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四日目夜の会議

今回、夜会議は6時からにした。

何しろまだ全く全員で意見を出しあえていなかったし、何か真事実があったら考えが変わるかもしれないからだ。

全員が続々と投票ルームへと集まって来て、椅子へと座った。

後半位置がスカスカになって来ていて、その辺りの人が皆、追放されて行った事が嫌でも目に付いた。

丞が、言った。

「…じゃあ、会議を始めよう。何人かとは集まって朝も昼も話したんだが、残りはどうだ?そっちは何か議論に進展があったか?」

寛が、むっつりとした顔で言った。

「共有がすっかり取り込まれているように見えているがな。」丞が、言われて眉を寄せる。寛は続けた。「オレから見たら完全に偽者である陽太を、真だと信じてそっちで勝手に話しているわけだろう。オレの話も聞かずに、そっちの話ばっかりで偏った考えしかできないのなら、もう勝手にしろと思っている。陽太の言う通りに吊って行って、終わりを迎えたらいいんじゃないか?」

寛は、怒っていた。

寛の方から見ると、確かにおかしな話なのだ。

まだ呪殺を出しているわけでもない陽太を真だと妄信し、その結果を信じて寛や、呪殺を出したかもしれない香織すら遠ざけて勝手に話を進めている共有者、と映るのだろう。

丞は、それを聞いてバツが悪そうな顔をした。

睦が、言った。

「確かにこっちは偏ってるとオレも思ってる。だから、信じ切ってないって常にバランスをとるようにしてたよ。共有者があまりにも陽太陽太で、何を基準にって思う事が多いからね。オレは死にたくないし、狼に騙されたまま終わるなんて嫌だから、しっかり見るつもり。寛さん側の意見だって聞きたいと思ってる。」

寛は、睦を見て頷いた。

「どうせ、共有者は聞いてないんだろう。オレが何を言っても難癖付けては陽太の黒だから吊らせてもらうとかじゃないのか?もういい、オレを吊れ。どうせ負けだ。まず永人が噛まれて、丞、芙美子さんも噛まれても終わりだろ?」

永人?

どうして永人だ。

陽太が思っていると、丞がえ、という顔をした。

「どうしてそれを…」

フンと寛は鼻を鳴らした。

「とっくに知っていた。永人はそれほど意見を出しているわけでもないのに安定して疑われない位置に居たし、君ともよく一緒に行動していただろう。いくら一緒に来た友達だからって、それはおかしい。菜々子さんから白が出て居た先だったというのもあるが、占い指定するのに迷いも無かったしな。だから、オレは狩人が誰かなんて、とっくに分かっていたんだ。」

丞が、絶句している。

狩人は、永人だったのか…!!

陽太が驚いた顔で永人を見ると、永人はしかめっ面で言った。

「…当てつけのつもりか。狼は知らなかったかもしれないのに。」

「オレが狼なんだろう?」寛は、嘲笑うように言った。「だったらとっくに知っていたという事だ。君らから見たら別にもう良いってことだろ?」

永人は、言われてグッと黙った。

そう、寛が永人を狩人だと知っていたなら、昨日は菜々子を噛むより永人を噛んでおいた方が、今日からいくらでも噛み位置を選べただろう。

初日に知っていたとしたら、黒出しを一日遅らせたら初日永人、二日目愛美、三日目忠司と順当に危なげなく噛めたはずなのだ。

寛が狼だったなら、おかしな話だった。

健は、言った。

「こっちではおかしな話だが、君たちが…丞、芙美子さん、郷さん、藍、陽太、睦、太成、大和、永人の9人が他を寄せ付けない勢いで話しているから、寛と香織さん、それに対抗しているオレと悠斗と4人で話し合うしかなかったんだぞ。そもそも菜々子さんが噛まれたのか呪殺なのかはまだハッキリしていないのに、なんだってそっちはそんなに見えてるような動きをしてるんだ。オレ目線では悠斗が偽な他、まだ何も分からないんだ。寛さんだって真の可能性があるし、仮に香織さんが呪殺を出していたら真だから太成は黒じゃないか。共有者がおかしいんだ。もっとどっちの意見も聞いて、精査して行かないといけない。オレは逆に陽太が怪しいと思っている。菜々子さんが噛まれているのならな。寛さんを陥れようとしている動きは、初日からあった。陽太はただ怪しい動きをしないように仲間に守られている狼かもしれないのに、おかしくないか。陽太の白先が全員本当に白なのか?守っている狼が、そこに含まれているんじゃないのか。」

寛や悠斗、健や香織を完全に排除して話を進めるのは確かにおかしい。

寛と健の怒りはもっともだった。

悠斗が、言った。

「まあ、もういいんじゃないか?寛さんも言ってただろう。もう別に吊られても構わないって。オレも別にもういい。狼には噛まれないし、どうせオレと健は残されて、最終日にどっちか吊られて終わりだろう。好きにしたらいいさ。ちなみに寛さんは、初日から永人か大和が狩人位置だろうなって予想して、大和がガンガン話すから、多分永人だろうって言ってた。寛さんが狼なら、もう初日から噛まれていたと思うぞ。そっちの陽太は驚いた顔をしていたから、気付いてもいなかったようだがな。」

陽太は、唇を噛んだ。

確かに、何も考えていなかった。

狩人位置に関しては、丞が知っているんだから任せておけばいいと思っていたからだった。

香織が、口を開いた。

「…私も。それは初日に悠斗さんに聞いていたわ。でも、私はまだ寛さんを信じていなかったし、あまりにも悠斗さんが寛さんが陥れられているように見えるって言うから、信じられなくなって離れていたの。でも…太成さんに黒が出た昨日、相方だと思っていた陽太さんが色が見えていないはずなのに、太成さんを信じているようだったから、悠斗さんが言っている通りなんじゃないかって思って。それで悠斗さんと一緒に居ることにしたの。だって、私にだって占っていない所の色なんか分からないわ。彩菜さんが白だと思っていたのは、初日から私を信じていろいろ意見を聞かせてくれていて、占ってくれたらいいって堂々としていたからよ。私が太成さんを占ったのは、やたらと脅えているようだったから。村人なら、白しか出ないのが分かっているんだから脅える必要なんてないじゃない。そしたら黒だったの。」

陽太は、言った。

「太成だってオレに占って欲しいと言っていたし、オレ以外に占われると黒を打たれるかもって脅えていたんだ!だから太成は白いと思っているんだ!」

悠斗は、言った。

「君なら白しか出さないと分かっていたからじゃないのか?」悠斗は、睨むように陽太を見て言った。「初日から一緒に居すぎなんだよ。オレは、自分が役職者だからあんまり馴れ合い過ぎて、君たちが敵だった時に怖いと思って少し距離を取っていた。香織ちゃんには確かに個人的に話したいと思っていたが、そこまで浅はかじゃない。探りを入れていたんだ…彩菜さんの色も見えるかと思って。」

香織は、言った。

「あの、でも今は私も彩菜さんが私にすり寄っていた人外だったかもとは思っているわ。だって、寛さんが相方だったらあの人は黒だものね。私が菜々子さんを呪殺していたとしたら、菜々子さんは狐だし克己さんは白だった可能性が高いと思うわ。もちろん、何らかの視点で狼が分かって黒を打っていたかもしれないけど…太成さんがラストウルフには見えないから、菜々子さん狐なら克己さんは限りなく白ね。」

任意の議論に加わっていなかった四人の意見は、そちらの目線では当然のことだった。

寛が、面倒そうに言った。

「もう、だからどうでもいい。どうせこいつらはオレ達の話の一割だって聞いてないんだ。オレを吊って香織さんを吊って、最後に悠斗か健を吊って負けてから分かるんじゃないか?もういい。オレを吊れ。」と、立ち上がった。「投票10分前には戻る。こんな所に座ってる時間が惜しい。死ぬまで旨いものでも食って海でも眺めてる。目覚められるはずがないしな。案外、死ぬ時間が分かるのは良いことだ。」

寛は、そう言うと、立ち上がって投票ルームを出て行った。

丞は、むっつりと黙ってそれを見送った。

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