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東京幻怪録  作者: めくりの
四章 東京・大阪交流会

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第五十六話 第三試合:灰島凛VS堂島蓮司

 訓練場の冷たい風が二人の間を吹き抜けた。凛が静かに日本刀「影喰い」を構え、堂島蓮司は愛用のショットガン「雷鳴号」を肩に担ぎながら不敵な笑みを浮かべていた。


「東京のリーダーさん、どんな戦い方を見せてくれるんか、楽しみやで」

堂島がそう言いながら、雷鳴号を軽く揺らして見せる。


「そちらも、豪快な一撃を見せてくれると助かる」

凛は淡々と答えつつも、切れ長の目が堂島を鋭く見据えている。その視線には隙がなく、堂島も「さすがは東京本部のリーダーや」と内心で感心していた。


合図とともに、まず動いたのは堂島だった。雷鳴号が轟音とともに火を吹き、妖気を込めた弾丸が凛を目がけて放たれる。


「派手な攻撃だな」

凛は一歩後退し、最小限の動きでその弾丸をかわす。その間も影喰いを振るう準備を整えており、刀身に妖気が静かに渦巻いていた。


「ほう、避けるだけやないんやな」

堂島が笑みを浮かべ、次の弾丸を放つ。今度は凛の動きを封じるように地面を狙った。その衝撃で砂埃が舞い上がり、一瞬、凛の姿が見えなくなる。


「見えてへんで!」

堂島が仕掛けた隙を突くように距離を詰めた。しかし、その砂埃の中から凛が静かに現れ、影喰いを一閃させた。その動きは鋭く、堂島が放った弾丸を正面から斬り裂いていた。


「ほう、これはたまげたな!」

堂島は一歩下がりつつ、再び雷鳴号を構える。


凛は砂埃の中から一気に距離を詰め、影喰いを堂島の懐に向かって振り下ろす。しかし、堂島はその巨大な体格を活かし、雷鳴号を盾のように使ってその攻撃を受け止めた。


「近接やったらこっちの方が有利やと思たら大間違いやで!」

堂島は体をひねりながら雷鳴号を至近距離で発砲する。衝撃波が凛を吹き飛ばそうとするが、凛は影喰いを地面に突き刺し、その反動を利用して姿勢を立て直した。


「反撃の早さ、見事だ」

冷静に言葉を発する凛だが、その目にはわずかな戦闘の熱が宿っていた。彼はすぐに影喰いを再び構え、堂島との間合いを測る。


堂島は豪快な一撃で場を支配しようとし、凛はその全てを最小限の動きで捌き続ける。観戦していた東京と大阪本部のメンバーは、その鮮やかな対比に息を呑んでいた。


「どっちもすごいな……凛さん、あんなパワフルな相手に全然引いてない!」

葵が興奮気味に呟き、亮も「堂島さん、あの体格であんなに動けるのかよ……」と驚きを隠せない。


一方、大阪本部の天王寺沙羅は冷静に戦況を見守りながら言った。「堂島隊長の雷鳴号は直撃したら大ダメージだけど、あの東京のリーダーさん、本当に隙がないわね……すごいわ。」


戦いが進むにつれ、凛と堂島はお互いの戦闘スタイルを理解し始めていた。堂島は攻撃のタイミングを読み取ろうとし、凛はその隙を突く準備を整える。


「最後の一発、見せたるわ!」

堂島が妖気を最大限に込めた雷鳴号を構え、凛に向けて一気に発砲する。その弾丸は地面をえぐり、爆風が訓練場全体に響き渡る。


しかし、その瞬間、凛の姿が掻き消えたように見えた。風の中で彼の姿を見失った堂島が次に感じたのは、背後から放たれる影喰いの一閃だった。


「見事や!」

堂島は笑いながら雷鳴号を下ろし、一歩後退した。


「勝負あり!」

訓練場に響く声が、試合の終了を告げた。


凛は静かに影喰いを鞘に収め、堂島に向き直る。「いい戦いだった」


「そっちこそ。あんたの冷静さと技、勉強になったわ」

堂島が豪快に笑いながら握手を求めると、凛もそれに応じた。その様子を見ていた観戦者たちは、拍手で二人の戦いを称えた。


「リーダー同士、さすがの勝負でしたわ。」

沙羅が感心したように呟き、大阪本部のメンバーも頷く。


「次はチーム戦やな。こっちも負けへんで!」

堂島の声に、全員がさらに気合を入れた表情を見せた。

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