World End Ahead
読みにくいのは許してください
“あい” を もたない わたし の こと を、 かれ は あいして くれ ました。
わたし に “あい” を くれた ひと。
あなた に なに を、 かえせ ます か。
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かれ が わたし を しった のは、 きっと ぐうぜん だった で しょう。
わたし が かれ に つれて こら れて、 どれくらい たった の で しょう。
せまい おり の そと に は、 せまい そら が
ひろがって いま した。
しかく な いし が、 いくつも、いくつも。
そら へ むかって のびて いま した。
どれにも、どこにも、かれ いがい、ひと は いない よう で した。
彼女は暗い地下に、たった一人で繋がれていた。
建物の最も地下深く、誰の目にも触れないような、秘密の場所に取り残されていた。
ずっと昔の、まだ文明が栄えていた時代の建物は、一体どんな場所だったのか検討もつかない。
ただひとつ、分かることは。
全てが終わったこの世界。
汚染されたこの地球で、彼女だけが生き残った。
老いず死ねないこの僕は。
ただ死に向かうこの星で、たった一人。
最期を待つだけ。
人も生き物も植物も、全てが滅んで、残ったのは汚染物質とコンクリートの遺骸だけ。
人間が造り出した、僕と彼女と壊れた世界。
この地球に二人ぼっち。
鱗に覆われた醜い姿のこの僕は、きっと地を這うことしか許されない。
白い翼を持つ彼女は、空を飛んで、どこまででも行けるだろう。
飛翔する様が、見たくて。
彼女の鎖を壊いたのに。
飛ばずにずっと、空を見上げている。
その羽を開くことも、その口を開くこともしない。
そのうち退屈になって、その町を出た。
三日経って、もう一度その場所を覗くと、驚いたことに、彼女はまだそこにいて、空を見上げていた。
何でだか、無性にきになって。
僕は彼女の腕を取り、適当な方向へ歩き出した。