精霊さん奮闘記 8
まだ、まだ、シリアスは続きます・・・多分、フウ達が出てきたら、無くなるんじゃないのかなあ?(願望)
精霊さんの奮闘記、結構、ナンバリングが多すぎるので、タイトル変えるかも・・・このままだと、10までいきそう・・・
勇者達から、フウの家の場所を教えてもらい、私はその場所に来ていた・・・
昨日の事で、全然眠れなかったが、せめて、この世界に居る、フウだけでも、幸せに過ごしてほしい、そう思い、この場所に私がやって来た・・・・
家の中に入ると情報通りに、ムウにべったりのフウがそこには居た・・・
「久しぶりね・・・元気してた?」
私がそう声をかけると、ムウは驚いた顔をした・・・そう言えば、この街で色々していたみたいね・・・
「そう言えば、聞いたわよ・・・奴隷を買ったそうね・・・・何で?私言ったわよね・・・奴隷制度がどれだけ悪いか・・・」
というより!私のフウを何で勝手に奴隷にしているんじゃあ!!
そんな事を言う前に、ゴーレムが私を攻撃してきた・・・この魔力の感じ・・・フウが操っているのか!!
マジックアイテムの作り方の基礎は教えたつもりだけど・・・もう、こんなものまで作れるようになっているなんて・・・
私は、自身が持てる、全力の魔力を持って、ゴーレムに魔法をぶつけた・・・
「・・・相変わらず・・・めちゃくちゃね・・・だけど、ゴーレムごときで私を倒せると思っている・・・・?」
口では、こう言っているけど、かなり無茶をし過ぎた・・・もう、冷や汗が止まらない・・・多分、見た目で相当無理しているのバレてる・・・
「・・・・何か用・・・?」
その瞬間、途轍もない、殺気が私に襲う・・・恐らくフウだろう・・・私は一瞬気を失いそうになるが、何とか耐える・・・・ここで倒れたら、何のために来たのか解らない・・・
「フウ!!やっと喋って・・・・」
ムウが何か喋っているが、そんなことを聞いている余裕はない・・・もはや、フウの魔力はいつ爆発しても可笑しくない状況なのだから・・・
「・・・・あなたどうしちゃったの?魔の森では完全に感情が高ぶった時以外魔力のコントロールが出来ていたのに・・・今は、既に魔力が破裂しそうな状態じゃない・・・・」
「・・・・・・・・」
フウに問いかけても、彼女は何もしゃべらない・・・そして、彼女自身の魔力は風船の様に膨れ上がっている・・・・話を聞いていたが、これ程とは・・・もはや一刻の猶予もない・・・・
「・・・・・・・・・・・・話さないのね・・・だったらいい・・・ムウお願いがあるんだけど・・・・・」
本当は、もう少し様子を見たかったが、こうなっていては、仕方がない・・・最終手段をとらせてもらう・・・
「私の村に戻ってきてほしいの・・・」
ムウに私の村に戻って来てもらう事だ・・・・・
「・・・どうして・・・?」
「・・・それは・・・この子、魔力暴走しそうなの・・・魔力暴走について、授業で教えたでしょう?」
そう、ムウには魔力暴走について、講義で話をしたことがある、フウがいつ魔力暴走を起こすが解らない為、せめて知識だけでも、知ってもらおうと思って・・・まあ、本人が余り理解していないみたいだったけれども・・・
「・・・大丈夫だって、ただの癇癪・・・」
・・・・ほら、解っていない・・・・
「その癇癪で都市1つがぶっ飛ぶんだけど・・・」
私は必死に今の現状を伝える・・・だが・・・
「フウが原因なら俺はいかないぞ・・・」
そう言ってくる・・・ムウ・・・どうして・・・
「どうして、街が1つ無くなるかもしれないのよ!!」
「フウの意思は聞かないのか?」
「それは・・・」
いや!聞ける状況じゃないから!!貴方に聞いているんだって!!!ほら、今の話を聞いて、また、魔力が上昇している!!!!
「それにフウは絶対に魔力暴走何てしない・・・なあ、フウ・・・」
次の瞬間、魔力が一瞬暴発して、フウの魔法が放たれた・・・次の瞬間、厶ウの頬に一筋の傷が出来ていた・・・
「あっあっ・・・・」
始めて、ムウに攻撃した為、精神が不安定になっているのだろう・・・彼女が震えだした・・・このままでは、家どころか・・・辺り一帯吹き飛ぶぞ!!!
「はなれ・・・」
理性を総動員して、フウはそう言った・・・だが、ムウはそれに構わず、フウに抱き着いた・・・
「ああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
次の瞬間、フウの魔力が漏れ始めた・・・やばい・・・!!私は自身の魔法で、フウの魔法を相殺し始めたが・・・余りにも魔力が膨大過ぎる!!ほとんどの魔法が相殺出来ていない・・・何が一番やばいって・・・これが暴発では無く・・・ただ単に、魔力が漏れているだけだと言う事実だ・・・
私はフウの魔力の暴発を自身の命を捨ててでも周りの被害を抑えようと覚悟を決めた・・・だが・・・
「もうそろそろ泣き止め!!!」
そう言って、ムウは、フウの頭を拳でグリグリし始めた・・・次の瞬間、フウの魔力の流出は止まった・・・
ちょっと待って・・・えっそれで止まるの?
「・・・・・・・・・・・・すごいな君は・・・・・・・・・・・・・・・」
私は放心しながらそう呟いた・・・・
・・・・結局・・・・ムウ一人で解決してしまった・・・私は本当に何のために来たのだろうか・・・?
・・・・あの後、フウと話をした・・・・フウが情緒不安定になっていたのは、バクバ王の記憶を全て、自身の脳に入れてしまった事が原因だと分かった・・・
あの男を殺せたフウの手腕もすごいが、あやつの・・・バクバ王の精神の強さにも驚愕した、精神だけだとは言え、あの、フウをここまで、追い詰めたのだから・・・
あの人間、長い年月生きていただけに、脳の記憶の情報量が途轍もなかったらしい・・・まあ、前から、人間離れた生への執着心・・・強さへの渇望・・・それを求める、精神力が途轍もなかったからなあ・・・あいつは・・・
これが、精霊の身体なら、身体がない為、全て拒絶反応を起こさず、受け入れられた可能性があるが、フウは生身だ・・・許容範囲を超えてしまったのだろう・・・
第一、いくら強くなったとしても、まだ、1歳・・・昔の私は、スキルで様々な情報を手に入れていたが、それは、精霊の身体を持っていた私が特例だったのだ・・・
普通は、人1人の人生を頭の中に強引に入れられたとしたら、壊れてしまう・・・だから、数百年もの記憶を持ったバクバ王の情報で、フウは・・・ああ、なってしまったのだろう・・・・
念の為、2、3日、この家に様子を見てから帰ろう・・・まあ、あの様子ならもう大丈夫だとは思うがな・・・・・本当に私は・・・・何をしているのだろうか・・・・・・
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あの後、フウとムウの家に2、3日居た後帰って来た・・・そうして、街から帰って来た後、精霊達を世話をしていた勇者達はどうしたかと言うと・・・そのまま、魔の森で、修行と称し、私の村に住んで居る・・・何でも、今回、勇者がフウと対峙した事により、力不足を感じ取ったらしい・・・
・・まあ、フウは別格だが・・確かに、今の魔王は強くなり過ぎている・・・強くなる事は重要だろう・・・
前回の魔王など、十数人の精鋭部隊を勇者が引き連れて行ったのに・・・勝てなかったのだ・・・
その時は、魔王がこちらの世界に進攻した際、ディエティドラゴンが出張って闘ったおかげで、何とかなったが、闘った場所は、辺り一面、草木が生える事が無い、荒れ地になってしまった・・・・
それに加えて、魔王復活の周期も早くなっている・・・
以前は200年周期で復活をしていたのに、今は100年を切っている・・・
今は、前回の魔王を倒し、90年以上が経っている・・・下手をすれば、もう、復活をしていても、おかしくは無い年月が経っている・・・・・
私はその事が気になり、ラーフに聞いてみる、勇者がいる今は、ラーと念話で会話できるのだ・・・
『魔王はまだ復活をしていないのか・・・?』
『・・・すみません、もう既に復活をしています・・・』
そう、ラーフは言い切った・・・・
私はその言葉に驚愕しつつも、叫んだ・・・
『・・・何故!!何も動かない!!復活をしているのなら、せめて、勇者の仲間を集めて、戦力を少しでも上げなくては・・・』
『・・・・恐らく、勇者の力では、魔王には勝てないでしょう・・・それだけ、今の魔王は強いです・・・もはや、ディエティドラゴンですら、勝てるかどうか・・・』
その言葉に唖然とする・・・そんなのどうすれば・・・
『今出来る事は、少しでも、勇者を強くする事・・・それまで、魔王がこちらの世界に進攻しないことを祈る事位です・・・はっきり言って、魔界に勇者を送り込む行為はもはや自殺行為でしかないです・・・こちらの世界におびき出し、強い人々達が居るこの世界で、闘うしか手はありません・・・例え、どれだけ被害が出ようと・・・・』
『・・・・・・他に方法は・・・?』
『・・・解りません・・・はっきり言って、ここ500年における、魔王の強さの上がり方は尋常ではありません・・・創造神ズアル様に、相談はしていますが・・・どこまで、対処できるか・・・・・』
『・・・そうか・・・・』
私はそう言って、話を終えた・・・フウよ・・・今のこの世界、長くは続かないかもしれない・・・
そうして、私がムウの家に行って、4カ月後、ムウが街に行って、半年後、運命の日が訪れた・・・・
(この魔力は・・・・)
途轍もない魔力を、魔界とこの世界との結界の境目に感じた・・・何だ・・・この魔力は・・・こんなの神以外に勝てる訳が無いだろうが・・
・・何より、それ以外にも、魔力を感じる・・・何だ・・・この数は・・・数万・・・いや、何十万もの魔物や魔族の魔力を感じる・・・しかも、向こうの・・・魔界のドラゴンらしき、巨大な魔力すらある・・・ハハ・・・・・・・何だこれは・・・・・
『気づきましたか・・・?』
念話で、ラーフが話しかけてくる・・・
『・・・こいつ等は魔王と魔王の軍勢か・・・・・』
『ええ・・・』
その回答に眩暈を感じる・・・・どう見ても、この世界の人々で対処できる訳が無い・・・
『・・・こんなの、どうやったって勝てる訳が・・・・』
『・・・・・・・・・・・とにかく、最低限の努力はしてみます・・・・せい・・・セレーンも急いで闘う準備を・・・勇者は・・・今回の闘い来ても意味がないでしょうし・・・・・あっ・・・・』
『・・・?どうした・・・』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フウが行きました・・・・魔王の所に・・・・・・・』
『なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
・・・・・・・・・・・はっ?えっ何で・・?いや確かにフウなら感知する事も出来るだろうけど、この魔力量を持った相手・・・しかも、これだけの数・・・勝てる訳が無いだろうが!!!!
『私も行くぞ!!!』
『待って!!!!行かないで!!!!今行っても・・・魔王の部下が沢山いて、勝てる訳が無いから!!!!』
『フウも居るんだろうが!!!じっとしていられるか!!!』
『せめて、ディエティドラゴンを連れて・・・えっ・・・・』
『どうした・・・もう、フウがやられてしまったのか?!』
『・・・・・境界の場所は、神界と近い場所・・・・だから私自身直接目で見れるのですが・・・信じられない・・・・』
彼女はごくりと唾を飲んだ後、こういった・・・
『・・・・普通に戦っています・・・たった一人で・・・数十万の魔族や魔物達と同時に・・・』
『・・・な・・・・あ・・・』
あり得ない言葉に私は言葉を無くす・・・この魔王の力・・・下手をすれば、一番初めの魔王にすら匹敵する・・・それを、神の力どころか、勇者の力すら持っていない、フウが闘えている・・・?
いや、呆けている場合じゃない・・・そうじゃなくとも、その場に行かなくては・・・
『・・・行ってどうすんですか・・・?恐らく、ほとんど役に立てませんよ・・・・』
『だがしかし!!』
『元々の計画でも、セレーンには、魔王の周囲の魔物達と闘ってもらう予定でした・・・本来魔王をぶつける予定だったディエティドラゴンも・・・上手くいけば、相打ち・・・悪ければ、完敗すると考えていました・・・それ程、力の差があり過ぎています・・・今行っても、彼女の邪魔にしかなりませんよ・・・』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『・・・信じてみましょう・・・彼女が、魔王に勝つ事を・・・・・・』
『・・・・・・・解った・・・・悔しいな・・・力が無いという事は・・・・これが、ロイドが感じていた感情なのだろうか・・・・これほど、自身の力が無い事を恨んだことは無い・・・』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・信じましょう・・・・彼女を・・・フウを・・・貴方の子供を・・・・』
・・・・・その後のラーフの報告で、フウは魔王を追い払ったという報告を聞いた・・・・大怪我を負い、意識不明になりながら・・・




