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第二十二節 仲間への攻撃

前回のあらすじ

超武戦で作戦会議をする俺達。

交わるのは世良と、俺、同じクラスの生徒、リクだ。

さて、絶対に勝ってみせる!

会場の中心に広がる森、ゴツゴツした岩場に立って見下ろしている俺は、少し怖くなった。


 黒を基調としたピシッとした服だったのに、それが赤迷彩に変わった草原に陣形を整えている武衛大の隊員。


 そして、理論を過去に持っていく前の時代では考えられない装備がきれいに並んでいた。


 歩兵隊の後ろに戦車、その後ろに対空兵器、空には軍用ヘリコプター、一番後ろには情報収集用の車もある。あれ全部高校生基準で致死性が低いらしいよ。金かけるところ、間違ってないか?

 

これで人が死んでいないっていうから、マジですごいと思う。




『ではこれから、目標防御戦を始めます。開始してください』



 ウゥゥゥゥゥゥゥぅゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ。



 サイレンが鳴った。それの直後、



 こちらが陣地を整えている岩場に、武衛大からミサイルが放たれる。



「陣形整えて! 迎撃!」



 先生達も助言はした。でも、基本的なことは彼女達が考えた。



 この陣形を組むことも彼女達が考えたものだ。



 俺の基本論を参考にしたらしい。つまり創造隊(かわいい子たち)次元隊(カッコいい子たち)起点隊(調子よい子たち)というグループに分け連携すること、そしてそれの各リーダーが指示を出す。


 今の迎撃発言は創造隊だ。



 彼女らの戦い方は魔素というエネルギーを作って貯めておき、現実にある物を作り出す。


 風や、火、水などを生み出しミサイルに向けて放つ力!


 不意を突かれた形にはなったが安定した大きいエネルギー弾、威力も申し分ないものが出来た。



 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドン!!!!!!!!!!!!!!!!



 空中で爆ぜるミサイル。迎撃成功だ。



「やった! この前だったら力を合わせても落とせなかったよ‼」



「私達、成長してる!」



 抱き合う峰空の生徒達。心の底から嬉しかったようだ。



「教官補佐、撃墜されました!」



「なんだって⁉ 今の峰空の一年では威力を削ぐことしかできないはずだ! もしかしたら、そのままあっけなく勝負も終わっていたはずなのに!」


 相手の会話は筒抜けだ。これは、次元隊かな?



「予想するに、あの男子生徒の影響かと」



「ふん! 頑張っても無駄なことはいちばんわかっているだろうにね」



「次はどうされますか?」



「部隊を目標に接近させろ。そこからゆっくりと制圧してやれ。連携なら、こっちのほうが一枚を二枚も上手だ」


「分かりました!」



 部下が指示を伝えようと、無線機に手をかける。



「くく、私達にとってこの戦いは通過点に過ぎないんだ。精々無様に踊ってくださいね」


 傍受した情報には連携の詳細が聞こえてくる。もちろん、少し難解な暗号になっているが委員長に渡したリクからのメモにより俺達には何をしてくるのか、手に取るように分かった。



「次元隊リーダー、どうしますか?」



 委員長が次元隊の通信で意見を聞いてくる。

「いい度胸じゃない! こっちはその連携ごと叩き潰してくれるわ。起点隊は薄くなった防御をお願い!」

「おけー」


 起点隊というのはちょっと特殊だ。何もない所からモノを作り出す能力といったらいいのだろうか。創造隊に似ているがその力はよくわからない部分も多い。


 てか、俺は一番危険な能力って説明したよね? 過程がそもそも存在しない力だからってさ!


 それを委員長の守りに使うって、どういうことだよ⁉ 一番安全な次元隊に変えてくれ!


 と心の中で思っている間に、森の方で次元隊と武衛大が接触する。


 相手はレーザー銃を所持、それが峰空生徒の胸に当たると死亡判定だ。 


 空にはぐるぐると旋回しているヘリコプターがいる。


 煙幕を撒き始める。混戦がやりたいらしいな。


 同時に相手は遠くから木々に姿を隠して射撃を始めた。それに、うちの生徒は反撃出来るか?



 答えはイエスだ!



「な、なんだこれは?」


「締め付けられる!」


 武衛大の生徒が突然現れたつるにがんじがらめにされて苦しみだした。人それぞれの座標で、ピンポイントの攻撃‼


 これが次元隊の特徴、それは空間的能力と言ってしまえばわかりやすいだろう。簡単に言えば範囲攻撃と同じものでその場所に入った対象全てに攻撃を加えることが出来る。


 煙で見えないとか関係ない。一人ずつ隠れていた武衛大のメンバーが倒れて横たわる。気絶しただけだから体に悪影響はないだろう。



「いけいけぇ‼ 仲間の突撃を無駄にするな!」


 おいおい、連携を潰されたからって戦車で木々を薙ぎ倒してきたよ。


 火砲で委員長に狙いを定めながら、歩兵が作れなかった道を切り開いてくる。



「着実に戦線を押し上げ一か所にまとめるつもりだな。厄介な」



「こーち。私に考えがある」


 小柄な起点隊リーダーが話しかけてきた。その目は爛々と輝いており、早くしたいと訴えかけているみたいだ。



「なんだ。いってみろ」



「倒れているじえいたいの人、戦車に踏まれるかもしれないしだいじょぶじゃないでしょ? 彼らに働いてもらおうよ。にくかべとして」



 ええ、なにその私は良いことをしますと言っておきながらの非人道的な考えは?



 別に倒れている人は安全だよ? 金山先生達が回収してくれるよ?



「いいね、それ。やろう」



「私も賛成です」



 次元隊と創造隊も賛成しちゃった。ダメだなこりゃ。俺がいくらいっても変わらないだろう。




「よし、やる。それで、にくかべが倒した人もこーちのワンツーマン訓練にさんか出来る評価数に入る?」




 え、なにそれ? 




「はいはい! 私語は謹んでね! さあ、動いてくださいな?」


 委員長。お前ら何か隠しているだろう!


 見える、あとで『コーチ私達頑張りました! なので差し入れとかありますか?』と聞いてくるつもりだっただろう⁉


 どうしてその差し入れをするのが当たり前な先生の対応をしないといけないんだよ?


 その目は何だ? バレてないよね? みたいにチラチラ見て。

 

しょうがない、か。俺は大人だ。いいだろう。


「分かった。これに勝ったら、好きなだけ俺のことを使ってくれ」


「創造隊‼ 最高出力の攻撃準備‼」


「森に隠れている敵全員、眠ってもらいなさい! 四次元フィールド拡大‼」


「わたしたちは確実に、だよ。防御ポイントうま~」


「く、私も参加しておけば……。委員長だから話に噛まなければ逆に評価が上がると思ったのに」



 あれ? なんかまずいこといったかな?



 もちろん、専属で鍛えてやるといっただけなんだけど。



「あなたはろぼっと、日頃の同級生のうっぷんを晴らすきかいをやる。好きなようにしなさい」


 次元隊が起点隊リーダーを護衛し、倒れた武衛大の生徒を【人格操作(マリオネット)】で味方に変えていく。


 更に凄いのは創造隊や、次元隊が鹵獲したヘリコプターと戦車を彼らが乗りこなしてしまったことか。


 彼らがその連携で戦線を広げてくれる。相手は仲間を攻撃するのに躊躇していた。



「退避、退避―‼」



「馬鹿かお前達‼ ここまでラインを下げてくるな!」


 草原の端で、無線機を奪い取った教官補佐が怒鳴り声を上げる。


 もう俺達は森から草原へ、足を踏み入れようとしていた。


 草原に入ったら隠れる場所、遮蔽物はない。


 創造隊はこんがり本部ごと燃やす構えに入っていた。



「もういい‼ お前達には失望した。総員支給されたものを急いで投げろ!」



『はっ‼』


 苦し紛れに投げられる丸い球、テニスボールか?



「なんなのあの数⁉ 防ぎきれない!」



 創造隊が必死に撃ち落そうと防ぐも何球か仲間の近くに落ちる。でも、何も起こらない。


 気になったメンバーが恐る恐る拾ってしまった。それを、それぞれのリーダーを通して後ろにいた俺達の元に持ってくる。



「なんなのこれ?」



 学級委員長が首をかしげる。内容が意味不明だったのだ。



『方後丈、仲間を全員戦闘不能にせよ』


 はは、ついにきた。これを伝えるためのテニスボールだってことか。


 案外、下手な戦略よりもよっぽど怖いな。



「委員長」



「はいコーチ!」



「これから俺は敵になりお前たちを倒す。遠慮はいらない。思う存分力をぶつけろ」



「こ、コーチ?」



 俺は実休光忠を召喚、一気に前線まで走り抜けた。


 そして次元部隊の前に立つ。



「コーチ出ないでください! あなたは最終兵器なんですから!」


 刀を地面に刺し大きな声を張り上げて告げる。



「峰空の生徒達、これから俺は敵だ! 迷わず攻撃しに来い! 最後のテストだ‼」


 いきなりの裏切り発言。もし俺が敵側についたら、攻撃されるよりも被害が甚大になるとわかって青ざめる人もいる。


「う、嘘でしょ? 武衛大に味方するなんて?」


「……やっぱり男は最低、あいつも例外じゃない!」


「恩を着せといてさ、ぶっ殺す」


「待って‼ なにか、あるのでしょう?」


「きっと裏があるはずだと思う。でも、あの剣神様なら大丈夫よ!」


「そう! 私達が今やらないといけないことは、剣神様に答えること!」


「いっちょ、やったるか~‼」



 いいぞみんな。時間を稼いでくれ!



 それに気が付いた。



 仲間だと嬉しかったが、これが敵になるとこれほど恐ろしいことはない。



 でも手は抜かない。武衛大も見ている。しかし、





 こんなに心躍るのは自分も戦闘が好きになってしまったのかね?



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