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二日目朝の会議

重苦しい雰囲気の中、皆は愛美の部屋を後にした。

一緒に頑張ろうと思っていた忠司の落ち込みは激しかったが、落ち込んでばかりもいられない。

何しろ、明日は我が身なのだ。

折角の確定霊媒が一人居なくなってしまった事実は、村にも重かった。

…昨日、狩人はどこを守っていたのだろう。

陽太は、気になった。

共有者、真だと言われていた陽太、いろいろあったが、その中でも面倒なのは、昨日狩人が忠司を守ってしまっていることだった。

狩人の、連続護衛が出来ないこの村では、昨日忠司を守っていて狼との二分の一の戦いに負けたとしたら、今夜も守り切ることができない事になってしまう。

霊媒師の結果が、今日までしか見られないという事になるのだ。

だが、狩人が誰なのか、今の時点で誰も知らない。

狩人が確実に明日忠司を守れるかどうかは、誰にも分からなかった。

皆が持つ結果は、8時からの会議で聞くことになり、それまでは全員、自由行動となったので、陽太はフラフラとレストランへと、太成と藍と共に向かった。


キッチンへと入っても、全く食欲がわかない。

だが、食べておかないと昼まで何も口にできそうになかった。

今日は、それぞれの結果も持ち寄っているので、議論が長引くはずだった。

陽太と太成がゾンビのような顔をしているので、藍が言った。

「どうしたの?大丈夫?愛美ちゃんの事は心配だけど、律子さんも言ってたでしょ?勝ったら助かるよ。だから、頑張ろうよ。」

陽太は、頷いた。

「分かってる。そう思い込もうとしてる。藍、睦が白だったよ。あいつも仲間だ。なんか親しみがあるから、それで濁って分からなくなったら駄目だから占ったら、白だったんだよ。」

藍が、頷く。

太成が、顔を上げた。

「睦も白か。良かった、段々味方が分かって来るな。」

藍が、太成を怪訝な顔で見た。

「なのにどうして君はそんなにつらそうなの?」

太成は下を向く。陽太が、答えた。

「香織さんが偽じゃないかって心配してるんだよ。偽に占われたら黒が出るかもしれないじゃないか。そうなったら面倒な事になるからね。一応吊って、色を見てもらおうってなるだろ?」

藍が、顔をしかめた。

「確かに。そうだなあ、昨日の陽太への擦り寄り加減を見ても、まだ真占い師だって言えないからなあ。安心してろとは、僕も言えないよ。ごめん。」

太成は、頷いた。

「だよな。陽太に占って欲しいのに。今日は陽太の指定先に入れるかな?」

陽太は、肩をすくめた。

「無理じゃないかな。最初は仲がいい所は避けて指定してるじゃないか。今夜も多分同じだよ。二回目とかなって来たら分からないけど。」

太成は、ハアと大きなため息をついた。

「不公平だよ。オレだって白なのに、真占い師に占って欲しいじゃないか。ため息が出る。」

そこへ、大和と永人、丞がやって来た。

思えば、昨日までは友達同士だった、保と大和は一緒に居たのだ。

保が吊られてしまって、今は丞達と一緒に居るようだった。

「大丈夫か?だいぶ参ってるみたいだな。」

丞が心配そうに言う。

陽太は、頷いた。

「オレは大丈夫だ。丞さん、睦が白だったよ。」

丞は、頷いた。

「そうか。あっちでも先に話してくれてたから、結果は出揃ったよ。でも…会議の時に改めて話す。とりあえず言えるのは、昨日の保が黒だったって事だけだ。」

保は黒…!

忠司が、結果を見ているのだ。

昨日、村人は間違わなかったのだ。

「そうか…!良かった!縄が無駄にならなかった。じゃあ、今日も引き続きグレーからか?」

丞は、首を振った。

「いいや。とにかく、もうすぐ時間だから船首のラウンジへ移ろう。そこでみんなの前で結果を公表して、吊り先を決める。それぞれの占い理由も聞かなきゃならない。占い師精査が必要になって来る。とにかく、船首へ行こう。」

占い師精査…?

丞の背中を見送りながら、陽太が戸惑っていると、藍が言った。

「…黒が出たんじゃない?」太成が、びくりと肩を震わせる。藍は続けた。「多分。その本人の精査と、出した占い師の精査で決めようとしてるんじゃないかな。まだ誰が誰に黒を打ったのかは分からないけど。」

陽太は、太成を見た。

太成は、顔面蒼白で震えていた。


船首のラウンジへと移ると、皆が後から後から続々と入って来た。

芙美子は郷に支えられ、律子に気遣われてフラフラとソファに座る。

丞は、言った。

「じゃあ、二日目の朝の会議を始める。まずは、占い師の結果からだ。陽太から。」

陽太は、頷いて言った。

「睦が白。」

丞は、頷いた。

「次、菜々子さん。」

菜々子は、青い顔を上げて答えた。

「私は、克己さん黒。」

皆が息を飲む。

黒は、克己に出ていたのだ。

「そんなのおかしい!」克己が叫んだ。「オレは白だ!菜々子さんが人外だ!」

丞が、それを手で制して、続けた。

「じゃあ、寛さん。」

寛は、頷いた。

「オレは、彩菜さん黒。」

彩菜さんも…?!

陽太は、絶句した。

だが、陽太目線では両方、もしくは片方は偽物の占い師なのだ。

どちらかか、それとも両方が偽の結果となるのだ。

「…私は黒じゃない!そうか分かったわ。だから霊媒師を噛んだんだわ。明日の色は、もしかしたら見られないかもしれないから。」

霊媒師は二人だったが、一人をまんまと噛めたのだ。

明日、狩人次第で忠司も居なくなる可能性があるということだろう。

丞が、香織を見た。

「香織さんは?」

香織は、震えながら答えた。

「私は、律子さん白。」

律子さんを占ったのか?

太成はホッと息をついているが、普通太成を占うだろう。

何しろ律子は、かなり白い印象だったからだ。

それとも、陽太のようにもしも黒なら怖いと考えたからなのだろうか。

丞は、震えて声が出ない忠司を見て、ため息をついて言った。

「…霊媒結果は、黒。保は人狼だった。だから、人狼は後三匹と狂信者一人。こうなって来ると、占い師には狂信者が出ているのかもしれない。もしかしたら両方共真かもしれないが、普通に考えて真二人がいきなり黒を当てるとは考えづらいし、分からないがどっちかが偽の結果だとして、明日霊媒が生き残ると偽が透ける博打を打って来るとは考えられない。仲間を失った狼が、更に仲間を危険に晒すとは思えない。ただ、どっちかは本当の結果ではないかと思う。狐が本物の結果を出している可能性もある。なので、今日はこの二人の占い師の精査と、黒先二人の精査をして、黒先のどちらかを必ず吊る。グレー四人はまた占い師達に今夜振り分けることにする。その方向で、今日は行こう。」

皆が頷くが、陽太は誰が相方なのか、まだ分からなかった。

菜々子の黒先の克己は、確かに昨日から疑われていた先だが、だから信じられるだろうと出した黒にも見えた。

だが、彩菜も、昨日疑われていた先であり、占われるのは必然だったが、黒といわれたら違う気がした。

彩菜は、狐を庇うような意見を出していたので、普通に考えたら狐陣営だろう。

狼が、狐の位置を知れたとは思えない。

死体無しが出ていない以上、噛めなかったからという判断ができていないからだ。

そもそも、今の狼には狐を噛んでいる余裕などない。

なんとしても、霊媒師を噛みたいはずだからだ。

どちらも信用できない…。

陽太は、眉を寄せた。

そもそも香織も律子を占ったりしているので真には見えなかった。

藍が、言った。

「でも…今日どっちかを吊って、その色は見れないかもしれないんだよ?」藍は悲痛な顔をした。「狩人は連続護衛できないのに…。」

狩人が二択を外した、と考えるのが普通だ。

昨日、霊媒師が狙われるのは誰でもわかっていたことだったし、愛美が噛まれたということは、忠司を守っていたのだろう。

そうしたら、今夜は忠司が噛み抜かれる未来しか見えないのだ。

だが、丞はフッと笑った。

「狼は、今夜忠司を噛めない。」その自信たっぷりな様に驚いていると、丞は続けた。「オレは狩人が誰なのか知っている。誰を守ったかは言わない。だが狩人は確実に忠司を守れると言っておく。問題ない。」

共有と狩人が繋がっているのか。

忠司が、顔を上げた。

「じゃあオレはもう一日結果を見ることができるのか?」

丞は、頷いた。

「大丈夫だ。安心しろ。こうなることを考えて、敢えて昨日は護衛を外したんだ。どっちなのか分からないからな。無駄になっては困るから。今夜の結果は重要だぞ?だからしっかりしろ。」

忠司は、途端に力を得たような顔をして、頷いた。

「愛美ちゃんと約束したからな。どっちが噛まれても、必ず勝つって。元々両方生き残れるなんて思ってなかった。ほんとに死ぬとは思っていなかったが、勝ったら戻って来れるんだ。とにかく、頑張らないと。」

忠司が復活して来たところで、議論は占い師がなぜそこを占ったのかの、話を聞く番になった。

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