24話:文化祭準備と悲劇の配役
「黄泉喰。」
あれから俺はいつもその言葉が頭の片隅にある。
「何か考えごと?」
ふと、声をかけられ現実に戻される。
声の主は美久だ。
「なんでもない」
ここは学校。
気づけば秋になっていた。
今、学校は文化祭準備で忙しい。
「データには文化祭というものは楽しいと記載があるよ。私、楽しんでみたいな」
美久は初めての文化祭にワクワクしている。
「まずは、このクラスで何をやるかだよな。」
出し物によっては楽しくない可能性がある。
「出し物何が良いか案がある方は挙手してください」
学級委員が出し物を何にするかクラスの皆に問いかける。
「はい。」
手が挙がる。
未綺だ。
「クレープ屋さんとかどうでしょう」
The・無難だ。
周りから拍手が挙がる。
「いいですね。」
学級委員は同意しながら候補として書き上げる。
「はい。」
またも挙手。
美久だ。
「メイド喫茶なんてどうかな?」
雄叫びが挙がる。
一部男性陣から人気のようだ。
「うん。」
学級委員は沈黙しながら候補として書き上げる。
下心でもあるのだろうか。
「メイド喫茶?もうちょっと現実的に考えた方がいいと思う。」
「準備にどれだけ時間かかると思ってるの。」
美久の提案を否定してきた。
売られた喧嘩は買うのがモットー。
美久は言い返す。
「は?クレープ屋なんて無難なもの今時、映えないしダサい」
「違うし、クレープ屋はクレープ屋でも果物や甘いものは使わずに、野菜とかお肉とか使うクレープを作るお店だもん」
は?
見当違いの応えが返ってきて、
教室の空気が、数秒止まる。
「え?なんかあたし変なこと言った?」
微妙な空気を察したのか翼が挙手する。
「演劇はどうですか?」
一斉に皆が頷く。
壊れた空気は一瞬で修復されたようだ。
「そうですね。」
学級委員は候補として書き上げる。
「じゃあ、3つ案挙げてもらいましたが、どれがいいか多数決します」
数分後。
出し物は演劇に決まった。
「えー、なんで?」
どうして自分の案が受け入れられなかったのか納得のいかない未綺。
「野菜とかお肉とか使うクレープを作るとか、どう考えても万人受けするわけないでしょ」
チクリと刺す美久。
「うるさいな、あんたの案だって没になったんだから、あたしと大体一緒」
反論する未綺。
「......私の案は、まだドン引きされてなかったし。」
小声で言う美久。
「はあ?」
あー、喧嘩が始まりそうだ。
止めに入らないと。
動く前に。
「ストップ!」
翼が二人の間に立ちストップをかけた。
「空気を読んでください。今は演劇で何やるか話している最中です。」
「喧嘩を続けるなら外でやってください。」
「む....。」
顔をしかめる未綺。
「ふん。」
勝ち誇った表情の美久。
仲裁が聞いたのか2人は大人しくなる。
しばらく演劇についてクラス内で話し合いが行われた後、
「では演劇の内容ですがロミオとジュリエットで決まりになりました。」
ロミオとジュリエットをやることになった。
配役か。
セリフ覚えるのとか面倒くさいから、その辺の草の役とかがいいな。
とぼーっと考えていると
「あたし、ジュリエットやりたいです」
未綺がジュリエットの役に立候補した。
周りからは歓声が上がる。
やっぱり可愛いし、そうなるよな。
「そしてーーロミオは熱海くんがいいです」
ん?
......俺!?
「ロミオが熱海君なら、私もジュリエットやりたいです」
「は?勝手に横入りしないで欲しいんだけど」
「横入りも何も、今は配役どうするかの話し合いの最中でしょ?」
「そう屁理屈を並び立てるのね。なら実力でわからせてあげる」
「ジュリエット役をかけた演劇勝負よ」
周りは「おおお!」と歓声を上げる。
......おいおいちょっと待ってくれ。
勝手に色々物事が決まっていってる気がするんだが。
.......ロミオは俺なのか!?
ちょっと待て。
俺はいつロミオになった!?
面白いと思っていただけたら、ブックマークしていただけると嬉しいです。




