表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/33

7話:抹殺対象、海に沈む

「あの、どうですか?」

翼は俺に感想を求める。


「いや、お前....男じゃないのか?」

「え...」


周囲に沈黙が落ちた。


翼は泣きそうな顔でうつむく。

「あの、僕って……そんなに男に見えていましたか……」

ボソボソ呟く。


そこへ、海の家から姉が帰ってきた。

状況を一目見て、

「ちょっと!弟!何しちゃってるの!?」

と怒鳴ったあと、すぐに翼の肩を抱く。

「翼くん、大丈夫よ、お姉さんはあなたのこと、最初から分かっていたから」

「わたしの弟、ちょっと鈍感なのよね」

と即座にフォローに入った


鈍感という言葉には腹が立ったが、さすが姉ちゃん、ナイスフォローだ。


ーーこういう展開、なろう系小説の王道展開だよな。

俺はふと空を見上げた。


「何、空なんか見てるんですか。」

翼が冷ややかに言う。

「この鈍感さは腹が立ちますが、周知の事実です。」


「一人称が僕ですし、こんな平らな体ですから勘違いしたんでしょうね」

「別にいいんですよ。中性モデルですから」

不機嫌そうに言い切る。


こんな翼とのやりとりも気にもせず、美久が声をかけてきた。

「熱海君、海入りましょ?」

と言い、彼女はそのまま海へ向かう。


足先に水が触れた――その瞬間。


ー外的脅威を検知

ー外的フィルターモードを発動します


無機質な機械音声が響いた。


美久の見た目がやばい。

全身に赤色の電磁バリアが展開された状態だ。

だが、本人は気づいていないみたいなので、

一応安心である。


美久はさらに沖へ進み、泳ぎ始める。

時々、こちらに手を振って楽しそうな表情を浮かべる


「美久ちゃん、全身に電磁バリア?みたいなの展開されてるけど大丈夫なの?」

さっきは翼のことを神フォローしてくれていたが、今の姉の言葉は問題ありだ。

まあ、姉は美久と俺の事情を知らないから仕方がないとして。


美久は姉の言葉が聞こえたようで。


まずい。


美久がピタリと止まる。

次の瞬間。


ー記憶領域に不整合発生


機械音声。


彼女の体から力が抜けた。


沈む。


速い。


機械だからか、沈下速度が異常だ。


「やばい....!」


俺は海へ飛び込む。


美久が海の底まで行い、行方不明扱いとかになってしまったら、

それこそ俺は”重大な脅威”として抹殺対象とされてしまう。


「助けないと...!」


必死に手を伸ばす。


だが届かない。


沈む。速い。


息が....持たない。


意識が遠のく。


...


熱海が美久を助けに行った様子を、

翼は冷静に見ていた。

姉は呆然と立ち尽くす。

「このままだと2人とも死にますね」

「え!死ぬ!?」


翼は小さくため息をついた。

「はて、僕はどうすべきか?本当は見ているだけが任務なんですけどね」

「見ているだけ!?何を言っているの!?」

姉は状況を掴めていないようだ。


「横山熱海、奴の脅威度が現在進行形で微弱ながら上がっていっているんですよね」

翼は分析をする。

脅威度がMAXになった瞬間何が起こるのか、何が出てくるのか、誰にもわからない。

それならば、

「脅威度のことを考えると助けた方が良さそうですね。」

「あと、美久さんも助けないとですね。修理に出す依頼がありますし。」


「修理?一体さっきから何を言っているの?」

姉が疑問を投げかけるも

「黙っていてください」

翼は一蹴した。一言一言ツッコんでくる姉が少々うざいようだった。


方針が決まった以上さっさとやってしまおうと、

翼は右手を挙げ、


ー救助モードを発動

ー目標を捕捉

ー目標に向かい捕縛バリアを展開します

ー捕縛バリアを上昇させます


機械音声。


海面が赤く光る。

次の瞬間、熱海と美久の体が宙へ引き上げられ、浜辺に叩きつけられた。


「弟!」

打ち上げられた瞬間、姉は熱海の元へとすぐに向かい

意識が微弱となった熱海を必死に姉は人工呼吸する。

何十秒後、

「ぷはっ」

水を吐き出し、俺は息を吹き返した。

横を見る。

美久は倒れたままだ。


翼が

「全体起動スイッチが一時的に切れてしまっていますね」

と言いつつ、首元の裏に隠されたスイッチを押し上げる。


カチッ。


数分後。


「海なんて初めて♡熱海君、今日は一緒に楽しもうね♡」

美久は意識を取り戻した。

...海に入った後の記憶は消えている。

「そうだな、楽しみだな」

合わせるしかない。


翼は小声で聞く

「美久さんは記憶領域、故障しているのですか?」

「今ので、壊れたかもな」

本当は以前から故障していた?が隠蔽した。

以前やったことが記憶領域故障の原因にされたら、

また危険と認識されて俺が抹殺されてしまうからな。


...


夕方。

「はあー」

とため息をつき、今日の海を振り返る。


振り返るっていっても、

海に溺れただけだったんだが。

美久は電磁バリア発生させたりするものだから、

何も知らない姉が「おかしい」みたいなこと言って

その発言がトリガーとなって美久が溺れ、

溺れた美久を助けに行こうとした俺も溺れてしまった。

幸い、翼に助けられ、まだ生きることができているが、、、、


...もう海なんて二度とごめんだ。


あと、早いとこ姉には美久や翼のこと言っておいた方がいいのかな。

...でも姉、口が軽いしな。


...


熱海と美久と翼が3人で話している中、

姉は一人考える。

今日の海での出来事を考えると弟の友達は少々おかしい。

これは弟に問い詰めなければ。よろしくない。


「弟よ、あなたのお友達について、わたしに隠していることはないかい?」


面白いと思っていただけたら、ブックマークしていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ