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四日目の投票

投票、30分前になった。

再び全員で投票ルームへと集まった。寛もむっつりとした顔をしていたが、悠斗に説得されたのかそこに座っていた。

生き残っている全員が揃ったところで、丞が疲れ切った顔で、言った。

「…まず説明する。」と、立ち上がった。「陽太のグレーは役職者が出揃った今、大和と太成の二人。菜々子さんのグレーは藍、太成、郷さん、睦の四人。寛さんのグレーは太成、藍、郷さん、睦、大和の五人。香織さんのグレーは藍、郷さん、睦、大和の五人。つまり、太成は三人からのグレーで香織さんから黒、藍、郷さん、睦、大和は三人からのグレーで同じ条件だ。太成だけ、他と条件が違っているんだよな。こうして見ると、一番詰まってるのは陽太なので、明日ぐらいにしっかり見えて来るはずだ。今夜は、グレーが五人で視点が詰まっていない香織さんと寛さんの事を考えて、この二人のグレーで重なっている所、藍、郷さん、睦、大和、そして香織さんの黒で寛さんのグレーの太成の五人の中から投票してもらう事にする。」

太成が、言った。

「そんな!みんな、白いし、その中に人外なんか居ないと思う!陽太が一番見えて来てるんだよ!大和が人外じゃないなら、陽太目線では残りの人外はみんな役職の中なんだ!」

丞は、頷いた。

「そうかもしれない。だが、狐の位置がほんとに分からないんだ。」と、顔をしかめた。「…永人と芙美子さんと考えたんだが、背徳者の位置が全く見えなくて。菜々子さんが呪殺だとしたら、背徳者はもう処理されている事になるが、それらしい場所がなかった。菜々子さんは、特に親しく話をしている人が居なかったからな。普通に考えたら仲が良かった香織さんと彩菜さんかと思ったが、だとしたら寛さんが香織さんに白を打ってることから分からなくなってしまった。陽太目線では寛さんは黒なんだろ?狼からは、村人よりずっと見えてることがあるはずで、狐の位置だって、狂信者の位置が分かっている狼になら占い師に出ているなら透けているはずで、そうなった時寛さんは、不用意に白なんか打てないはずなんだ。だが、香織さんと同陣営にも見えない。というのは、彩菜さんが黒だと言った寛さんに対して、香織さんは白だったと発言精査で思って言ってたわけだろう?同陣営だったら、噛み合わなさ過ぎる。狂信者は、初日から狼に繋がりに行っているはずだし、そんな切り方はおかしいしな。そんなわけで、分からないんだ。まだ生きているとしたら、かならずグレーの中に居る。狼が出て来ていない事から、狼もまだ複数残っているんだろう。狐ケアでグレーを吊りながら、進めて行くよりないんだ。」

陽太は、だとしたら、自分は大和か太成にしか、入れることができない、と思っていた。

他は、白だと知っているし、生き残っている以上、狐でもないのだ。

この二人が、狐かと言われたら、可能性が無いとは言えなかった。

「その間に、役職を占う事にした。」永人は、言った。「オレがどこまで生き残れるのか分からないから、そこは丞と芙美子さんに頼んだ。占い師同士の相互占いを、今夜は寛さんが陽太、陽太は香織さん、香織さんは寛さんを占ってくれ。明日の夜は猫又を占って、色を見るってことで。また占い師が噛まれたら、残りの占い師は問答無用で吊り切ろうと話してる。だから、狼は噛みづらいだろう…まあ、出ているのが狂信者だったら噛んで来るかもしれないけどな。」

「狂信者噛みまであるよ。」睦が言った。「狼が囲われてたら、占い先を白置きさせるためにね。」

丞は、ため息をついて頷いた。

「とにかく、役職者は占い師四人、猫又二人で合計三人外露出してる。恐らく二狼吊られていて、グレーに残りの二人外が居るって事になる。この方法で、グレーの中の二人をあぶり出して吊って行きながら、役職の中の人外を詰めて行くよりないって話になったんだ。その際、偏った考えは一旦捨てて、全占い師目線でのグレーを詰めて行くってことで。そりゃ律子さんで人外が落ちてくれてたらいいとは思うけど、今考えても白かったと思うから。慎重に行く。」

『投票、五分前です。』

もう慣れて来た、声が言った。

「もう時間か。」寛が、モニターを見上げて言った。「まあ、しっかり考えてくれたから、オレもそれを飲む。自分のグレーの中で、怪しいと思う位置に投票する。」

そうして、全員が険しい顔をしたが、腕輪のカバーを開いた。

今日はグレーから、投票するのだ。


『投票してください。』

声が告げた。

陽太は、太成か大和か、真剣に悩んでいた。

太成は黒を打たれた後、逆に白くなったと思っていた。頑張って考えていたし、怖がりなのに必死に立ちむかおうとしている様が、陽太には白く見えた。

だが、大和の初日からの保や克己に向けて指摘は、とても身内切りには見えなかった。

保は間違いなく黒だったと真霊媒から証明されていたので、その指摘は白かった。

とはいえ、それが狐だったらと言われたら、確かにやるかもしれなかった。

なので、陽太は究極の二択だと思いながらも、大和、17に投票した。

『投票が終わりました。結果を表示します。』

1(陽太)→17(大和)

2(悠斗)→3(太成)

3(太成)→17(大和)

4(藍)→17(大和)

5(永人)→3(太成)

6(丞)→3(太成)

7(郷)→3(太成)

9(芙美子)→3(太成)

11(睦)→3(太成)

13(香織)→3(太成)

14(寛)→3(太成)

15(健)→3(太成)

17(大和)→3(太成)

大きく、№3と表示された。

やはり黒を打たれているのが響いたか…!

陽太は、思って見ていた。

太成は、その結果を見て顔を引きつらせていたが、しかし暴れたり叫んだりはしなかった。

『№3は追放されます。』

電気がパッと消えて、モーターの音が聴こえて来る。

太成の声が言った。

「絶対、香織さんを吊って!オレは白だ、素村だから!」

そして、そのまま声が聴こえなくなって、ガシャンという音がした後、パッと電気が点いた。

そこからは、椅子ごと何も無くなっていた。

「…太成…。」

陽太は、唇を噛んだ。

自分が、どうしても太成を占いたいと丞に言えば良かったのか。

だが、今日になって自分の真目もなぜか下がってしまって、このままでは自分だってどうなるか分からない。

太成に白を打っていても、黒いと言われて吊られてしまった可能性もあった。

もう、いっそオレを噛んでくれ。

陽太は、がっくりと肩を落としてそう思っていた。

太成を失ってしまった…なのに、悠斗のあの、冷たい目はなんだ。

陽太は、悠斗は人外だ、とその時思った。

友達として、一緒に遊んでいた面影が、その顔には全く見当たらないのだ。

太成を陥れて、吊ってしまったのに何の良心の呵責も感じていないのだろう。悠斗は、人外だから初日から自分達に寄って来なかったのではないか。

陽太は、そう思いながら、ぞろぞろと無言で立ち上がって部屋を出て行く皆を、まだ座ったまま茫然と眺めていた。

すると、そんな陽太に声を掛ける人が居た。

「…行こう。」ハッとして顔を上げると、それは藍だった。「僕も、太成は白だったと思うよ。陽太、今夜はその太成に黒を打ってた香織さんを占えるんだ。しっかりしろ。もしかしたら狐で、呪殺ができるかもしれないぞ?頑張ろう。」

陽太は頷いて、藍に感謝して最後に藍と共に部屋を出た。

だが、投票先は太成、陽太、藍以外は皆、太成に入れていて、ここにラインがあると言われたらそれまでなのは、陽太も藍も、理解していた。

明日からの議論は、厳しくなるだろうと二人は覚悟していたのだった。

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