表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ドロのような

作者: 足元 ノリヲ

友人から聞いた、本当によくわからない話。下水のようなドブのような匂いがする場所には気を付けろと聞いたことはあるだろうか。これはそんな話。

 友人が言うには東淡路の、ある自動販売機はヤバらしい。マンションのロビーの前に据え付けられている何の変哲もない自販機だが、とにかく何かがおかしかった。

 まずは臭かった。どこからともなく臭ってくる下水のようなヘドロのような臭い。マンションの管理人は匂いの元となりそうな所に蓋をしたり、清掃会社に依頼し徹底的に掃除をしたがどうにもならない。その自販機の周辺だけ臭くマンションに入ってしまえばどうということもない。結局は管理人は諦めてしまったようだ。

 次にドロドロに汚れている。なぜかいつも汚い。自販機の管理会社が、商品の補充をして掃除をしているはずなのに汚い。古くからの汚れではなく、ホコリや泥、そういった汚れなのだ。一度、商品補充中の人に聞いてみたがこんなことは珍しいらしい。1週間もすればドロドロに汚れている。そんな自販機の話。

 友人は夜中、あまりにも喉が乾いて飲み物を買いに行くことにした。一番近いコンビニまでは歩いて少し、しかしそれさえも我慢出来ないくらいに喉が乾いていた。この時点で少しおかしい。いつもなら絶対に利用することのない自販機を利用した。いつも通りドロドロで、でもやけに明るく見えたのを覚えていると言っていた。

 何も考えられずお金をいれて、飲み物を選ぶ。誰もが聞いたことのある炭酸飲料。商品が下に落ちる音がする。自販機に手を突っ込み商品を取り出す。我慢出来ずに蓋を開けてその場で飲む。飲み干してしまう。お金を入れる、選ぶ、出す、飲み干す。お金を入れる、選ぶ、出す、飲み干す。お金を入れる、選ぶ、出す、飲み干す。狂ったように何本ものジュースを飲み干した後、耐えきれない吐き気に襲われその場で全て吐き出してしまった。口から出てきたのは、ドロのような粘り気のある黒いものだった。

そう話す友人からは下水のようなような匂いがした。ただ、それだけの話。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ