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東京幻怪録  作者: めくりの
一章
7/71

第七話「風を纏う者、結界を張る者」

 風間亮かざま りょうは、特務機関での「末っ子」的な存在であり、チームに欠かせないムードメーカーでもある。

彼の明るい茶髪と少し跳ねた髪型は、常に元気で社交的な彼の性格そのものを表している。背は他のメンバーよりやや低めだが、スポーティな服装に包まれた筋肉質な体型は、長年続けてきたトレーニングと実戦の経験を物語っている。彼の笑顔は仲間たちの心を和ませ、いつもチームの緊張感を和らげてくれる。


風間が「風の操作」を学び始めたのは、ごく幼い頃のことだった。小さな頃から好奇心旺盛で、自然と触れ合うのが好きだった彼は、ある日、ふとした拍子に風を動かす力が自分の中にあることに気づいた。それは些細なものだったが、彼はその瞬間から風に親しみを感じ、次第にその力を成長させていった。


特務機関での役割としては、「補助戦闘」に特化したスタイルを持つ。

彼の主な武器は風の力を込めた指輪と軽量の刀であり、その俊敏な動きと素早い判断力は、彼の風の能力と相性が抜群だった。戦闘中、彼は直接的な攻撃よりも仲間たちをサポートする立場を重視しており、隼人や斎藤のような前線での戦士たちを後方から支えることを誇りとしている。


隼人には特に憧れを抱いており、彼が大きな戦斧を振るう姿を見て「自分もいつかああなりたい」と目を輝かせている。その一方で、彼が隼人や斎藤に冗談を言って和ませることで、二人の厳格さを少しでも和らげようとしている部分もある。特に斎藤には、年の離れた兄のように接し、彼の射撃をいつも称賛している。斎藤からは冷静なアドバイスをもらうことが多く、亮もまた彼のことを「頼りになる兄貴」として尊敬している。


風間が常に笑顔を絶やさない理由の一つに、「自分が笑っていれば仲間も笑ってくれる」という思いがあった。

幼い頃から人懐っこく、どこへ行っても友達ができるタイプだった亮は、孤独を嫌い、みんなと一緒に楽しい時間を共有することを何よりも大切にしていた。戦闘や危険な任務が続く特務機関の仕事においても、その気持ちは変わらない。彼が明るく振る舞うことで、仲間たちの気持ちが少しでも軽くなればと考え、どんなに危険な任務でも最後まで笑顔を忘れないようにしている。


その一方で、亮は自分が「末っ子」扱いされることに対して、少し複雑な気持ちを抱いている。彼も戦士として成長し、皆の期待に応えたいという強い意志を持っているが、その気持ちを表に出すことは少ない。常に明るく振る舞う彼の背後には、「自分もいつか皆に認められたい」という秘めた野心があり、それが彼の訓練への姿勢や戦闘への真摯さに表れている。


ある日の訓練後、隼人が亮に「お前も随分と風を扱うのが上手くなったな」と声をかけた時、亮は内心で喜びを噛みしめながらも、照れ隠しのように明るく笑って答えた。「当たり前ですよ!俺だってもう立派な戦士ですからね!」


戦闘中、彼が仲間たちを支える姿は、風そのもののように自由で柔軟だ。

敵が迫る中、風の刃を操り、仲間たちの動きを援護するために迅速に立ち回る。彼の明るさと柔軟さが、時に仲間たちの命を救う場面もある。特に強力な敵に囲まれた時でも、彼の柔軟な動きと機転が危機を回避することも多い。


亮はチームのムードメーカーとしての役割を果たしながらも、仲間たちが彼を頼りにしていることを感じている。それが彼の強さの源であり、特務機関で生き抜くための力になっている。

_______________________________________________


椎名真琴しいな まことは、特務機関において結界術と防御のエキスパートとして活躍するエージェントである。

黒縁のメガネをかけ、知的で整った顔立ちを持つ彼の佇まいは、常に冷静で余裕があるように見える。身長は高めで少し痩せ型の体型、落ち着いた服装を好む彼の姿勢には、どこか周囲と一線を画す孤高ささえ漂っている。しかし、彼の冷静さと几帳面さの裏には、仲間たちへの深い信頼と、「守ること」への強い覚悟が隠されていた。


真琴の幼少期は厳格な家庭環境の中で育った。

家族は代々、霊的な儀式や結界術の研究に携わっており、特に父親はその道の著名な術士であった。幼い頃から、真琴は父親の厳しい指導を受けながら、護符の使い方や結界術の基礎を叩き込まれた。父親からは「結界とは、己の力を他者に向けるのではなく、守るために使うべきものだ」という教えを徹底的に教え込まれ、その言葉は真琴の心に深く刻まれていった。


幼少期の彼は、周囲の人間と距離を置き、勉強と修行に没頭する日々を送っていた。そのため、同年代の子どもたちとの関わりは少なく、親しい友人もほとんどいなかった。だが、彼は自分の力が他者を守るためのものであることに誇りを感じ、厳しい訓練にも一切の不満を抱くことはなかった。


特務機関に入るきっかけとなったのは、ある悲劇的な事件だった。

真琴が成人して間もなく、村を覆う妖気の中で、家族が謎の霊的な存在に襲われたのだ。その時、彼は遠方にいたため家族を守ることができなかった。この事件で大切な家族を失った真琴は、自分の力が及ばなかったことに強い後悔を抱き、さらに自らの結界術を高めるために、より過酷な修行の道を選んだ。


特務機関から誘いを受けた時、真琴は迷うことなくその道を選んだ。彼は、自らの術が誰かを守るために役立つならば、どんな犠牲も払う覚悟でいたからだ。彼の持つ護符や術具は、全てが家族から受け継がれたものであり、彼にとってそれらは単なる道具ではなく、家族の意志を受け継ぐ象徴でもあった。


特務機関での真琴は、常に冷静で几帳面な姿勢を崩さない。

彼は戦闘中も冷静な判断力で結界を張り、仲間たちの安全を最優先に考える。妖気の濃い地域に入る時も、彼が張る結界は何層にも重なり、仲間たちを強固な守りで包み込む。その慎重で徹底的な防御は、仲間たちから絶対的な信頼を得ており、彼の存在はチームの防壁として欠かせないものとなっている。


しかし、真琴の内面にはやや堅苦しい一面もあり、仲間たちが冗談を言ったり、リラックスした雰囲気になると、彼は少しだけ居心地の悪そうな表情を見せる。軽口にはほとんど反応を示さず、ただ冷静に見守るだけだが、実際には仲間たち一人ひとりの言動や表情の変化に敏感であり、誰かが苦しんでいたり、疲れが見えると、その変化を誰よりも早く察知する。


また、彼は特務機関にいる間、常に身だしなみに気を配っており、その清潔感から仲間たちには「堅物な真琴」として親しまれている。だが、その表面に見える冷静さとは裏腹に、彼は心から仲間たちの安全を案じ、決して彼らを失わないために、できる限りの努力を惜しまない。


ある任務での出来事が彼の信念をさらに強固なものにした。

その任務中、突如として激しい妖気の奔流が発生し、仲間がその影響で危機的な状況に陥った。即座に真琴は護符を取り出し、集中して結界を張り巡らせた。その際、彼の冷静な表情には一瞬の焦りも見せず、ただ「守る」という意志のみが込められていた。


結界が完成し、仲間たちが妖気から守られた時、彼はわずかに安堵の表情を浮かべ、護符をそっと握りしめた。その瞬間、彼はかつての家族を守れなかった自分を思い出し、その悔しさを今後も力に変え続けると誓ったのだった。


真琴にとって結界とは、単なる防御手段ではなく、過去の誓いと信念の表れであり、彼自身の生き方そのものであった。そして、仲間たちが無事に帰還できる瞬間こそが、彼にとって何よりも大きな喜びであり、自分がここにいる意味を再確認するひとときでもある。

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