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五日目朝の会議

船首ラウンジには続々と人が集まっていたが、悠斗だけは来ていなかった。

最後に入って来た寛が、皆の問い掛けるような視線を浴びて、何を問われているのか察して、言った。

「…ダメだ。あいつは香織さんの側から離れない。説得してみたが上の空で、吊るならオレを吊ってくれと取り付く島もない。投票にだけは来るように言うよ。」

皆、頷いた。

香織が狐で悠斗が背徳者だと言う考えは、悠斗が生きている事でこれで消えたが、あの悲しみようはどうも、香織の陣営を知らなかったのだと思わせた。

寛の占い先に指定された時も、昨日陽太の占い先に指定された時も特に騒ぐことも反対することもなく、落ち着いていたのだ。

そう考えると、香織は狐ではなかったのだろうか。

皆がそんな風に思っている中、寛は着席して、丞は言った。

「…永人と一緒に考えた。」と、ノートを出して言った。「村目線では真占い師の可能性があるのは呪殺を出した寛さん、陽太のうちに必ず居る。やっぱり、太成は黒ではなかったと思う。なぜなら、初日に保と克己の二人が疑われた時に、どちらに入れると聞いたら、保と理由をつけて答えているんだ。実際保に入れているし、昨日の菜々子さんにしてもやはり今日こうなって分かったことだが、呪殺ではなかった。だから、香織さんは恐らく偽だ。問題は、香織さんがどの陣営だったかと言うことだ。」

寛が、言った。

「いや、オレ目線では香織さんが偽だと言うのなら、いくらレアケースでも狐と背徳者が一緒に占い師に出ていたと考えるよりないんだ。」皆が寛を見るので、寛は続けた。「なぜなら、健と悠斗、猫又COしている二人が白だからだ。狐が死んだ今、背徳者ではあり得ないので、片方が狂信者だと考えるしかない。なので、オレ目線ではスッキリして来ていて、香織さんが偽ならば背徳者で陽太が狐と考える。真だったら香織さんが噛まれていて、陽太が狐だったということだ。どちらにしろ、オレ目線では猫又に居る人外は白人外なので、狂信者しかあり得ないから、オレのグレーの中に狼がまだ一人居るという事になる。」

丞は、頷いた。

「そうなるだろうな。」と、ため息をついた。「結局、となると克己と彩菜さんがどの陣営だったかになるんだよ。まさか二人ともってことはないだろうけど…そうなると、狼はあと一人だけだからな。」

寛は、言った。

「オレ目線じゃ、香織さんが偽だと村が言うならだが、菜々子さんが真で相方だから、グレーの誰かが狼で終わりってことになるな。仮に香織さんが相方だった場合でも、保、彩菜さん、太成でグレーに狼。だから、オレ目線じゃもう、グレーを処理して行けば人外は居なくなる。」

丞は、また頷いた。

「その通りだ。つまり寛さん目線では、狐の呪殺ができた今、もう自分のグレーの中に一人しか人外は居ないことになる。今10人であと4縄、寛さんのグレーは役職を除いて藍、郷さん、睦、大和の四人なので、一人でも占ったらそれが白でも後を吊り切って間に合う算段になる。」と、息をついた。「…次に、同じように陽太目線だ。陽太のグレーは大和一人しか残っていなくて、黒は寛さんしか引いてない。なので、陽太目線は保と、克己か彩菜さん、太成でもう一人か二人狼だが、寛さんは絶対に相方ではない。香織さんも呪殺しているので、陽太目線では相方ではないから、菜々子さんが相方となって克己が狼。つまり、寛さん、保、克己が確定で狼となって、残りは自分のグレーの大和か、猫又の中に居る事になる。もちろん、香織さんが狐という目線になっているので、太成が狼という事もあり得る。その場合は、寛さんで終わりだな。陽太目線、寛さんと、偽の猫又で終わりという事になるから、吊り縄は足りる。真猫又を吊ってしまっても、4縄あるからな。」

皆が、真剣に聞いている。

睦が、言った。

「じゃあ、どうするの?今日の吊り先は?」

それには、永人が答えた。

「必ず明日が来るための吊りをしようと思っている。」皆が永人を見た。「オレは、今日は生き延びたが、明日は死ぬだろう。これから、白いと思っても盤面上必ず吊って置いた方が良い所を、吊って行くことにしたんだ。だから、従って欲しい。狼は、寛さん目線はグレーの藍、郷さん、睦、大和に一人、陽太目線では大和か猫又に一人。二人目線でグレーなのは、大和一人だ。だから、今夜は大和を吊って、陽太目線のグレーを消し、寛さん目線のグレーを減らす。これで終わらなければ陽太目線では猫又と寛さんで終わり、寛さん目線では、明日残った藍、郷さん、睦のうちの一人を占い、白でも黒でも盤面がかなり詰まる。吊り縄は足りる。なので、明日は寛さんを吊って、明後日は寛さんの結果次第で村が考えてくれ。猫又は決め打ちになるだろうが…村目線で、しっかり考えて選んでくれ。」

もう、永人は遺言のようになっている。

まだ朝なのに、皆の表情が重くなった。

大和が、ため息をついた。

「オレ目線は寛さんを吊って欲しいと思うが、村目線だと思うと、整理位置だから仕方ない。オレも寝て待ってる。だから、村はしっかり議論して必ず勝ってくれ。ちなみにオレは、まだ陽太が真だったと思ってる。だから吊られるのに同意するんだ。明日寛さんを吊って、その次は猫又のどちらかを吊ってくれ。頼んだぞ。」

大和は、吊られる事に同意している。

つまりは、人外だったとしてもラストウルフではないということで、寛目線では白く見えるはずだった。

だが、特に何も言わなかった。

藍は、言った。

「…大和は白い。」皆が、今の話を聞いていなかったのか、と思いながらも、藍を見る。藍は続けた。「だけど村目線では吊る。それが一番スッキリするからだ。でも、寛さん目線では、僕、睦、郷さんの三人が大和と大差なく見えてるはずなんだ。いや、初日からずっと陽太と一緒に居た、僕が最黒位置じゃないかな。なのに、大和でいいの?明日寛さんが吊られたら、猫又に狂信者が居るならまずくない?グレーの狼と票を合わせて来るんだよ。できたら今日、狼をしっかり吊っておきたいはずだよね。まして、大和はこんなに白いのに、飲みたくないでしょ?そんなに落ち着いてるのはなぜ?」

寛は、グッと眉を寄せた。

「村が決めたことを、とやかく言ったらまた怪しんで来るんじゃないのか?だから、村目線でそうすると決めたなら、別に口出しもせずにおこうって思って黙っていただけだ。」

藍は、眉を寄せた。

「それって、怪しまれずにおこうって人外に見えるんだよね。真占い師なら、もう詰み盤面なんだから強めに言うんじゃないの?まして、あなたは明日確実に吊られるんだよ?」

寛は、怒ったように藍を睨んだ。

「そこまで言うなら、確かに君がオレのグレーの中では一番黒いと感じる。だが、陽太が狐だったことから、知らなかった村人の可能性があると思っていた。自分に白を出した占い師だから、狐陣営だと知っていて擦り寄っている狼だとしたらそうかもしれないし、できたら君を吊りたいと思う。だが、占ってもいいと思っているがな。オレは明日まで生き残れるんだしな。」

大和が、またため息をついて割り込んだ。

「とにかく、今日はオレでいい。それで、明日は寛さんだ。オレはオレが白だって知ってるが、村が必ず勝つためには、村目線が惑うような人物が残ってたら駄目なんだよ。どうせ、明日寛さんがオレに黒を打ったらみんな迷うんだ。だったらここで、さっさと吊られとく。とにかく、順番に丁寧に進めて行くんだ。その間に、猫又の中の、白人外だろうが、黒だろうが、偽者の方をしっかり精査するんだぞ。そうだ、もう今からやれ。どうせ、今夜はオレ、明日は寛さんなんだから、この二日は猫又精査を進めろ。オレは白だから、陽太目線じゃ絶対猫又に狼が居るんだ。そこが重要になって来るぞ。寛さんが真だとしても、絶対に最終日に行くためには、狂信者だって残しておくのは危ないからな。」

こんなに白いのに。

皆は、そう思った。

きっと、大和は白だ。

だが、白い人外の可能性もあるので、ここで吊って置くしかないのだ。

ここは大和の言う通り、猫又の精査に時間を使う事にして、とりあえず朝の会議は、それで解散となったのだった。

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