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東京幻怪録  作者: めくりの
四章 東京・大阪交流会

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第五十三話 「東京・大阪交流会開催」

 朝日に照らされた窓には霜が付き、外から聞こえる風の音が一層その寒さを際立たせる。特務機関のメンバーたちは、いつも通り訓練や情報整理に勤しんでいたが、空気はどこか引き締まっていた。そんな中、事務室にいた葵が突然声を上げた。


「えっ、大阪本部との交流会!?」


葵の声は広い室内に響き渡り、他のメンバーが次々と集まってきた。彼女が手にしていたのは、机上に置かれていた通信文だった。それには「大阪本部との合同交流会を冬季中に実施したい」と明記されている。


「本当なのか、それ」

大柄な隼人が身を乗り出し、通信文を覗き込む。


「うん、間違いない。大阪本部からの正式な提案みたい!」葵は興奮気味に答える。


「大阪本部か……珍しいな」

リーダーの凛が静かに口を開く。彼は通信文を手に取り、目を通しながら考え込む様子を見せた。


「たしかに、他の本部と直接交流する機会なんてほとんどないな」

冷静に補足するのは真琴だ。彼は眼鏡を押し上げながら、慎重に書かれた文面を読み解いていた。


特務機関東京本部は、長い間、独立した運営を続けてきた。

それぞれの本部が独自の対応をしているため、他拠点との連携は必要最低限に留められている。それでも、全国で発生する妖怪事件の増加に伴い、連携の強化が求められるようになっていた。


「交流会って、具体的には何するんだろう?戦闘訓練とか?」

亮が手を挙げて意見を述べると、葵も「食い倒れツアーとかあったら最高なんだけどな~!」と明るく続けた。


「……観光じゃないぞ、葵」

真琴が呆れたように答えるが、その場の雰囲気は少しだけ和らいだ。


「真面目な話、他の本部と顔を合わせるのはいいことだろう。大阪本部は独特の戦術を持ってるって聞くし、学べることも多そうだ」

隼人が腕を組みながら、提案に前向きな意見を述べる。


「たこ焼き、食べられるかな」

葵がぼそっと呟くと、亮も「俺もそれ思った!」と笑う。


「まあ、行ってみればわかる」

凛がその場を締めるように言い、全員が交流会に向けた準備を進めることとなった。


_______________________________________________


冬の寒さを感じながら新幹線に揺られる東京本部のメンバーたち。

窓の外には白く染まる山々が広がり、冬の澄んだ空気を象徴するように遠くの景色がはっきりと見える。葵と亮は車窓に顔を寄せて外の景色を楽しみ、隼人は一人で雑誌を読んでいた。


「東京の冬も寒いけど、大阪も負けず劣らず寒そうだな」

隼人が雑誌を閉じて呟くと、麗奈が微笑みながら答えた。


「でも、きっと温かい人たちが迎えてくれるわよ。大阪の人は情が深いって言うもの」


「確かに。楽しみだな。」隼人の顔にも自然と笑みが浮かんだ。


「ねえ、亮、着いたらどこに行く?」

「もちろん、道頓堀!絶対たこ焼きだよ!」


葵と亮の明るい声に、凛は小さくため息をつきながらも、どこか微笑ましそうだった。


_______________________________________________


夕方、大阪本部に到着した東京本部のメンバーたち。

彼らを待っていたのは、大きな門構えの建物と、それを取り囲むように広がる庭園だった。冬の冷たい風が吹く中でも、どこか温かみを感じさせる雰囲気があった。


「おおきに!よう来てくれはりましたな!」

明るい声で迎えたのは、堂島蓮司だった。彼の豪快な笑顔と関西弁のアクセントに、場の空気が一気に和らぐ。


「これが大阪本部か……東京とはずいぶん雰囲気が違うな」

凛が静かに感想を述べると、蓮司は大きく頷いた。


「そらそうですわ!大阪本部は地域密着型ですさかい、ちょっとした親しみやすさも大事なんですわ」


「なるほど」

凛の短い返事に、葵が小声で「ねえ、凛さんもたまには関西弁で話してみたら?」と冗談を飛ばし、亮が吹き出す。


「ここがうちの訓練場ですわ。今日はここでお互いの腕を確かめ合いましょか」

堂島が誇らしげに場を指し示す。


「広いですね……東京本部の訓練場とは違った趣があります」

麗奈が感心したように辺りを見回す。


「そうでしょう。ほな立ち話もほどほどに」

堂島の提案に全員が頷く。


_______________________________________________


訓練場の準備が整い、両本部のメンバーたちが一堂に会した。冬の冷たい風が吹き抜ける広場に、東京と大阪、それぞれのチームの個性がはっきりと分かれる雰囲気が漂っている。


「せっかくの交流会やし、まずは自己紹介から始めまひょか!」

堂島蓮司が豪快な声で宣言し、大きく手を叩いた。


「おっ、いいですね!関西の皆さんのこと、もっと知りたいです!」

葵が興奮気味に声を上げ、亮も「確かに、ここにいる人たち全員すごそうだし!」と頷く。


「そしたら、うちのメンバーからいきましょか!」

堂島が前に進み出て、自信満々の表情で挨拶を始めた。


1. 堂島どうじま 蓮司れんじ

年齢: 42歳

役割: 隊長 / 重火器専門

武器: ショットガン「雷鳴号」

「まずはわてが大阪本部の隊長、堂島蓮司や! 見ての通りのゴツイおっさんやけど、妖怪相手には負けたことあらへん! 皆さん、どうぞよろしゅう!」

彼は大きな笑みを浮かべながら、ショットガン「雷鳴号」を肩に担ぎ、豪快に片手を振り上げた。


「すごい迫力ですね……!」

麗奈が微笑みながら感想を漏らすと、隼人が「でけえ武器だな……俺と相性良さそうだ」と興味深げに呟いた。


2. 天王寺てんのうじ 沙羅さら

年齢: 29歳

役割: 妖気防御 / バリア専門

武器: 鏡型妖具「月映つくはえたて

「天王寺沙羅です。防御専門なので、仲間を守るのが主な役目です。今日は皆さんとお手合わせできるのを楽しみにしています。」

彼女は軽く一礼しながら、鏡型の妖具を見せる。その丁寧で落ち着いた振る舞いは、東京本部のメンバーたちにも好印象を与えた。


「冷静で頼りになりそうな人だな」

凛が短く感想を漏らすと、真琴も「バリア技術を学べる機会があれば嬉しいですね」と興味を示した。


3. 浪速なにわ 翔太しょうた

年齢: 24歳

役割: 情報収集 / 妖気分析

武器: 双剣「雷刃らいじん」と「風刃ふうじん

「浪速翔太や!情報収集と分析は任せとき! けど、今日はこの双剣で、ええとこ見せたるわ!」

翔太は双剣をくるくると回し、明るい笑顔を見せながら挨拶する。彼のフレンドリーな態度に、葵が「私と同じムードメーカー枠ですね!」と嬉しそうに言った。


「亮とも合いそうだな。」

隼人がにやりと笑うと、亮は「おれあんなチャラくないですよ」と返した。


4. 此花このはな すず

年齢: 33歳

役割: 戦闘医療 / サポート

武器: 妖気を浄化する注射器型武器「癒光ゆこう

「此花鈴と申します。戦場では治療と浄化を担当しています。皆さんの力になれるよう頑張りますので、よろしくお願いしますね」

柔らかな笑顔で挨拶する彼女に、葵が「わぁ、優しそうな人ですね!麗奈さんと同じ癒し系かな?」と目を輝かせた。


「私たち、きっと話が合いそうですね。」

麗奈も穏やかな笑みを浮かべながら応じた。


5. 道頓堀どうとんぼり てる

年齢: 38歳

役割: 妖怪との交渉 / 対話担当

武器: 折り紙式神「千影せんえい

「道頓堀照でっせ。交渉担当やけど、たまには力も見せますわ。どんな状況でも落ち着いてやりますんで、よろしゅう頼みます」

彼は扇を軽く広げて一礼した。その風格のある振る舞いに、凛が「交渉役か……興味深いな」と感心していた。


「うちのメンバーはこんな感じですわ! ほな、東京の皆さんも一言どないですか?」

堂島が促すと、凛をはじめとした東京本部のメンバーが簡単な自己紹介を行った。


「お互い、腕を磨き合う良い機会にしたいですね」

凛が締めくくると、堂島は大きく頷いて笑顔を浮かべた。「ええ!ほな、早速試合を始めましょか!」


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