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第十節 図書館の君

前回のあらすじ

峰空の生徒から逃げている俺を助けてくれたのは、武衛大の生徒であるリクと名乗る男子だった。

彼の目的は俺の情報。しかし、それはマズイ。

なんとかギリギリの交渉でリクは満足したが、さらに俺を勧誘してくる!

でも残念、俺は強くなりたいわけじゃないんだよ。

昼休みがやってきてしまった。



『やってきてしまった』というのが言いえて妙だと思う。それ以外に、状況を説明できないのだ。


 ちらっと見たのだが、俺の教室の外で戦いたい! と、もう事前にスタンばっている上級生が順番待ちの列を作っている。いつ入ってきても不思議ではないくらいだ。さらにその列に対して商売を始めている者もいるし。


 騒がしい。内も外も敵だらけだ。


 だって、教室の中でも『友達になりましょう?』って近寄ってくるんだぜ。


 お友達から、そしてそこで死闘をする仲になりましょう、は⁉


 もっとさ、お嬢様学校なんだろ? だったらお昼休みくらい優雅にティータイムとかしたらいいんじゃないですかね。


 自分の机で昼ご飯は済ませる。あとは、女子生徒が勝負を吹っ掛けてこない場所に移動すればいい。


 何処に行けば? トイレ、または長谷川博士がいる職員室か。

 もう、あそこしかないか。



 でも、あそこに行くと必ず鉢合わせするだろうな。俺に一番近い天才女性に。


 仕方ない、か。


 行く場所は決まった。後は、この列をどう出し抜けばいいか、だ。 


 入口がダメだったら、窓から出るしかないよな?




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 図書館で一息つく。


 まさか、そのまさかで順番待ちの列が窓の方にもあるとは、俺はいったい何と戦っているのだろう。


 追っ手を必死に振りほどき罠を掻い潜った先にあるものは、安心であってほしい。


 心はストレスから抜け出したいんだと叫んでいた。


 ここの学校は、図書館が一階と二階にそれぞれ一つずつある。今回俺が選んだのは、人気のない二階の図書館だ。


 別れている理由は一階の方がよく使われている本を、二階の方が使われていない本を取り扱っている。


 そしてこっちの図書館は薄暗く、図書館司書はいない。防犯性も一回に比べると結構低い。


 それでもこの図書館がなくなって欲しくないという声は大きいようだ。


 理由はきっと、希少な本を読みたいというものだろう。生徒達が自分で深く学べる場所を守っている。素晴らしいことだと思う。


 奥に進む、古臭い紙の匂いが漂う中を女子生徒が少ない場所へ。

 

 足が、止まった。


 そこだけ、バラが咲いていた。


 咲いているわけないだろうって? いや咲いていたよ。


 女の子が二人、人目を気にせずイチャイチャ、イチャイチャ。


 もしかして、これが理由だった、か。


 視線に気づいているのに、まるで気にしないそぶりで手を絡めあっている。


 あ、それは流石にやりすぎ! てか、見せつけている⁉


 俺はそこから離れた。あれは目に毒だ!


 待ってくれ、もしかしたらこのまま奥に行けば行くほど、こんな状況に⁉


 次に来るのは、百合カップルの集団に会うのでは……、


 男は入ってはいけない場所だった?


 俺は恐怖しながらそれでも足を進めていくと、一番奥、椅子にちょこんと座っている女子生徒が。


 図書館に居るのがなじんでいる。俺が喧嘩とかで、手を出さないと決めている少女だ。


 彼女を説明すると、いじめを受けやすい。

 でもそれはデメリットではなくいじめっ子を逆に友達に変えることが出来るので、彼女にとっていじめは幸か不幸か、判断が付かない。


 一つ分かることは、彼女のつるに捕まった女の子は彼女を姉様といって、尊敬する。


 ここに来るとき会うと思っていた、眼鏡でおっとりな俺の姉である方後 舞(かたごまい)である。




 パタンと見ていた本が閉じられた。



「どうしたのじょーくんこんな場所に? さっき先輩方が用があるといってあなたのクラスに行っていたけど」



「うん、それは大丈夫。それより姉貴の方は?」



「どういうことかな?」



「その、俺のことで上級生に喧嘩を吹っ掛けられなかった?」



「う~ん、どうだろう。同級生達が騒いでいたぐらいかな? 勝負して勝ったらじょーくんを私と、とかいってたから」



「ごめん姉貴。迷惑だった」



「ううん。私は全然困ってないよ~。それよりも初めてだったかな。何も悪いことされずに味方になってくれた人が出来たから」


 はにかむ姉。どうやらかなりうれしかったらしい。


 よかった。俺の行動が姉貴にはいいように転がったらしい。追いかけられることになったのもなんというか、スッとした。



「それに勝負を断った瞬間にいじめてくれた人には優しく友達になってほしいと言ったら、言い寄られちゃって」




 それは、笑えない。



「それも、『ここで無茶苦茶にして‼』っていうから少し照れちゃった。私、そっちのことには疎いのに」


 笑ってしまった。口を引きつりながら。


 この天才少女を敵にまわさないようにしないと、俺だってどうなるかわからない。


「それよりもじょーくん、あなた、せーらちゃんを泣かしたでしょ」


「うっ!」

 世良のことだ。



「言ってたよ。それで半年も会話してないって。私の可愛い後輩をほったらかしたら、メ!」



「違うんだ! これには深いわけがあって」



「違わないよ。いくら超能力に目覚めたからとか、入学で忙しかったからとかの言い訳を使っちゃダメ。大事な人なんでしょ?」



「別にあんなやつ、ほっといたって」



 バキンと何かが折れた音が聞こえた気がした。なんだなんだ? 柱か? それとも姉貴の優しさか?



「じょーくん、一回しか言わないからよく聞きなさい。来週、入学パーティーをします。せーらちゃんをパーティーに誘いなさい。そこで超武戦でカッコいい所を見せるって約束して。いい? もし誘わなかったら上級生に昼休み居る所を教えるからね!」


「あ、姉貴! それあんまりだよ!」



「こうでもしないとじょーくん動かないでしょ。それに大事な人はちゃんと話し合わないと」


 プイっと顔を背けながらチラチラ見てくる。そこはかとなく言いたいことがあるようだ。


 どうやら姉貴にはお見通しらしい。


 俺は、超能力があったことも話していなかった。そのことで現在、間に少し距離を感じる。


 昔から、一緒に行動することがほとんどだった俺達はなんでも言い合ったのに。


 論文を作ってから、変わってしまったんだ。俺は、


 それと姉貴を含む家族にはまだ発表したことも話していない。あれだけ心配させたのに。


 それでも、これからも秘密を守るつもりだ。大事な人を、守るために。



「わかったよ。一応誘ってみる」



「そう! 良かったわ。これで仲直りね」


 そう簡単にいくわけないと思うけど。 


 姉貴は嬉しそうにしながら横に置いた本を手に取ると、まるで何事もなかったみたいに本を読み始めた。


 話は終わったらしい。読むと決めたらどんなことがあっても読み切る性格があるとしても、いいたいことはまだまだあるはずだ。でもそこは、ゆっくり埋めていけばいいと考えているのだろう。


 姉弟だから修復できる距離感が、今は心地よい。


 隣に座った。そこでリラックスしながら眠りこける。




 昼休みはゆっくりと過ぎていった。



パソコンの調子が悪いです。すこぶる悪いです!

大丈夫だろうか。

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