精霊さん奮闘記 6
精霊さん、精霊さん・・・どこまで頑張るの?
フウ達が旅立って、約1カ月が経った・・・私は前の生活に戻っていた・・・・妖精、精霊達の世話をし・・・外の魔物を追い払い・・・彼らを守る日々・・・だけど、どうしても、思い出してしまう・・・あの日々を・・・フウ達がいた日々を・・・
そんなある日、そんな平凡な・・・それでいて、刺激のない日々が続くかと思っていた矢先・・・人間が侵入してきた・・・しかも、私の結界を掻い潜って・・・
・・・・馬鹿な・・・フウならまだしも、私の結界をこうも容易く、すり抜ける何て・・・・私は、急いで思念体を作り、それを人間の所に送った・・・・
思念体を送った先には、体格が良い、男性の人間がこちらに向かって歩いてきていた
『止まれ』
私の言葉に人間が止まる・・・やけに、素直だな・・・
『・・・お主どうやって入った・・・・・・それと、目的は何だ・・・?』
私は舐められない様、高圧的な態度をとる・・・これで、人間が少しでも敵対する様であれば、こちらも対応を考えなければならない・・・・
「・・・すまない・・・勝手にこの結界内に入った事を・・・今日はお願いがあってこちらに来させてもらった・・・」
そう言って、男は頭を下げた・・・・何だ・・・?敵対と言う感じでは無さそうだ・・・妖精、精霊達を狙ってくるやからなら、問答無用で襲い掛かってくるはず・・・人間にとって、この世界の妖精や精霊は弱いと言う認識のはずだ・・・そうで無くとも、この森の奥地にやって来る輩だ・・・腕には自信があるだろうに・・・そう言った、手段を取ってくる可能性が高い・・・
だが、目の前の人物はそんな素振りを見せず、ただただ、お願いがあると言い、頭を下げて来た・・・油断を誘う為と言う可能性も0でも無いが、先程の理由からそれは少ないはず・・・取り合えず、お願いとやらを聞いてみよう・・・
『・・・願いとは・・・』
「ディエティドラゴン・・・の居る場所を知っていたら、教えて欲しい・・・」
その言葉に驚愕する・・・ディエティドラゴン・・・その名は、大陸中に広まっているが、詳しい場所は、元勇者と仲間以外、知る由が無い・・・今現在知ることが出来るのは、高い位の役職に就くものか・・・英雄クラスの冒険者のみ・・・
『英雄クラスの冒険者か・・・』
「ああ・・・そうだ・・・」
私の問いにあっさりと答えた人間・・・私は更に問い正した・・・
『・・・何の為にディエティドラゴンを望む・・・』
「・・・・ある人物に勝つ為に・・・自身を強くする為・・・ディエティドラゴンに挑みたい・・・」
いや、ディエティドラゴンって・・・他の人に勝つ為に・・・挑む者じゃないよ・・・普通の人・・・勇者だって、十数人の軍隊で闘ったんだから・・・えっと・・・
『・・・お主一人か・・・』
「・・・ああ・・・」
いやいやいや・・・無理だって、普通勝てないから!!
『・・・勝ちたいのは同じ英雄クラスか・・・?』
もし、英雄クラスだったら、ディエティドラゴンに挑まなくても勝てる・・・そう言おうと思った・・・だが・・・・
「・・・いや、違う・・・最近街に来て、冒険者登録をした2人組の片割れ・・・フウと言う者に勝つ為にここに来た!!!」
・・・あっ・・・・この人の判断、間違ってないや・・・・
私は・・・更に、詳しい話を聞いた・・・この人は大剣使いのセシルと名乗った・・・私は昔の勇者の仲間になった者達は知ってはいるが、最近の英雄クラスの冒険者は余り解らない・・・年を取ったなと思いながらも、話の続きを聞いた・・・
何でも、素性が解らない二人・・・ムウとフウの実力を見る為に二人同時に闘ったが、フウ一人に負けてしまったと話した・・・
・・・・多分、2人だろが、1人だろうが結果は変わりません・・・・
自分の実力の無さを実感したセシルは、以前、書物の中で、ディエティドラゴンと闘った勇者がいたことを思い出した・・・・そのドラゴンは、魔の森の中に隠れ住んでおり、それを知っているのは、魔の森の中に住んで居る、神の精霊のみと記載されていたらしい・・・
・・・昔の呼び名を言うのやめて・・・・恥ずかしいから!!!
・・・それにしても、神の身に何かあった時、人間が助けを求められる様、書物の記載を許していたけど、まさか、英雄クラスの冒険者と言うだけで、読めるようになるとは・・・私これでも隠れ住んでいるんだけど・・・・もうちょっと、読める人制限して!!
その書物の内容を思い出した、セシルは、大魔法使いマルイ(この名前は世襲の為知っている)が魔力の結界があった場合、感知する、道具をこれまた、マルイが作った、アイテム袋という、アイテムボックスのマジックアイテムバージョンに入っていたので、これを使い、探り出していたらしい・・・だが、道具を使ったのは良いが、なかなか見つからず・・・昨日まで見つからなかったらしい・・・・
・・・・いやいやいや・・・・アイテムボックスをマジックアイテムで再現したの?!そんな事例初めて聞いたんだけど!!
それに、結界を感知する道具って、簡単に言うけど、これもマジックアイテムでしょうが?!それも、よく、そんなの作り出せたね!魔法で結界を探すのなら、理解できるけど、アイテムだけって・・・どんだけすごいの??!?
それに、道具を使ったからと言って、見つからない様にしていたはずなんだけど、この結界、フウと2人で改良した結界だからね!!前より見つかりづらくなる様、隠蔽魔法も使ってたんだ・・・・それなのに・・・道具1つでマジックアイテム1つで見つかるなんて・・・・
そして、昨日、大体の辺りを付けた、セシルは、結界を破る為のマジックアイテムを使い・・・この中に入って来たという事だ・・・
マジックアイテムどんだけ入ってるんだよ!!その袋!!!
何?そのマルイにお前は魔法が使えないから、せめて、このアイテムで防衛出来る様にしろって言われて、渡されていたって・・・?他にも、魔法が使えない俺の為に、色々入った袋が5つ位ある・・・・?
そうか・・・・解った・・・・お前の親友・・・すごいな・・・・
「・・・それで、申し訳ないが、ディエティドラゴンに会わせて欲しいのだが・・・」
・・・そうして、話を聞いた今、そんな事を言われてきている・・・教えてあげてもいいが・・・
「・・・お主の実力は・・・・ブラックドラゴンをどの位相手にできる・・・?」
「・・・・1対1で、幼体なら、何とか・・・・」
「話にならん・・・少なくとも、一人で大人のブラックドラゴンを相手に出来なければ、話にならん!!」
フウ何て、一人で、ハンデを付けながら、何匹も相手にしていたしなあ・・・
「・・・・・・・・・少なくとも、そこまで強く無ければ、闘う事すら出来んだろうな・・・」
その言葉に黙り込むセシル・・・やがて・・・
「・・・・解った・・・取ってくる・・・」
そう言って、彼は、私の結界の外に出ていった・・・・えっ、本気?!大丈夫なの?私ですら手を焼くのに!!英雄クラスだからって、一人で相手に・・・・
「ああ、もう!!」
私はセシルの後を追っていった・・・幸い、フウのおかげで、少し位遠出をしても、結界は維持できる・・・・・・そうして・・・・・・・・
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「・・・・・すまない・・・・・」
案の定、セシルは死にかけた・・・ブラックドラゴンに挑んだのは良いが、何故か、スキルを使わず、特攻していったのだ、結果、かなりの大けがを負い、瀕死になった・・・・
私が急いで、ブラックドラゴンの前に行き、時間を稼ぎをしながら、回復魔法をし、何とか、追い払うことが出来たのだ・・・
「・・・何で、スキルを使わなかったの?英雄クラスなら、一つや二つ持っているでしょうに・・・」
「・・・俺のスキルはおいそれと使えるスキルじゃなくてなあ・・・何より、スキルだけに頼っていたら、恐らくあいつには追いつけない・・・」
そう言って、セシルは、ギリっと歯ぎしりをした・・顔を下に向けてはいるが、目はぎらついており、信念を感じさせる目をしていた・・その姿は、弱い自分自身が許せず、絶対に強くなってやるという、強い意志を感じた・・・・
・・・はあ・・・・・何で放って置けないのかしら・・・こういった人を・・・ロイドに重ねているのかしら・・・私・・・
「・・・・・はあ、もう今更だし、私の村に来なさい・・・そうしたら、少しは修行を付けてあげるわよ・・・」
「・・・・いいのか?村に滞在しても・・・・」
「・・・どうせ、もう村の位置はバレているんだし、結界も時間をかければ入れる様だし、今更入れた所で、変わりがないわ・・・・一応聞いておくけど、他の人には村の場所言わないよな!?」
「それはもちろんだ・・・・後、修行の件なのだが、すまない・・・・修行を付けてもらおうにも、俺は魔法が・・・・」
「・・・・一番最初の契約者が、剣術や体術もしていたのよ・・・ある程度なら、身体の動かし方位教えてあげられるわ・・・それに、魔法が苦手と言っても、魔力は0では無いでしょう?少ない魔力でも、闘える方法はいくらでもあるわ・・・」
・・・・・ムウの場合、持っていた、魔力が少なすぎて、ほとんど何も出来なかったけど、英雄クラスの人間なら、修行次第である程度までなら、魔力を上げられる・・・まあ、その後、どうするかは、この人次第だけど・・・・
「・・・・・すまない、感謝する・・・・・」
そう言って、彼を村に案内した・・・・・
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それから、更に、約1カ月後・・・そこには、ブラックドラゴンと相対する、セシルの姿があった・・・・まだまだ、粗削りな所があるが、一対一でかなりの所まで闘えるようになっている・・・とは言え、まだまだ、私の手助けが必要だが、2人でなら、倒す所までいくようになった・・・・
体裁きも、以前の様な力任せな動きでは無く、相手の動きに合わせて動いたり、力を受け流す様な動きも出来る様になってきている・・・・これなら、一年後辺りにディエティドラゴンに勝てないまでも、いい勝負ができるようになるかもしれない・・・・
まあ、倒す事は・・・・どうなんだろう・・・フウは勝ったが、彼の本気は神と匹敵する・・・本気を出さなければ、以前の勇者の様に勝てる可能性はあるが・・・・たぶんそれじゃあ、フウには勝てないだろうし・・・・第一フウ何で勝ってるのさ!!
しかも、強力な結界を張ってた為、ほとんど、魔法を使わないで勝ってたしさあ・・・あの子の本気・・・本音を言うと、私でさえ想像がつかない・・・・
・・・まあ、そんな事を言って嘆いていてもしょうがない・・・一先ず、折れるまでは、セシルの訓練には付き合おう・・・
そんな事を考えている矢先・・・この世界の神であるラーフから念話が届いた・・・勇者と会ってほしいと・・・・・
ナンバーいくつまで書くのだろうか?これは・・・




