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第十九節 信頼できる

 職員室、長谷川博士にパーティーのことを話した。だって明らかな犯罪行為だ。この状況をどう判断すればいいか、知恵を借りたかった。



「う~ん。武衛大も思い切ったことをするね~。そこまで君を恐ろしく思っているのか」



「そんな理由でここまでするか普通! 今すぐ全員開放しろって言ってくれよ!」



「それは、無理かもしれないな~」

「どうして‼」



「君も聞いたと思うけど、武衛大は超能力がない代わりに『勝てれば何でもあり』という行動をすることが許されている。今回もそれは当てはまると思うよ」



「なら無視したほうがいいってことか?」



「それもやめたほうがいいな。例え勝負に勝ったとしても、人質を無視して勝ったということが世間に知れたら学校の姿勢が問われかねない」



「なら、俺はどうすればいいんだよ! 相手の言う通り大人しくしろとしか考えられない!」



「方後くん、落ち着いて。もちろんこちらからも抗議はする。いくら超武戦で許されているからって民間人を巻き込むのは許されないからね」


 落ち着いてられるか‼ 俺のせいで姉貴達に迷惑をかけた。守りたいものを、守れなかった。


 そもそもだ。大会なんて適当にやればよかったんだ。いくら超能力の使い方を説明していなかったとしても、みんな巻き込むくらいならやる意味はない。


 いいさ。もうこのまま相手の思惑に乗ろう。これ以上動いたことで人を傷つけたくない。


 そう、何もかも。



「もういい。俺は大会を棄権する」

「方後丈くん‼」


 肩をガバっと掴まれ長谷川博士が重く言葉を投げつける。職員室中に響いた声は、まるで頭を殴られたみたいだ。



「いつも思っていたんだ。君は天才天才と間接的に言われている。でも、それに流されちゃだめだ。君にとって全て解決できた。こうすれば、ああすれば。いいかい、完全なものなんてこの世にあってはならないんだよ。友達は守るものだからじゃない。友達を持つなといっているわけでもない。大事なことは『手札を見てから』じゃないんだよ‼」


 体の中に染み渡る、長谷川博士の言いたかった本音。ふと過去がフラッシュバックした。


 自分にも何かできるかも、そう考えたのが超能力証明の始まりだった。


 子供ケータイで検索する。コレが使えるかも、これを応用できないかな。テスト勉強なんてそっちのけだ。


 そこに確定事項なんてなかった。ただがむしゃらに想像力を働かしていた。


 であった超ヒモ理論、いつからかそれに絞って、自分の理論が正しいかもと錯覚し、すがりはじめた。


 その考えは間違ってはなかったと思う。のめり込むには十分だった。けど、


 忘れていた。超能力を証明出来ると思っても、守りたいがために友達を作ったわけじゃなかった。


 力が、冷静さが、戻ってきた。


「先生、ありがとうございました。これからちょっと用があるんで帰ります」


「いやあのごめん、君に、失礼を」


 長谷川博士はしどろもどろだ。初だったのかもしれないな、あんなキレ方は。


「いや、大丈夫です。失礼します」


 小走り。後ろから声をかけられた。


「あんまり無茶はしないでくれよ~」


 どうやらこれから俺が無茶をするのはお見通しらしい、笑ってしまう。


 職員室から出て、すぐにスマホを起動した。相手は七回のコールでやっと出る。



『なによ?』



「姉貴達が武衛大に捕まった。力を貸してほしい、『世良』」








 沈黙。葛藤、じゃない気がした。






「わかったわ、丈!」

 気持ちよい返し方。それが俺にとってただ、嬉しかった。



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