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31話:黄泉の力

静寂。


さっきまで響いていたはずの悲鳴も、

崩壊音も、

すべて止んだ。


「一体何が起こった!?」

フェスタは動揺する。


彼は何かに引っ張られるように起き上がる。

血が滴る中、

周囲に拡がる黒い靄を吸収する。


「黄泉を吸収しているだと。」

そんなこと聞いたことない。

「計画が破綻した」

一時撤退する方が良さそうだ。


フェスタは逃げようとする。


「痛っ」

片足を黒い影に掴まれる。

「やめろ」

彼が操っているようだ。

彼がこちらを見る。

彼の目は黒く染まっており、不気味に笑っている。

「やめろって言っているだろ」

黒い影は足を離さない。

引きずられる。

......堕ちる。

......黄泉に堕ちる。

死ぬ。

計画が成功する前に死ぬのは嫌だ。

危機感。

何も考えられない。

私は何か大きなものに喧嘩を売ってしまったというのか?

私は......触れてはいけないものを起こしたのか?

「想定外だ」

フェスタは覚悟を決めた。


....


目が覚める。

黒い靄が消えている。

「黄泉の侵食が止まった......?」

あの時私は黄泉喰を止めることはできなかった。

一体誰が。

ふと弟を見る。

目が黒い。


息を殺す。


其れは弟ではない何かだ。

一瞬で察した。


数秒後。


弟は倒れる。


「はっ」とする。

近くで倒れている美久ちゃんを起こそうとする。

すると彼女から


ー人格データ負傷中。

ー感情モジュール同期失敗。

ーデバッグを試みています。

機械音声。


数秒の沈黙。


「熱海君は!?」

美久は目覚めると同時に

弟に駆け寄った。


....


黒い闇に包まれているはずなのに、

其処はとても静かで、

......楽だ。


「......熱海君!」


美久の声が聞こえる。

目を開ける。


心配そうな表情。

「痛っ」

腹部から異様な痛み。

確か、暴走した美久を守ろうとしたら

発射した銃弾が腹部を貫いたんだっけ。


「大丈夫?」


「うん。問題ない」

言葉は自然にでた。

けれど、


目の前で安心したように笑う美久を見ても、

心は何も動かなかった。


安心する理由が分からない。


心配される意味も分からない。


……なぜ自分は、

彼女を庇ったのだろう。


合理性がない。


笑おうとした。


だが。


表情の作り方が、

理解できなかった。

面白いと思っていただけたら、ブックマークしていただけると嬉しいです。

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