序章:坂田の朝
こんにちわ、秋の紅モミジです。「改稿」とついていることに対して疑問がある方が出るかと思います。この作品は実は、7年前ぐらいに、まだ日本語には十分に慣れていないときに書き始めたもので、できたものが面白いと感じさせる作品として不十分と考えました。
今になって読み返すと表現し方と文法は気になる点が多くて納得いかない出来となっていました。
なので、全面改稿を決心して、新たに物語を作り直したいと思っています。
もし、昔の作品が好きだという方がいらっしゃいましたら、申し訳ありません。そして、新しく描く坂田阿木達の物語も、どうぞお読み下さい。
春の朝の風は涼しく、心地よかった。
ベッドから起きて制服に着替える。指先でボタンをなぞりながらシャツにしわができていないか確認する
ネクタイの結び目が歪んでいないか、髪方は整っているか、襟は汚れていないか。
チェックは三回。いつも通り。よし。
食卓に行くと鈴子に最終チェック。
「よだれついてる。汚いよ、阿木にぃ。」
小さな妹にそう言い放たれて、慌てて近くの鏡へ口元を確認する。先は気づいていなかったが、確かにかすかに見えた。
恥ずかしくなってそっと口元を拭った。12歳にしてしっかりしている鈴子はいつも通り厳しかった。
「……ああ、ありがとう。気づかなかった。」
「新学期だから、ビシッとしてよね。」
小さな妹はかわいい外見に寄らず、この家で一番大人らしい存在。俺よりずっとしっかりしている。
少し兄としてのプライドが傷つくぐらいだ。
食卓に目をやると皿が二人分、台所には食器がすでに綺麗に並べ直された。
「父さんと母さんはもう出たのか?」
「うん。阿木にぃが下りるちょっと前だよ。」
共働きの親の速い出勤、これもいつも通りだ。
そう思いながら席に着く。前にあるパンをかじって何気ない会話を鈴子として安心した食事を二人で取る。
何も変わらない一日の朝を、俺は堪能した。
食事を済ませて食器を台所に持っていくと、鈴子は声をかけてきた。
「早くしないと三門に怒られないの?」
そっと鈴子は皿洗いを一緒にするように踏み台を引っ張ってきた。
「図書委員の仕事はないから、今日は大丈夫だよ。それにこれすぐに終わるから。」
「なら別にいいけど。」
二人係で食器を洗った。俺が洗剤で汚れを落とし、鈴子はそれを流してタオルで吹いた。
食器を並べた後は登校時間。
すべてがいつも通り、何も起こらない朝だった。