表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/50

四日目昼

「占い師の精査は、初日からしていたけど」藍が言う。「菜々子さんが真だったか、それとも香織さんが真で呪殺が起こったのか分からないけど、安定して陽太は白かった。ここへ来て、菜々子さんが真だった場合、今回噛まれたのは恐らく陽太に黒塗りするためだと考えたらスッキリする。陽太を噛みたくても、狩人が守っていて噛めないからだと思うんだ。寛さんが黒を出されるから、何とかして陽太を黒くしたかったんじゃないかな。だから噛んだ。狐だとしたら噛めないから分かるが、噛めたという事は菜々子さんは白、真占いと判断したって考えたら分かりやすいんじゃ。」

「克己さんに黒を出したから、どっちかの判断は狼からついていたかと思うけど。」睦が言う。「そうだね、占い師からだったら寛さんが圧倒的にどっちにしろ怪しい。だから、とりあえず寛さんに入れるけどね。丞は、猫又の精査からしたいの?」

丞は、困ったように皆を見回した。

「いや、オレはもう、分からなくなって来てて。だから、どうしたらいいのか相談したかったんだ。陽太が言うなら、占い師から吊ってもいいかと思う。香織さんと寛さんのどちらかを吊って、今夜陽太に香織さんを占ってもらうのがいいかって思う。そして、香織さんは猫又のどっちか。狐を探して行くのがいいと思わないか?」

郷が、腕を組んで言った。

「だが…人外の数はしっかり把握して進めて行けよ。寛が狼だと分かったなら、それを飼っておいて先に狐を探して行く方がいいのかもしれねぇ。狼が、少なくとも二人は吊られているとしたら、残っているのは後二人。寛を吊っちまって、うっかりグレーに潜む黒を吊っちまったら狐勝ちになっちまうぞ。」

大和が言う。

「そうだとしたら、猫又にもう一人か狂信者が出て居るという事になるから、もう透けて来てるってことだな。」大和は、丞を見た。「なら、寛さんは置いておいて、狐を探してグレーを探すか?とはいえ、残ってるのは陽太の白先を避けたらオレと永人の二人か?…居ないんじゃないのか。」

「だから占い師だって。」丞が言った。「陽太が言う通りだ。もう、今日は占い師から行かないと。初日は占い師が噛まれたら他は問答無用で吊るって強気な事を言ってたんだ。今夜は占い師だ。そうしよう。占い先の事は、また後で決めよう。」

そこに居た七人は、頷いた。

残りの五人が、どうして居るのかは分からない。

同じ意見になるかどうかは、全く分からなかった。


結局、朝は太成がこちらに合流することはなかった。

何やら部屋に籠って考えていたようで、そろそろ昼かという時間になって、やっとレストランへと降りて来たのだ。

陽太は、律子を疑っていた太成に少し、わだかまりがあって、離れていたのだが、藍が普通に迎えた。

「あ、太成。朝はどうしたんだよ。」

太成は、陽太が朝そうだったように、藍のその態度にホッとした顔をした。

「うん、朝は部屋に持ち込んでいたパンで済ませて考えてたんだ。」と、誰の部屋にも置いてある、丞も使っているノートを出した。「見てくれ。オレから見えてることなんだ。」

見ると、占い師四人の名前と、白先、そして矢印を書いて誰と誰が繋がっているのか、その矢印の上に理由を書いて図のようにして書かれてあった。

…こんなことをしていたのか。

陽太は、感心した。

これなら誰の目にも一目瞭然だ。

「すごいな。」大和が言う。「分かりやすい。そうだよ、こんな風に繋がってるよな。」

見ると、陽太の回りには今、ここに居る人達の名前が取り囲んでいて、理由は白先であるとか、真だと思っている、などの項目が矢印の上に書かれてあった。

律子からは寛に向けて矢印があって、狼だと思っている、と書いてあった。

寛からは律子に向けて狐だと思っている、と書いてあった。

律子からは結構な矢印が出ていて、克己、保を初日に、悠斗を昨日怪しいと言っていた事実と、でも入れたのは健だった事実が書かれてあった。

そう、投票先もしっかり書いてあったのだ。

「…律子さんは健さんに入れてるなあ。」

陽太が言うと、藍が言った。

「律子さんは自分に票が入るのを気取っていたから、他にたくさん得票しそうな最後に弁明していた健さんに入れただけだと思うけどね。律子さんの考えは、とにかく村人だと分かっている自分だけは吊られないようにしようってことだと思うんだ。結果、猫又COがあったから、慌てて自分に入れろって言ったんだと思うけど。あり得る位置だと思っていたんじゃないかな。」

芙美子は、顔をしかめた。

「律子さんは、あの日強めの意見を出す大和さんが猫又かもと私に話していたの。狼にとって鬱陶しい位置にわざとなってるんじゃないかって。私は共有者だったから、その時には悠斗さんが猫又COしてるって丞さんから聞いていたので、それはないんじゃないかって言ったの。狩人位置も、ここでは言わないけど当てていたの…だから、私は律子さんは白いと思っていたわ。だって知ってるなら狩人を噛んでおいた方がいいのに、それをしてないんだもの。人外だとしても白だと思った。確かに狼を追い詰めて行こうとしてるから、狐に見えなくもなかったけど…吊るより陽太さんに占ってもらおうと思ってた。絶対白だと思ったから。」

律子は、狩人位置も当てていたのか。

陽太は驚いたが、郷は頷いた。

「オレも、芙美子から聞いていろいろ知ってたが、悠斗が猫又ってのは眉唾だと思っていた。他に出て来たら、そこを信じようと思っていたし、それが大和ならどんなにいいかってな。悠斗より大和の方が、猫又らしい動きだったと思うしな。」

大和は、残念そうに言った。

「残念ながらオレは素村だよ。丞が悠斗しか出てなかったから、悠斗を信じたのは分かるが、今はどうだ?あの時は健さんに入れてただろう。オレは健さんが単独で怪しいと思っていたから、他から猫又が出たらそっちを信じるとあの時は思ってた。でも、それが悠斗だと聞いた今は、どっちか分からなくなった。悠斗と健さんなら、どっちもどっちで判断がつかないんだ。」

丞は、顔をしかめて答えた。

「オレは、あの時はその前に悠斗と部屋で話して白っぽいと思っていたし、その時に猫又COされたから、信じてしまっていただけなんだ。あれからも話を聞いたが、村の素直な意見なのかなと思った。だから律子さんが怪しいと一時的にでも思ってしまったぐらいだしな。」

陽太は、太成の書いた図を見下ろした。

健は、無難な意見に終始していて、発言順も手伝って皆と同じ意見を落としていて、本人の意見がないように見える。

誰とも完全に繋がらないし、完全に浮き位置だった。

悠斗の方は、寛に白出しされていて香織を庇い、恐らく感情からだろうが香織寄りでラインがある。

寛も悠斗を通じてこの辺りはラインがあって一つの島のように見えた。

「…逆に白いかな。」陽太は言った。「ほら、健さんって完全に浮き位置なんだよ。潜伏したいから、どっち付かずでここまで来てたと言われたらそうなんだよね。でも悠斗は、初日から共有者に話していたなら分かるけど、怪しまれてからの猫又COだろ?ラインはオレから見たら黒の寛さんと繋がってるし…白先って他にも、香織さんを通じてこうして島になるんだ。オレから見たら、この島の中の人達が全部怪しくなるんだよ。」

「だとしたら、狐は?」丞が言った。「狐が見当たらないだろ。背徳が居るんだから、二人、もしくはもう一人ぐらい村を巻き込んで三人ぐらいのラインが見つかってもおかしくないのに、みんな大きな島になる。同じように浮いて来てるのは、大和、永人、藍、睦、郷さんだけど、全員白い。陽太が真なら大和と永人だが、この二人が狐?無いだろう。陽太に占わせたら分かる。」

陽太は、頷いた。

「そう。残ったとしても、オレが生きてる限り永人も大和も狐なら生き残れないのに。でも…狼が、オレを噛まない意味なんだ。昨日は確かに狩人が守ってくれてるだろう事が透けていたから噛まなかっただろうが、今夜が分からない。もし、オレが今夜噛まれたら、狐は処理されてるって狼が判断したことになるんじゃないか?」

皆が、顔を見合わせた。

「…確かに、オレ達は、陽太を真置きしてるけど、まだ完全に信じたわけじゃないから。」睦が言うのに、陽太は驚いた顔をした。睦は続けた。「ごめん。前にも言ったけど、あまりにもうまく立ち回り過ぎてるように見えるから。寛さんが仮に真だったりしたら、村は追い詰められることになるんだよ。陽太が噛まれなかったら、怪しもうと思ってる。今は信じてるよ?でも、昨日は忠司のこともあるのに狼は、黒を打たれるのが分かっていたのに菜々子さんを噛んだことになるから。占い師の中で、噛むなら陽太だったはずなんだ。だから、まだ完全に信じられないんだよ。」

「それでも、香織さんが真だったら呪殺が出ていて、陽太で護衛成功が出ているかもって話してたでしょ?」藍が言う。「なのにまだ怪しいの?」

睦は、頷く。

「あちこち疑っておかないと、後々分からないからね。もしそうなら、太成は黒だよ?それに、初日から藍が陽太に肩入れしているようにも見えるし。同陣営で囲って、二人で逃げ切ろうとしていたら不味い。何にしろ、陽太が噛まれずに残ったら怪しいということだよね。明日はないかもしれない。だって、噛んだら寛さんは自分が黒だと思っているようなもんだろ?でもいつまでも残すことはないと思うよ。」

陽太は、そうなるのか、と皆を見回した。

全員がだんまりで、どうやらその可能性も一応頭に置いて居るということが分かる。

太成が、言った。

「それはないよ!」皆が太成を見た。太成は続けた。「陽太だけが白いもの!こうして書いて見て思ったんだ、他の占い師は、一人は必ず真なのに区別がつかないけど、陽太だけは怪しい動きはない。オレ目線じゃ香織さんが必ず偽物だから、そこと繋がってるこの島の寛さん、悠斗は絶対的に怪しいんだ!きっと、菜々子さんと陽太が真占い師なんだよ!」

太成目線ではそうかも知れない。

だが、村目線では、睦が言うように陽太が白位置にわざと置かれている狼なら、勝てない。

初日に藍を囲っているという睦の意見も、それらしく感じる。

もういろいろ分からなくなって来ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ