17話:宣戦布告
昼休み。
「ねえ!」
ダンッ!
机を強く叩く音。
「あんたさっきからなんなの!?
熱海君に熱い目線なんか送って!」
「さっきから、どういうつもり!?」
美久の怒り心頭の声がこっちまで聞こえてくる。
転校してきた未綺に対してのものだった。
そんな美久の怒りの叫びに対して、未綺は冷静に応える。
「うーん、熱海くんがあたしに告白して、あたしが振っちゃった?って関係?」
「....!?」
美久は苦そうな顔をする。
「手紙読んだとき、その手紙には優しいところが好きって書いてあったんだよね。
でもあたし、そんな優しい子じゃなかったからさ、
応えてあげることができないって思って振っちゃった」
....!
フラれていなかった...?!
聞き耳を立てていた俺は思わず仰け反る。
椅子がガタッと鳴る。
視線が集まる前に、俺は教室を飛び出した。
耳まで熱い。
教室に戻れる気がしない。
....
──教室。
残されたのは翼だった。
なぜ僕はこんな話を聞かされているのでしょうか。
海の時もそうでした。横山熱海のお姉さんからこの話を聞きましたし。
未綺は話を続ける。
「でもさ、嫌いだったわけじゃないよ?」
「振ったあとで、ちょっと後悔してた」
「そしたら中学進学と同時に親の転勤。はい、終了」
「けど、また親の転勤でこっちに戻ってきたってわけ」
「転校する高校も適当に決めたんだけど。それが大当たりだったみたい。」
「ま、運命ってやつ?」
未綺は静かに言った後、美久の方を向き、
「あたしはもう、あの時みたいに熱海くんを振るなんてことしないし、
あたしから告白しようと思ってる。」
「残念ながら、あなたの告白は無駄。だって熱海君は私と付き合っているから」
「そんなのわからないよ?もしかしたら熱海くんが
あなたと無理やり付き合わされている可能性だってあるんだし」
見た目は清楚なのに、口から発せられる言動は堂々としている。
(理屈では、未綺が優勢だ)
「そんなことない。ね?翼?」
強い口調で同意を求めているようだ。
美久の目は先ほどよりも赤の色が濃くなり、滲んでいる。
瞳の奥が、わずかに光った気がした。
なぜか自分に質問が飛んできて、翼は固まる。
....横山熱海がいない。
逃げやがった。
なんか僕っていつも不憫な役回りのような....。
翼は慎重に言葉を選ぶ。
「はい。熱海のほうから告白したと聞いています。心変わりする可能性は低いかと。」
ほっと安心する美久。
驚いた顔をする未綺。
少し黙り、
「....可能性は低いけどゼロじゃないでしょ?ならやってみないと。」
「ちゃんと好きって言うから。今度は逃げないでね?」
席を立ち教室から出ていった。
諦める気はないようだ。
「待って!」
赤い目のまま、美久も追うように教室を出る。
....まずいですね。
今にも暴走しそうな美久を観察しつつ、翼は言う。
「これは……厄介ですね」
二人の後を追うように翼も教室を出た。
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