていたのではないかと言われている家系です、自分はその息子ですね」



「知ってる~! 国に絶大の信頼を置かれてて、その家系は特秘固有超能力を女性が引き継いでいるって~」



「そう! 彼はなぜかそれを男性で引き継いだらしいの。でも、あんまり込み入った話は聞かないであげてね~」


 俺と一緒で苦労したらしい、それを滲ませている雰囲気をしている。


 それと陽キャのオーラを醸し出して、これは、分からせないとな。


 お前、途中から入ってきた、つまり、女性の態度を軟化させた俺に感謝すべきである。


 よって、俺と友達にならなければならない!


 いや、分かっているよ? 素性を調べないといけないことは。


 でもそれよりも、このアウェー感満載の学校から遠慮しない男子としての会話仲間が出来た!


 男子生徒万歳‼ 今は、それを喜ぼうじゃないか!


「少し君達からずれているかもしれないけど、この学校にいる、ええと、方後君? よりも、温かい目で見てくれればうれしい。よろしくお願いします」



「はい、質問!」「私も」「僕も」


 次々と質問が投げかけられる。俺の時は感じられた緊張感は全くない。



「転校生の好きなタイプは何ですか?」



「そうだね。年上の人かな?」



「ふふ、意外と甘えたいんですか~」



「じゃあ、ええ、ええと」


 彼女達の質問は途切れることはない。転校生は答えるのに必死だった。



「はい、時間もないのでここまで。次、濃姫さん」

 

 彼女の話を聞く必要はあまりないだろう。俺は聞いているような顔をしながら、転校生をじっくり観察していた。


 細身な体、足は長く、中性的な顔立ち。


 見た感じ、執事の服を着させたら右に出るやつはいないだろうと思う。


 それに、腰に差している聖剣、だろうか? を携帯しているのを見ると中世から出てきたようでかっこよさ倍増だった。



「さて紹介も終わりましたし、濃姫さんの問題発言は方後さんが後で処理するとして」



 ん? いつの間にか、俺に苦労事が積み重なってね??



「皆さん、お待ちかねです。この前話したヴァイマンくんとのデートの説明、始めますよ!」


 くじ引きの箱が見えた――あと、空気が、張り詰めることになる。





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