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狼の話

初日の夜、オレ達は皆との宴会の後、初めて狼としてこのレストランに集まった。

狼の部屋だけは、鍵が開いて出て来ることができたからだ。

オレは、自分が狼だったことで、陽太と太成とどう接していいのか分からなくなってしまって、つい冷たく接してしまっていたが、香織ちゃんが気になっていたし、そのせいにしてあまり関わらずにいようと思った。

現に、香織ちゃんを理由にしていればそれが感情なのか、人外だからなのか、村は判断に困っただろう。

だから、オレはそれを貫こうと思ったんだ。

寛さんが、どっかりとそこら辺に座って…そう、今藍が座ってる辺りだ。そこに座って、言った。

「オレが占い師に出る。」意見を聞くと言う感じじゃなかった。「真目を取って囲って行くことにするよ。狐を囲ってしまっても面倒だし、初日は悠斗にでも白を出しておく。二日目からは様子を見て、多分狐が居るから指定されるだろうし、指定先に入ったら囲って行く感じでいこう。」

オレは、独善的な感じの寛にイラッとしたが、黙っていた。

保が言った。

「良かった、寛さんは頼りになりそうだし。オレは騙りとか無理そうだからさ。克己はどうだ?」

克己は、顔をしかめた。

「オレも。なんかボロが出そうで怖いし、寛さんなら上手くやるだろうから任せるよ。」

寛は、フフンと得意げに言った。

「まあ、任せておけ。だが、初日はグレー吊りになるだろうから気を付けろよ?出来る限り庇ってやるが、変な事を言ったら限度があるからな。オレがいろいろこじつけて、何とかしてやるけど。」と、オレを見た。「悠斗は?霊媒にでも出るか?」

オレは、なんでオレがローラーされるかもしれない役職に出るんだと思いながら、むっつりと言った。

「様子を見とく。狂信者がどっかに居るだろうから、多分出るんじゃないか。背徳者も黙ってないかもしれないし、役職のCO祭りになるかもな。」

寛は、息をついた。

「それだ。」何のことかと皆で寛を見ると、寛は続けた。「狂信者だよ。あっちはオレ達を知ってるが、こっちは知らないだろう。今夜の宴会の後にでも声を掛けて来るかと思ったが、誰も近寄って来なかった。それらしい動きも無いしな。どうするつもりだろうな。」

保が言った。

「黙ってられないだろうし、多分議論の時とかに庇ってくれそうだから、分かるんじゃないかな。」と、伸びをした。「もう今夜は襲撃もないし、寝ようよ。明後日から寝不足になるかもしれないしさあ。いくらなんでも初日から吊られることはないだろうし、上手くやるよ。それらしいことを話しておけば、いっぱい居るし分からないさ。」

克己は、立ち上がった。

「だな。じゃあ寛さんに任せてのんびりさせてもらうか。」

寛は、おいおいと少し得意そうに言った。

「こら、ちょっとは頑張ってくれよ?全く。」

そんな仲間になった奴ら相手に、オレは馴染めないな、と思っていた。

オレは寛みたいなタイプは苦手だし、それに媚びるようなことも、他の二人と違って言えない。

だから、黙って部屋へ戻った。


次の日は、やっぱり陽太と太成とは話す気になれなかった。

お互いによく知った仲だから、バレるんじゃないかとヒヤヒヤしていたから。

まして、陽太は占い師だと言う。

恐らく本物だ…あいつは顔に出るから、嘘が付けないし狐だったら初日の役職配布の後からもっとびくびくしていたはずだから。

知っていたが、敢えて強くは言わなかった。

寛が騙りに出て調子に乗って保と克己をあからさまに庇ったから、律子さんに疑われていたし、オレはその寛の白だから、強く出て目立つのは良くないと思っていた。

香織ちゃんが占い師に出たのは驚いたよ。

まさかと思っていたし、でもあの子はそんなにオレを知らない。

だから、一緒に居ても怪しまれることはないと思っていた。

あっちもまんざらでもないみたいだった。

というのも、知り合いが居ないから、心細かったみたいだ。

彩菜さんと一緒に居たのは、最初に話し掛けてくれたからだと言っていたな。

だから、占い師だと信じて欲しいと言うから、信じるよと安心されていた。

何か情報が落ちるかもしれないし、万が一にも狂信者の可能性もあった。

だから、あっちが何か言って来るのを待っていた。

陽太と太成には悪いと思っていたが、案外にみんな上手く騙されてくれた。

オレが香織ちゃんばっかりで、他に目もくれないと思っていただろう?その方が都合が良かったんだ。オレは香織ちゃんを利用してたし、香織ちゃんもオレを利用しようとしてたと思う。

でも、その夜庇いようがなく疑われた保が吊られて行った。

寛さんもオレが疑われたらもともこもないと言って、保を切った。

もうこのままでは、克己も時間の問題だ。

一日目の夜、狼で集まった時、寛がその辺の物に当たり散らしながら、言った。

「なんだって変な事を言うんだよ!」寛は、克己に怒鳴った。「お前らのせいで、オレまで疑われた!庇うんじゃなかった…あの律子って女は、思ったより手強いぞ!明日保に真霊媒から黒が出るのに…どうするんだよ!」

克己が、前日の夜とはうって変わって項垂れて言った。

「もうダメだ。適当にあわせてたら大丈夫だと思ったのに。大和のせいだ!あいつが、オレ達を怪しいとか言うから!」

オレは、言った。

「…でも、どうするんだ?明日はもし菜々子さんが真なら、克己を絶対占うぞ。怪しまれてた筆頭だからな。狐だったとしても絶好の位置だから黒を打って来るはずだ。そうなった時の、村の反応が気になるし、寛さんも庇ったと思われてるから更に怪しまれることになる。真霊媒が二人確定しているからな。連続で吊られて黒が出たらまずい。」

寛が、ギリギリと歯を食い縛って言った。

「…オレも、彩菜さんに黒を打つ。」克己が驚いた顔をした。克己は続けた。「賭けだ。村はどっちを吊るか迷うだろう。」

克己が言った。

「でも、彩菜さんが吊られたら白が落ちて寛さんの偽が確定してしまう!まずいことになる!」

オレは、寛の考えを見透かした。

恐らく、迷う村に彩菜でなく克己を吊らせようと思っているんだ。

「…克己を切るのか?」

克己が驚いた顔をする。

寛は、頷いた。

「仕方ない。克己、明日オレは、恐らく菜々子さんは君を吊り推すから、それでもいいと言う。相方が誰だか分からない以上、黒がある位置だからと。必ず勝つから、明日吊られてくれ。そしたら、霊媒が生き残っていても黒が出るからなんとかなる。とりあえず、今夜はなんとしても霊媒の片方を抜かないと。」

オレは、考えた。

霊媒でしっかりしてそうなのは、忠司。

「…普通に考えたら、狩人は恐らく忠司を守る。愛美ちゃんはどことなく頼りない感じだっただろう。でも、裏をかいてくるかもしれない。どうする?」

寛は、汗を流しながら考え込んでいた。

誰も居ないから、寒いぐらいだったのにな。

「…愛美ちゃんにしよう。」寛は、言った。「ダメでも連続噛みしたら次の日落とせる。次の日は忠司。霊媒をなんとしても落として、彩菜さんの色を見せないようにする。もし吊られても…その時は、また考えよう。」

克己は呆然と聞いていたが、頷いた。

「分かった。でも、オレは錯乱した村人になるよ。」オレが驚いていると、克己は続けた。「そうしたら、オレの色が分からなくなる。あんなに言うんだから、村人だろうって。だから、オレは…演じるよ。」

その声が震えていた。

不安だったが、克己にも意地があるだろう。

なので、オレ達は黙って頷いて、そうして愛美ちゃんの番号を打ち込んだ。

どうなるかは、次の日の結果次第だった。

「…狂信者は、何をしてるんだよ…。」

克己が、呟くように言ったが、それはオレ達には全く分からなかった。


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