2話:熱海と美久の愛のラブラブ日記((ただし嘘800
「熱海君♡熱海君と一緒に登校してる♡」
「今この時が生まれてから一番幸せかも♡」
「でもね、これからこの幸せ記録は熱海君と一緒にどんどん更新されていくんだよ♡」
どうしてこうも甘い言葉をずっと吐き続けれるんだろうか?
恋人という者はいつもこんな甘い言葉をお互い吐き続けているのだろうか?
俺には恋人なんていたことないから恋人同士のコミュニケーションなんてわかるわけない。
ふと俺は思考世界に浸る。
人を愛することって一体どんなことなんだろうか?
自称人間関係構築スペシャリストの姉から聞いた愛の定義と、
美久のやっている愛情のぶつけ行為について比較してみた。
姉は「愛とは相手を尊重すること」と言うけれど、美久にはそんな気配は見えない。
どれも一方的、勝手に自宅に突撃したと思えば、俺の腕をギュッと握り締める。
流石に腕を握って下から照れくさそうな目で俺を見つめてきた時はドキッとしたが、
やはり美久のあれは愛ではない。
…
はあ、
流石に考えすぎだし、少し上から目線の考えだったかもしれない。
うん。
俺は考えるのをやめた。
早く学校つかないかな。
今までは学校面倒くさくて、こんな風に学校に早く着きたいと思ったのは初めてだ。
「ワタシね、熱海君との間に起こったことを『熱海君とワタシの愛のラブラブ日記』って形で紙に書き起こしているんだ」
ラブラブ日記って、、なんだそれ。聞いただけで冷や汗するような日記の名前だな。
「そうだね。それは嬉しいよ」
適当に美久の言葉を受け流す。
ん?
日記?
今日記って言ったよな?
「美久、その日記俺にも見せてもらえないかな?」
「え?いいよ!ぜひ!」
美久は快く熱海に日記を渡す。
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2XXX年6月20日
親の都合で転校してきて初日。新しいクラスメイトに馴染めるかすごく緊張していたけど横山熱海君って男の子が午前中親切に学校のことを紹介してくれた。
昼休み、熱海君に屋上に呼び出されたかと思えば、
「一目惚れしました!付き合ってください!」っていきなり正々堂々の告白を受けちゃった!
こんなに正々堂々の告白なんて受けたことなかったから頭の中パンクしちゃって倒れちゃったみたい!
保健室に運ばれていた!熱海君が運んでくれたのかな?
告白の返事しないとだけど、
返事しようとして熱海君をみた瞬間、
熱海君大好き♡だったり、熱海君と一生一緒にいたいだったり、
依存めいた愛の言葉が出たり行動をしてしまい、平静な状態で返事ができなくなってしまったみたい。
うーん、早く、「こちらこそ付き合ってください!」って返事ができるといいなあ。
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パタン、と熱海は日記を閉じる。
嘘800だな。
あの日、俺が学校に行ったのは昼過ぎだった。
しかも自分のことをロボットだと自覚していないだと?
任務のことも忘れているような書きっぷりだ。
あと、俺を見るなり平静でいられないというのも気になるな。
「ありがとう」
お礼を言い、熱海は日記を美久に返した。
「むしろ、みてくれてありがとう。ワタシの愛の気持ち伝わったかな♡」
美久の愛の言葉を横で聞きつつ、
しばらく歩き、10分後
2人は学校に到着した。
余裕で遅刻だけど、
しつこいとキレずに愛の言葉を聞き続けなければいけないという拷問?
から逃れられる安堵感がすごい。
教室へ入り、いつものように重鎮出社のような雰囲気を醸し出しつつ席に座る。
「遅刻してるのに堂々と座る熱海君、かっこいいです♡」
「三橋?お前も遅刻か?転校翌日に遅刻とはなかなかやるな」
現在の時間授業を行なっていた、体育会系の先生に美久は言われる。
「いえいえ、それほどでも。」
「先生!見てください!熱海君の方がワタシの何百倍も度胸のあるカッコいい男です♡だからワタシは熱海君を愛しているんです!」
恥ずかしいからやめてくれ…
「ああ、そうか…」
先生も若干引いているじゃないか。
微妙になった教室の空気を変えるかのごとく
バンッ
机を大きく叩く音が鳴った。
「おい!横山熱海!美久を返せ!」
声を発した少年一人。
「...いや、あんた誰?」




