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四日目夜の会議2

「…確かに寛さんは間違ってない。」睦が言った。「狼だったなら、初日から狩人を知っていて噛んで来ないのはおかしい。結果的に狼は狩人との賭けに勝って愛美さんを噛めたけど、それよりは狩人を初日に噛んでおいた方が後々進めるのに有利なんだ。確白位置なんだしね。なのに敢えて賭けに出た。昨日は菜々子さんを噛んでいる。占い師に手が掛かる危ない位置だ。呪殺でないなら、占い師のローラーが始まっても吊られない位置に居る狼がやったと思うと辻褄が合う。仮に呪殺だったとしたら、狼は噛み合わせに成功していることになるし、香織さんが真だと狼に透けていて、それが確定されることを嫌ったということになって、太成が黒になる。菜々子さんが真だったとしたら、占われる先にどうしても疑われるわけにはいかない人が居たと判断されるし、いずれにしてろ陽太はそこまで信じられる状況ではないってオレは思う。丞はどう思うの?」

丞は、それを聞いて顔をしかめた。

状況…。

そう、状況から陽太を白だと思っているだけだった。

白先が皆白いのもあるが、敢えてそういうところを占うふりをして白を打っていたとも考えられた。

村に信じさせて、決定的な時に黒を打つためだ。

そう考えると香織も白先は皆白かった。律子、芙美子、そして太成に黒。

占った理由も正当だ。

なのにどうしてと言われたら、限りなく信じるのが難しかった。

「…確かにオレは思考ロックしていたかもしれない。」丞は言った。「太成に黒が出ているのに、無視するような行動だった。狼がラストウルフCOしていないということは、まだ狼には余裕があるのか、それともCOできないほど数が減っている、つまり本当にラストウルフだからできないのかもと考えて、それ以外から吊るのが先かと思って。だが、確かに今睦が言ったように、寛さんが狼なら初日に永人を噛んでいないのはおかしい。菜々子さんで呪殺が出ているという事から考えてもいなかった。確かに、おかしな考え方だったかも知れない。ここは…太成を吊ってみるべきなのか?」

太成が、息を飲む。

陽太が、慌てて言った。

「太成は今夜じゃない!もしラストウルフだったら、狐が処理されていないのに村が負けることになるのに!」

睦が、陽太を睨んだ。

「太成が白なら大丈夫なんじゃないの?現に太成は昨日、自分も香織さんも吊っていいと発言していた。つまり太成を吊っても、まだ終わらないということだよ、昨日吊った律子さんが狼でない限り。太成が狼であっても、村人であってもね。あと6縄でしょ?7人外のうち、少なくとも2人外は落ちてる計算だから、まだ一縄余裕があると思うけど。狂信者と背徳者は、最悪吊らなくても良いしね。まだ残ってたらだけど。」

律子は、黒ではなかった。

それは、村の総意で結論付けた。

ならば、ここは呪殺を出したかもしれない香織の黒先の、太成を吊っておくのも有りかも知れなかった。

何しろ、太成は昨日自分を吊って香織を吊れと言っていたのだ。

それで白く見えて律子と健へと票が流れたが、思えばそうしておいた方が良かったのかも知れなかった。

「…どうしたらいいと思う?」丞は、芙美子を見た。「もう、何も信じられなくなった。陽太を盲信していたが、睦が言うように絶対ではないんだ。バランス良く吊っておかないと、陽太が偽の時に最速で詰むことになる。」

芙美子は、丞をなだめるように言った。

「それは私も同じよ。もう永人さんが露出してしまったし、明日から狼が噛み放題になるわ。少し永人さんと三人で話して来ましょうか…私たちの意見が合わないと、難しいことになるわ。」

丞は頷いて、立ち上がった。

「ごめん、ちょっと休憩だ。時間は…」と、時計を見た。「もうこんな時間か。じゃあ7時半にまたここで。すまないが、寛さんにもここに戻ってくれるように言ってもらえるか、悠斗。また話したいからと。」

悠斗は、険しい顔で頷いた。

「言ってみる。でも怒ってたから、分からないけどな。」

そうして、その場は一旦解散になった。

陽太は、自分を信じてもらうにはどうしたら良いのかと真剣に悩んでいた。


一旦、みんなレストランへと移ったが、みんなバラバラで、陽太の側には藍と太成の二人しか居なかった。

睦は香織の方へと話しに行っていて、大和もそこに居た。

悠斗はどうやら寛に話をつけに行っているらしく、そこには居ない。

健は睦達と合流していて、芙美子と永人、丞は部屋に戻っているのかここには居なかった。

郷が、ぶらぶらと入って来て、こちらへ歩いて来た。

「よう。三人は部屋で籠って話してるようだ。お前らはあっちと話さないのか?」

藍が、頷く。

「なんか敵対っぽいからね。平行線じゃないかな。睦は陽太の白なのに、なんか疑ってるからね。僕目線、睦って狂信者なんじゃないのかって思えて来てる。」

郷は、苦笑した。

「いや、あいつは多分、警戒心が強い村人だろう。丞が結構思考ロック気味だったから、こうなるんじゃねぇかと恐れてたんだ。こりゃ呪殺を出さねぇとまずいな。狐がまだ残ってるとしたら、どこだと思う?」

藍は、首を振った。

「分からないよ。僕は自分が囲われてないから分かるけど、陽太は嘘はついてない。初日からずっとね。だから、陽太の白先には居ないと思う。だから、大和、健さん、悠斗、香織さん、寛さん、太成の中に一人だ。菜々子さんが違うならだけどね。」

郷は、頷く。

「その中から何とかして狐を探して占うしかねぇな。そうしないと疑いは晴れねぇ。とはいえ狼も心得てるから、まだ狐が処理されてねぇと思っていたら噛み合わせて来るだろうがな。背徳者がまだ生き残っていたら、一気に減るから分かりやすいんだが…菜々子さんが呪殺と特定できないのは、背徳者の位置がハッキリしないからだ。それが分かったら、狐の位置も特定しやすいけどな。」

そうか、背徳者…。

香織が呪殺を出していたとしたら、背徳者はどこかで落ちているということになる。

それらしい位置はどこだった?

ここまで死んだ中に、菜々子と繋がって居そうなところはなかったように思う。

「…菜々子さんって、あんまり特定の人と一緒に居なかったよね。」藍は言った。「背徳者とあからさまに一緒に居たら、まずいことになるもんね。」

太成が、ハッとして言った。

「じゃあ、彩菜さんだ!」陽太、藍、郷がこちらを見た。太成は続けた。「オレ目線じゃ絶対香織さんは人外だから、香織さんが狐で、彩菜さんが背徳者で、寛さんがやっぱり偽なんだよ!だって彩菜さんに黒を打ってるんだから!」

それには、陽太が顔をしかめた

「確かにオレ目線で寛さんは黒だから偽だけど、香織さんの相方が彩菜さんって…出来過ぎじゃないか?あんなに一緒に居たら、怪しんでくれって言ってるようなもんだし。」

藍は、言った。

「…でも、香織さんは忠司が残したかもしれない結果を知った時、彩菜さんは白だったって言ってたよね。」陽太は、確かに、と思った。藍は続けた。「背徳者だったとしたら、それを知ってたって事になるよ。陽太目線でも、それがしっくり来るんじゃない?」

陽太は頷いた。

だが、初日からガッツリ繋がっていた狐と背徳者というのが、どうも解せなかった。

しかも、寛が囲っているだろう、悠斗と健のうちのどっちかが狼だとしたら、悠斗は狼ではないだろう。

何しろ、狐だと狼からは透けているはずで、その香織を庇うのは狼にとっても死活問題だからだ。

寛も、香織に白を出しているしそんなことをしてしまったら、狐の香織が残り続ける事になってしまうのだ。

陽太は、首をかしげた。

「…分からなくなった。寛さんが黒だってオレには見えてるから、狼なんだよ。狼からは、狐が何となく見えているはずだ。狂信者とも繋がっているはずだし、占い師に出ているのか居ないのかも知ってるはず。狐の香織さんに白を打ってしまったら、吊れなくなってしまうだろう?寛さんが香織さんに白を打った時点で、オレには香織さんは、真か狂信者に見えて来るんだよね。」

寛が狼なら、狐には黒を打つだろう。

だが、寛は自分が占うと言って、白を出した。

寛が狼だと見えている陽太にとって、真を味方に付けたいのか、狂信者を囲いたいのかどちらかと考えるのが自然だった。

藍が、ため息をついた。

「そうだな。」と、郷を見た。「郷さんは?どう思うの?」

郷は、同じようにため息をついた。

「オレは、だったら香織さん以外を占うしかないんじゃないかと思うけどな。だが、寛が狼だったとしても、狐が見えていない可能性もあるけどな。狼目線にならないと、分からないしな。」

陽太は頷きながら、今夜必ず呪殺を出さねばならないと、深刻な顔になった。

狐がどこなのか、本当に全く分からないのだ。

背徳者が悠斗だったとしたら、分かりやすいのにと思いもしたが、それなら彩菜と同じであまりにもあからさまだ。

陽太は、がっくりと項垂れて考えに沈んだ。

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