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説明

『皆様には、これからリアルタイムで人狼ゲームをして頂きます。部屋は、こちらが六階、ここから上階の七階、八階にそれぞれご準備させて頂いております。お食事は申し訳ありませんが冷蔵庫にあるものを、各自お好きに調理なり、温めるなりしておすませください。常に夜、補充されますのでなくなることはありません。こちらは船のレストランとなっていて、奥の扉を開くとキッチンがあります。ご自由にお持ち頂いて結構です。六階は他にも、図の通りキッチンの向こうに二つの部屋がございます。手前が投票に使って頂くお部屋、奥の船首の方には居間としてお使い頂ける広い部屋がございます。お手洗いはこちらのレストランラウンジと、居間の2ヵ所です。皆様の行動範囲は、この六階、七階、八階の三フロアのみになります。この三つの階なら甲板にも出て頂くこともできます。』

セルフサービスなんだなあ。

陽太は、そう思いながら聞いていた。

声は続けた。

『説明が終わればお部屋に入って頂きますが、そこに皆様全員の名簿と、この船でのルールが書かれた栞が置かれてあります。主要なことはご説明致しますが、詳しいことはそちらを参照してください。まず、こちらでの時間の過ごし方からご説明致します。』

画面が、タイムスケジュールのものに変わった。

『まず、ゲームが始まりましたら時間通りに行動して頂きます。夜10時に扉が施錠され、開くのは朝の6時となります。人狼ゲームの進行は、基本自由ですが役職行使の時間は村役職が夜11時から30分間、腕に装着している腕輪から入力して頂くことになっています。人狼の役職行使は11時30分から、明けて午前3時までです。その間、人狼のかたは自由に部屋の外に出ることができます。それぞれの役職は与えられた時間内に必ず役職行使をしてください。しない場合は、ルール違反で追放となります。』

追放?

陽太は思ったが、黙っていた。

『次に、夜8時には必ず投票ルームに集まって頂き、そこで投票をお願いします。皆様の腕輪には、番号がついています。その番号の席に座って、番号を腕輪から入力してください。では、隣の部屋のご案内を致します。一度外に出て頂きまして、横の通路から隣の部屋へご移動ください。』

パッとモニターが消える。

皆は顔を見合せながらも、それぞれの立ち上がり、無言で頷きあって、言われた通りに外へ出て、隣の部屋へと向かった。


隣の部屋は、会議室のような場所でかなり狭かった。

窓もなく、扉を閉めるととても閉鎖的な感じがする。

ぐるりと円を描いて、ガッチリとした金属の椅子が並んでおり、どう見ても遊園地のアトラクションの椅子のように見える。

それが、きちんと20脚並んでいた。

その椅子の背には番号があって、一番入口辺りの背には10、その右隣りには11と書いてある。

天井からぶら下がる、モニター二つがついた。

『では、皆様はご自分の腕輪に書いてある番号の椅子にお座りください。』

陽太は、慌てて腕輪を見た。

そこには、1と刻印してあった。

「オレ、1だ。」と、悠斗と太成を見た。「二人は?」

「オレは2。」

悠斗が答える。太成も言った。

「オレは3だ。横並びだな。」

それぞれが自分の番号の椅子へと向かう中、陽太は奥の1の椅子に座った。

座り心地はやはり、遊園地の絶叫マシーンのそれだったが、座る所は滑らないようにゴム仕様になっていて、座っていても滑って行くことはなかった。

しかし、固くて座り心地がいい方ではなかった。

全員が座ったのを確認したのか、声は続けた。

『夜8時に、必ずこちらへ来て自分の番号の椅子に座り、投票してください。他の場所での投票は認められず、ルール違反で追放となります。では、腕輪を見てください。』と、モニターの表示が腕輪になった。『腕輪の番号が刻印されている金属は、カバーになりますのでそれを開いてください。』

言われるままに開くと、そこには液晶画面と、小さなテンキーが並んでいた。液晶画面の隅には、小さくデジタル表示の時計があった。

『投票時、そちらに投票する番号と、0を三つ入力して頂きます。すると、その番号に投票されます。また、役職行使の際にも同じように、こちらにその役職を行使する番号を入力して頂きまして、0を三回入力して頂くと液晶画面に結果が表示されます。では、今から役職をお配りしますので、液晶画面を隣りの人に見えないようにご覧ください。共有者、人狼の方、狐の方は仲間の番号も表示されますので覚えて頂きますようにお願い致します。』

え…!もう役職が?!

陽太は焦って、慌てて腕輪を右手で覆った。

回りでも、皆が皆同じように手で隣りから見えないようにしているのが分かる。

どんな役職がどれだけあるのかも分からないまま、必死に液晶画面を見つめていると、そこにはパッと、『あなたの役職は、占い師です』と現れた。

…占い師…!!

かなり重要な役職だ。

そのまま固まっていると、1分ほどでその表示は消えた。

『役職を配り終えました。では、ゲームのご説明をします。20人役職多め村です。この村には人狼4人、狂信者1人、占い師2人、霊媒師2人、狩人1人、共有者2人、猫又1人、妖狐1人、背徳者1人、村人5人かま居ます。占い師の初日白先お告げ有り、狩人の連続ガード無し、狼の初日噛み無しです。共有者はお互いを村人と知っている役職で、猫又は狼に襲撃されると狼を一人道連れにできます。但し、投票で追放された場合はランダムで一人道連れにします。その場合、次の日の朝に道連れになった人が追放されることになります。狂信者は狼が誰か知っていますが、狼からは狂信者が誰なのか分かっていません。背徳者と妖狐はお互いを知っています。妖狐は狼の襲撃は通りませんが、占いによって呪殺されます。背徳者は妖狐が呪殺、追放された場合朝に一緒に追放となります。占いでは死にませんし、白結果が出ます。狼の襲撃も通ります。』

皆が、うんうんと頷く。

見聞きしているゲームの一般的な役職と同じだからだ。

声は続けた。

『本日は人狼の襲撃はございませんが、人狼は時間になりましたら部屋の鍵が解錠されて外に出ることができます。明日からに備えて話し合ってください。占い師は、お告げ先がランダムに表示されますので、11時から11時半までにそれを確認しておいてください。本日から、夜10時施錠されますのでそれまでに必ず部屋に入るようにしてください。それぞれのお部屋は皆様の番号に準じております。ご自分の番号のの部屋に入り、施錠される時は他の人の部屋に行かないようにしてください。ルール違反をすると、追放となります。』

追放ってなんだろうなあ。

さっきから気になって仕方がなかったが、皆同じのようで、郷が言った。

「追放とは?どうなるんだ。」

声は答えた。

『追放されたかたはその日からのお仕事ができなくなりますので、賃金が発生しなくなります。本日からお給料は発生しておりますが、早くて明日の夜投票で追放となったかたは今日と明日の二日間の賃金しか発生しません。そこで脱落となります。ただ、事前にお知らせ致しました通り、脱落者が出ても本船は寄港しません。』

「え…。」

ゲームで勝たなくても、入って来ると思っていたお金が入らない。

確かに仕事がゲームなら、追放されたら何もすることがなくなる。

あちらが言うことはもっともなことだった。

…じゃあ何が何でも勝たないと。

陽太は、思った。

勝てば勝利陣営には百万入る。だが、それを皆で分け合う事になるのだろうし、生き残った方が報酬が多いのは変わらなかった。

早めに吊られると自分が陣営勝利に貢献できないので、完全に他人任せになってしまう。

まして自分は占い師なのだ。

何としても生き残らなければならなかった。

『…では、皆様にはこれからお部屋にご移動頂きまして、お荷物を置いて来てください。それからは夜10時まで自由時間となります。この度は、この社会実験にご参加頂きまして、ありがとうございます。有意義な時間となることをお祈り致します。』

「あ、ちょっと…、」

陽太は、何か質問しておかなければならないのではと思わず声を掛けたが、モニターはスッと消えて真っ暗になった。

取り残された20人は、とにかくは部屋に行こうとバラバラと立ち上がり、また元居たレストランラウンジへと向かったのだった。



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