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27話:演劇の残り香

文化祭終了後。

俺のクラスは演劇で使用した衣装や道具の後片付けに追われていた。


誰かが言う。

「ジュリエット大活躍だったなー」


それに美久が応える。

「代役だっただけだよ」


「......いや。……お前のジュリエット、好きだった。」

言った瞬間。


周囲の空気が止まる。

未綺もいる。


「やば。」

つい無意識に口に出してしまった。

周囲の目から目を逸らすため窓を見ると、


衣装係の一同が演劇で使った荷物を運ぼうとしているのが反射して見える。

美久も他の子に混ざって荷物を運ぼうとしている。

......重そうだ。

気づいた時にはもう歩き出していた。

体が勝手に動く。

「それ持つな。」


「え?」


「......手、まだ震えているだろ。」


「あの時は緊張していただけで、もう大丈夫だよ」


「それでもダメだ」

無理やり美久の荷物を引き取る。


「熱海君、いつも優しいけど、今日は人一倍優しい気がする.....。」

美久はボソッと呟いた。

そして、荷物を運んで行く彼の背中を見守っていた。


....


後片付け後。

誰もいない体育館。

未綺が舞台を見ていた。

そこには翼の姿も。


「あの後、一緒にみんなのところへ戻ってくれてありがとうございます」

「みんな、怒っていませんでしたよね」


「......それが一番つらい」

「でもさ。代役が美久で、良かった」

「あの子、あたしと同じく熱海君が好きだから。」

「好きって気持ちがないといい演技なんてできなかったと思う」


数秒の沈黙。


「あーあ、負けちゃったな」

未綺からうっすらと涙が流れる。


「....負けてなんかいません」


「なんで、そんなこと言えるの」


「……僕、知ってますよ。」

「誰よりも練習してたの。」


......。

ーうわあああああああん!


体育館に泣き叫ぶ声が響いた。


....

帰り道。

「帰ろ?」

美久の誘いに応じ、

美久と並び帰る。


......。


会話はほぼなし。


文化祭は終わったはずなのに。

まだ、

隣を歩く距離だけが、

やけに意識された。

面白いと思っていただけたら、ブックマークしていただけると嬉しいです。

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