第二十節 作戦会議
「詳しく話を聞かせなさい‼」
学校から帰った家の自室で待っていた世良は開口一番そう言ってきた。前みたいにずけずけとした態度。
いいぜ、そのほうが話しやすい。
「姉貴達と開催したパーティーの最中武衛大が乗り込んできて、俺の友達や姉貴達を連れて行かれた」
「何しているの? 私が行っていればそんな奴ら一網打尽だったのに、使えないわね」
「わかっているさ。でもこれから全て取り戻そうと思ってる。協力してくれるか?」
彼女の顔は怒りと嬉しさが同居していた。何かが変わったのだろうか。普通なら姉貴を連れて行ったやつをクズと同じ表現をして歯止めが利かないのに。
「何かうれしそうだな」
「え、いやその……。ごめんなさい。少し調子に乗っていたかもしれないわ」
おいおい、またそんなテンション下がる声を出すなよ。
「もしかして、遂に自立の兆しが来たのか! あの姉様姉様いっていたやつが」
「アンタ、私と姉様を親子と同じと思ってる?」
あ、嬉しさが怒りにすり替わってる。いいぞ。もっとだ。
「忘れないで! アンタなんて大嫌い‼ 味方になるのも今回だけだからね‼」
それでこそ世良だ。しおらしいのなんて似合わないぞ。
「そうか、安心したよ。では作戦を説明する」
「は‼ 何でも来なさい!」
ちょっとした緊張感。ごくりと唾を呑む音が聞こえる。
「世良には、姉貴の救出をしてもらいたい」
「そうなるでしょうね。で、今から行けばいいのね?」
「いや、取りあえずはまだいい。反撃するのは超武戦当日だ」
世良の目が厳しくなる。納得いかない顔だ。
「なんでよ? もちろん理由があるのよね」
「人質といっても相手は国の機関、手荒なことはされないだろう。それを逆手にとって超武戦で人手が足りない時に助けだす!」
「ふ、ふ~ん。確かに。こっちは一人だし、確実に救うならそれがいいわね」
そう、今の俺は思うように動けない。武衛大の監視が付いている可能性がある。
そのことを踏まえれば、部外者の世良に監視はついていないだろう。ここに来た時もその超能力を使って細心の注意払ってもらった。
彼女の能力【円定理】の力で。
「よし、世良はとにかく目をつけられないように。少しでも疑われると相手は何をしてくるか分からないからな」
「おっけー、わかったわ」
「本当に気をつけろよ。俺にとって、お前は大切な」
ひらひらと手を振って帰ろうとする彼女の手をつかむ。すると、ピタっと動きが固まった。
うん? 顔が赤くなっている。
「ちょ、どうしたのよ? 私よ? 大丈夫に決まっているじゃない!」
長谷川博士は大事なものを守りすぎだと言っていたが、これだけは譲れない。
だって何に変えても、守りたいものだから。
「離して、手、熱いわ!」
「あ、ごめん」
お互いちょっと距離を取る。すると世良は手でうちわのように仰ぎはじめた。
「顔も熱くなっちゃったわ! もう、これだけ私が動くんだから超武戦、負けたら許さないからね!」
「本当はお前にも出てほしいのだけどな」
「ふん、そう? なら」
世良は意識を集中させる。辺りの空気がピリピリとする、本棚にあったものがどんどん落ちてきた。
いったい何をしているのだろう。それも、
言っていいのか分からないが、スカートが、スカートがめくれて。
そしてちらっと見えた瞬間、辺りはゆっくりと静かになった。
シマシマか。
「はい、あなたに武器を纏わせたわ。これであなたに攻撃が来るとき守ってくれると思う」
「どうも……」
「うん? どうしたの?」
「いや、何でもない」
世良の目が光った。俺の見ないようにしている範囲を辿り、答えにだどりつく。
ばっと、スカートを抑えた。
「もしかして、見たわね?」
「いや、そんな、ことない」
「はっきり言わないと、ここで肋骨折るわよ?」
「見えました‼ ごめん‼」
頭を深々と下げる。キッチリ謝っていたほうがいい。いつもこのパターンで大変なことになるからだ。
「こ、の、いつもいつも、わかってやってい」
いきなり息を吐いた。ゆっくりと、リズミカルに。あの世良が冷静になろうとしている⁉
「私、帰るわ」
「あ、ああ。捕まっている場所はこっちで調べておく。一応、超武戦の観客席を取っておくから。会場に来てもらうために」
「了解……、待ってなさいよ、私のイライラこの戦いが終わったら丈に受けてもらうから」
え、ええ? 聞いたら解決したくなくなってきた。
出来れば、そのストレスは敵にぶつけてくれないですかね?




