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三日目の夜の会議

結局、あちこちで話を聞いて回ったが、特に決定的な何かは全く見えないまま夜の会議を迎えた。

投票ルームは狭く、やはり閉塞感を覚えて皆、落ち着かない。

それでも今日も必ずどこかに投票しなければ、追放になってしまう。

なので、全員がきちんと投票ルームの硬い椅子に揃ってその時を迎えた。

丞が、言った。

「今日は役職以外の全員が一旦グレーということで、話を進める。だが、さっきも言ったように一度陽太を真置きするので、陽太の白先の藍、睦、郷さん以外から投票して欲しい。それ以外の、グレーとなるのは太成も含めた形で悠斗、永人、律子さん、健さん、大和の六人になる。話を聞こう。役職などCOがあったらこの機会に言ってくれ。まずは悠斗から。」

悠斗は、頷いた。

「オレはさっき寛さんを庇ったと思われているだろうが、そうじゃない。見たままを言っただけで、正確な情報を村に落として必ず勝って欲しいからだ。オレは初日からみんなの意見を黙って聞いてたが、なんか違和感があったんだ。というのも、なんかあまりにもすんなりと黒が吊られてるな、と思っていて。保が黒なのは間違いないだろう。それを寛さんが庇ったように見えたのも事実。だが、たまたまだった可能性もある。揚げ足取りに見えて仕方ない。そもそもがうまく行き過ぎなんだ…菜々子さんは克己を黒だと言ったが、前の日に保と共に怪しまれた位置だったから、もし狐陣営なら打ちやすい位置だった。皆が信じやすいからだ。克己を庇う人は誰も居なかった。狼陣営はその時点で狂信者も含めてまだ四人居たはずだから、仮に寛さんが狼陣営だとして庇えなかったとしても、克己以外の残りの二人は庇えたはず。なのに、誰もそれをしなかった。克己は孤立無援で、仲間を恨んだだろう。あれだけ抵抗して、縛られたんだから仲間を恨んで売ることもできたはずなのにそれをしなかった。それがおかしいと思った…村の総意だからその日は克己に入れたが、結局それは無効になって彩菜さんが吊られて。見ていると、誰かの思惑通りに流されてるだけで、結局オレ達は、人外の良いように踊らされているだけの気がするんだ。その筋書きの上に物事を進めさせられているだけなんじゃないかって。」

言われてみたらそうなのだ。

あまりにも上手く行き過ぎている。

だが、だからといってそれなら誰が場を動かしていると思うのだろう。

「君は香織さんを信じていると言ったな。」丞は言った。「だとしたら、誰が怪しいんだ?」

悠斗は、顔をしかめた。

「実はまだ分からない。」悠斗は、ため息をついた。「香織ちゃんが必死に村のことを考えているようだったから、その姿勢を見て信じようと思ったが、丞さんに言われてよくよく考えたら、まだその他に信じる材料はない。もし香織ちゃんが偽なら、オレには律子さんに見える。最初から強い意見で結局村はその意思の通りに考えているように見えるから。でも、香織ちゃんが真なら律子さんは白だし、狐でもない。そうすると陽太の白先を除くならあまり意見を聞けていない、永人や健さんが狐として怪しいかなと思っているかな。大和は時々聞かれなくても意見を落とすし、村に見える。香織ちゃん真で考えて、黒は太成だから太成が黒位置ということになるし、オレは克己の黒もまだ疑っているから、今夜吊っても良いかなと考えている。村が狐位置を探すというのなら、なので永人と健さんかな。オレだって、まだ占い師の誰を信じるか感情もあって悩んでるんだよ。」

つまり、悠斗は香織真なら白人外位置を永人、健と見て、黒は太成、偽なら人外位置を律子と見ているということになる。

悠斗は、感情的だと思っていたが、案外しっかり考えているようだという印象を村に与えた。

丞は、次に太成を見た。

「太成は?」

太成は答えた。

「オレには黒を打たれたことで見えていることが多い。香織さんは偽が確定したので律子さんもオレ目線ではグレーだよ。白いと思っていたけど、香織さんが偽だから囲われている逃げ切り位置かもしれないって心配しているぐらいだ。できたら信じている陽太には律子さんを占って欲しいと考えている。グレーの中では、最初から疑われていないから一番怖い位置だと思うから。狐なら、絶好の位置だもんね。仮に香織さんが背徳者だったりしたら、上手く二日目に囲えたって感じじゃないかなと思うし。白いから、誰も占おうとしないだろ?」

やはり律子か。

ここへ来て、かなり律子がやり玉に上がるようになっている。

あまりにも律子が盤面を整理して見るのが上手いように思うので、警戒してしまうのだろう。

仮に敵だとしたら、まずいからだ。

あれだけいろいろな筋道を状況が変わる度に考える能力があるのなら、自分に有利な思考だけを村に落として納得させる事が可能な気にもなって来るのだ。

初日は狼を吊った功績があるのだが、それは狐なら見えている何かがある可能性もあった。

丞は、分からなくなって来たらしく、顔をしかめたが次に永人を見た。

「永人は?どう思う。」

永人は同じように渋い顔をしたが、言った。

「…分からなくなって来た。何しろ律子さんは白いと思って疑わなかったが、悠斗の意見を聞いて確かになと納得したし、太成目線でもそうなるだろう。狼ではなく狐だとしたら、かなりあり得る位置だからな。ただ、そうなると香織さんの真を切る方向になるし…占い師としては、香織さんより菜々子さんの方が怪しいかなと思っていたところだったので、訳が分からない。太成もオレは親しくないし、この様子がどうなのか色が分からないしな。」

丞は頷いた。

「陽太のことは?オレが今真置きしたことにどう思う?」

永人は、うーんと陽太を見て考え込む顔をした。

「陽太の白先はみんな白い。仮にグレーに残されていたとしても、オレは投票しなかった。藍も睦も始めからたくさん議論に参加しているし、郷さんだってそうだ。それに今朝の自分を吊れって意見も、郷さんはほんとに白い。村を勝たせたい意思を強く感じるからな。芙美子さんの自分を吊れって意見にも、グレーの自分が吊られるべきだと主張していたし。狼でも狐でも絶対言えないことだ。それで村が納得して吊られたら人外なら致命的だからな。だから陽太を丞が真置きする気持ちも分かるんだ。この進行で間違っていないと思う。」

丞は頷いて、次に律子を見た。

「次は、律子さん。疑われ始めているようだけど、どう思ってる?」

律子は、ため息をついた。

「そうね、強い意見を出すとそうなるのは仕方がないと思っているわ。確かに私が残っていると、みんな目線怖い位置かもしれないわね。なので今夜残ったら、できるだけ早い時期に私を占って欲しいと言っておくわ。」

丞は首を傾げた。

「その場合誰に占われたい?」

律子は、答えた。

「陽太さんに。」間髪入れずにそう言った。「他は私も分からないのよ。陽太さんが限りなく真に近いと思ってる。というのも、囲っていそうにない占い先で、本人が疑われるようなことを一切していないから。でも、ここまで一人だけ白いのは逆に怖いけど。私を皆が怪しむ理由と同じで、狼陣営だったとしたら、一人逃げ切り位置としてわざと白く残している可能性もあるわ。その場合、どう見ても白く見える白先の中に必ず仲間が居ることになる。なぜなら、こういう場合ペアセットにして残す方が良いからよ。占い師がローラーされても霊媒が居ない今、ペアの一人は残る可能性があるから。真占い師がいつまでも噛まれずに残るのは怪しいし、このまま陽太さんが残り続けるなら怪しんだ方が良いかもとは言っておくわ。」

丞は、渋い顔をした。

律子を怪しむ皆と同じ理由と言われたら、その通りだからだ。

「…今日の投票先は?どこに入れようと考えているのかな。」

律子は、迷うような顔をした。

「そうね…今日指定されている他の五人の中なら、悠斗さんかな。私は引き続き寛さんを怪しいと考えているし、そうでなくても香織さんが狐で悠斗さんが背徳者の可能性と捨てきれないから。昨日離れていたのは、あまりに近くに居たら怪しまれるからではないかと考えているの。今日になって側に居るのも、仲良くしていた彩菜さんが居なくなったからなのかなと単純に考えているわ。悠斗さんには白黒どちらもあるかと思ってる。」

律子の意見は、初日から変わらず寛を偽と見て考えているようだった。

丞は、頭の中がこんがらがって来たようだったが、顔をしかめて額を押さえて、健を見た。

「次、健さん。どう思う?」

健は、顔を上げた。

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