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奴隷が欲しいので赤ん坊を育てた  作者: ・・・・
出会い
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精霊さんとの出会い

魔の森で謎の赤ん坊を拾ってから2日が過ぎた。


その間ずっと魔の森を歩き続けていたのだが、赤ん坊を拾ってから不思議と魔物に全然会わなくなった。


…魔の森に入ってから毎日、聞いていた魔物の唸り声も聞こえない。


道に迷って森の奥に来てからは、ドラゴンが上空に居るのが当たり前であったのに、今ではそのドラゴンも赤ん坊に会ってから見ていない。


俺としてはすげー助かるんだけど、何でそうなったのか理由が解らん!!


運よく赤ん坊と会ってから魔物に出会ってないだけかもしれないが、それにしても、出会わなすぎる。


良く聞こえていた魔物の唸り声すら聞こえない…


(やっぱり、この赤ん坊のおかげなのか…?)


自分の背中に背負っている赤ん坊…


魔の森に居ただけでは無く、大量の魔物が死んでいる中でこの子は泣いていた。


…あの時は、とにかく人に会いたい一心で泣き声に近づいたのだが、何故、大量の魔物が死んでいたのか考えが回っていなかった。


冷静に考えると、あの大量の魔物が死んでいた理由がこの子にある可能性が高い…


(…どうやって、魔の森の魔物を殺したのかわからないけど…)


スキル…その言葉が俺の頭によぎる。


人の中に極まれにスキルと言う特別な力を持つ者が生まれる事がある。


強力な能力から、様々な事に応用が利きそうな能力、余り使い道が無い能力など様々ある。


だが、魔の森に居る魔物達を殺せる様な強力なスキルがこの子が持っているとしたら…


もし、それだけ強力なスキルを持っているとするなら、本能的にこの子を魔物が避けている可能性すらある。


…魔の森に何故か捨てられていて、魔の森の魔物を殺せる様なスキルを持つ赤ん坊…


(…本当にこの子は何者なんだ?)


そんな疑問を抱き、後ろを向き、おんぶしている赤ん坊の顔を見る…


俺が赤ん坊の顔見ると…背中にしょっている赤ん坊も俺を見て微笑みかける。


出会った直後は表情すら表に出ない赤ん坊だったが、最近は色々な表情を俺に見せる様になっている。


…俺が見れば、笑顔を返し、俺が少しでも離れようとすると、悲しそうな顔する。


近づくだけで、笑顔は戻り、少しでも構ってあげるとすぐに笑ってくれる…かわいい…


……まあ今更!何者でも良いか!!


この子は魔の森で彷徨っている俺の唯一の心の拠り所なんだ!!


何者…例え人間じゃなかったとしても関係ない!!絶対にこの子を手放さない!!!


もうこの森を歩いていくのに…俺にとって生きる希望はこの子なんだ…


この子の微笑み…それを見るだけで俺は…何とか生きようとする活力が湧いてくるんだ。


もし、今この子が居なくなったら、絶対に俺自身の心が折れるだろう


…それ程、俺にとっては、大事な存在にはなっていた…


(…村に居る家族や街に居たギルドの人達は今頃どうしているのかなあ…)


…最近魔物に会っていない事により少し心に余裕が出来た今、頭の中に浮かんでくることは、魔の森に入る前の事…


村では家族以外の村人と全く馴染むことが出来なかったが、両親と弟が居た…


…街では薬草探しの依頼しか受けられなかった為、宿屋のランクも一番低い所に泊っていたし、事務的ではあったが人々の交流は多少なりともあった。


余りいい待遇では無かったのだが、今のこの状況より圧倒的にマシであろう…


(父さん、母さん…弟よ…誰でも良いから話したい…)


…家族のことを思い出しながら、俺は赤ん坊を抱きしめて更に歩いた。


(もう、誰でもいいから、話さえできれば何でもいいから会いたいよ…)


…赤ん坊は癒しにはなるが喋る事は出来ない。


俺は一週間以上会話をしていなかった為、言葉を喋れる人間を欲していた…


誰でも良いから会話をしたいと考えながら俺は歩き続ける。


何時もの様に、赤ん坊を拾ってから、静かになった森の中を歩いていく…


このままずっと、魔の森で当てのなく、歩き続ける…


そう思っていた…


だけど今日それが、変わる事になる…


―――――――――――――――――――――――――――


魔の森を歩き続けていると、森の雰囲気がいきなり変わったように感じた。


周囲は何も変わっていない様に見える。


だが、何故だろう?


俺の勘が何時もの森では無いと言っている。


(何だ?この感じ??)


言葉に表すことが出来ない…しかし、先程の森では無い様な気がする。


今まで感じた事が無い感覚に少し動揺する俺…だが…


(まあ、だからどうしたって話だよな…)


結局、俺はそのまま歩き続ける事にした。


普通なら、何があるかも知れないと思い、立ち止まり、周囲に危険が無いか調べるかもしれないが、この森の奥深くでそんな事をしても俺の実力じゃあ意味が無いと結論付けた…


だって、俺ゴブリンすら倒せないんだぞ!


ドラゴンすらいる魔の森の奥で危険を調べたとして、何が出来ると!?


寝る時だって、無防備だったが、それでも今まで生きて来たのだ!


安全確認してようが、してなかろうが死ぬときは死ぬ!


それに、俺自身今まで見つかったアウトな魔物達が住んで居る森の中をずっと歩いて来たのだ…


今更、森の雰囲気が少し違うかもしれないからって何だというのだ!


(ドラゴンとかが飛んでいる魔の森を歩いているんだ!!もう何でも来い!!)


そもそも、様々な種族の魔物…ドラゴンすら、死んでいた場所から赤ん坊を俺は拾ってきたのだ!


何が起きようと、これまで魔の森で経験した以上の恐怖を体験するなんてあり得ない!


というより、起きたとしても、俺自身、抗えないから死ぬのが遅いか速いかだけだ!!


そう半ばやけくそ気味な考え持ちながら、俺は更に先に進んで歩いていく。


…すると…


『止まれ』


いきなり、何故か頭の中で声が聞こえた。ってへ?


(何だ?えっ本当に何なんだ?)


声じゃないよな!俺自身の頭の中から直接聞こえる感じだ…


俺はいきなり頭の中に声が聞こえると言う不思議現象に驚き、辺りを見渡す。


(何も…誰もいないはず…)


そう思った瞬間、目の前がいきなり光始めた。


あまりにも強烈な光が襲った為、俺は思わず、目をつぶる。


だが、その眩しさも、一瞬ですぐに収まる。


(いったい何が起きて…えっ?)


眩しくなくなり、俺が目を開けた先には…


…羽が生えた子供位の大きさの人が立っていた…。


(えっ?さっき誰も…えっ?)


さっきは誰も居なかったはず…だけど、目の前には小さな子供が居る…


俺はパニックになりそうな頭を振って思考を戻そうとするが、うまくいかない…


当たり前だろう、いきなり目の前が光ったと思ったら、光った場所に知らない子供がいるのだから、混乱しないほうがおかしい…


『こんな所に人が何の用だ』


また、頭の中に声が響く…声では無い…直接頭の中に言葉が聞こえてくる感じだ…


…目の前の人間の子供が頭の中から話しかけてきているのか?


いや…その前に目の前に居るのは人間?


(いやいやいや!!羽が生えている時点で!!人間じゃないだろう!!)


俺は目の前にいる人物を見る…羽が生えている種族なんて居たっけ?


まあ、俺自身、他の種族をあんまり見た事内からあんまり解らないけど…こんな白い羽をした種族なんておとぎ話に出てくる天使くらいだ。


(本当に何者なんだ?というか!頭の中に直接話しかけるって、これって魔法なのか?!)


俺は村に住んでいた際、村のおじさんから、魔法の知識を色々教えてもらっていた。


その際、精神に作用する魔法は賢者や特別な人位しか使えないと言っていた。


1人1人魔力が違うため、干渉するのが難しいとか言っていた。


その為、テレパシーみたいな魔法は使える人は居ないだろうっておじさんは言っていた…


だけど、目の前にいる人物は魔法かどうかは解らないが俺の頭の中で話をしてきている…


…それは、おじさんに教えてもらった魔法以上の魔法を向こうが使ってくる可能性が高いという事だ…


(…ここで死ぬのかも…)


…目の前にいる人物が何者かは解らないけれども…


向こうが殺そうとしてきたら、俺は一瞬で死ぬだろう…


…まあ、ゴブリンが二匹出てきただけで俺は死ぬんだろうけれどもな…


…そこまで考えて後ろを見る…赤ん坊が居た


…そうだ…今俺には…守らなければいけない命があるのだ!


俺は取り乱しそうになりながらも…何とか心を落ち着かせようとする。


背中には、命をかけて救い出した大事な赤ん坊が居るんだ…


俺が取り乱してしまったら、誰が赤ん坊を守るんだ!


そう思い、冷静になろうとする。


(…とりあえず、少し落ち着いて、頭を整理しよう…)


今の段階で、話しかけてきたという事は、すぐに危害を加えようとしている訳では無いはず…


少なくとも話しかけてきたという事は、目の前の人?は対話を望んでいるはず…


そう、少なくとも今すぐ殺されるというわけではないはず…


そう考えると、少し気が軽くなる。


魔の森に入ってから、赤ん坊以外出会ったら殺される魔物しか見ていなかったから…気が動転してしまっていた。


俺は、深呼吸して気分を落ち着かせる…


深呼吸をして少し落ち着いた俺は、改めて、目の前の子供をよく見た。


目の前の子供の容姿は、本当にきれいだった…


髪の色は青色で、ロングだ…目の色は、黒だが…髪も透き通っているみたいだ…


宗教とか、あんまり知らないけど、本当に、神話に出てくるような神秘性を感じる…


…天使ってさっき思ったけど本当に天使ではないかと思うほどだ…


まあ、身長は130㎝程度と本当に子供並みしか無いが…


それでも、不思議と自分より、年下とは思えなかった…


見た目は、どう見ても、奇麗な子供…だけど、背中には人間には無い、白い羽が生えている…


(…人間とは違う種族か…)


…この世界でも、人間に嫌悪感を抱く種族はそれなりに居る。


その為、目の前にいる種族の人物が人間に悪感情があるとしたら、今すぐに殺されても可笑しくはない…


だけど、今話しかけるという事は、会話をする余地があるという事…


だけど、上手く、話が出来なければその時は…


(話…そうだ、話をしないと…)


話をする…


そう考えた瞬間、俺は…殺されるかもしれないという恐怖という感情から別の感情に支配された…


…そう、それは懐かしさ…


…下手をすれば殺されるかもしれない…そう思っても…その感情は止まらなかった…


魔の森で、一週間以上、死の恐怖と闘い…頼れる人は誰もおらず…しかも、会話をする相手すらいなかった…


村の中では、家族だけしか対話できなかったが、話すことはできていた…


街ではギルドの職員と事務的な会話だったが、話すことが出来た…


そう…久しぶりの対話だ…待ち望んでいた…久しぶりの…こんな状態だけど…相手は何者か解らない不詳の相手だけど…会話ができる機会…


…あまりにも久しぶりに会話ができる…そう考えただけで俺は…


「ぐす…」


知らず知らずのうちに…泣いていた。


『はっ?』


「うう…ぐす」


『な…何を泣いている!!…そうか!!私を油断させようと…演技で…』


「やっと、やっと…ぐず……うわーーーーーーーーーーん!!!!」


男…ムウ15歳…俺は成人をして初めて本気泣きをしました…(赤ん坊に会った時も泣いたって?あれは心の汗だ!!)


俺は暫く泣き続けた事により、少し落ち着くことが出来た…


そして…俺は目の前の人?にこれまでの経緯をゆっくり話した。


何度も…何度も…話をしているたびにまた涙が出てきたが、目の前の人?は親身になって俺の話を聞いてくれた。


「ぐず…それで何度ももう駄目だって…」


『…よしよし…今まで本当に辛かったのだな。』


そう言って目の前の人?に撫でてもらっていた。


撫でてもらっているといっても感触は無く、振りだけみたいだったが…


何故だか目の前の人?は実体を持っていないよで、触れる事が出来ないみたいだ。


ある程度、話を聞いてもらった事により、少し余裕が出て来た俺…


だが俺自身冷静なってくると、急に目の前の人物の正体が気になって来た…


(この人は何者だろうか?)


この羽が生えた人…良く見るとぼやけて?薄く?見えているし…?


(薄く見えて…触れない…もしかして、幽霊?!それとも…レイスみたいな物理が効かない魔物?!)


…魔物だったとしても、目の前の人?は全然敵意は無いように感じるんだけど…


というより、この人?俺自身慰められているし…まあ、幽霊や魔物で、万が一、敵意があったとしても、俺自身何も抵抗できないが…


幽霊…にしては、はっきり見えるし…魔物にしては、知性があり過ぎる様に見える…


幽霊、魔物じゃないとするなら…そうなると、この人は何者だろうか?


「あの、失礼ですか…貴方は何者なんですか?」


俺は、どうしても気になったので、思いっ切って聞いてみる事にした。


『…話してもいいが、聞いても、この私の正体は誰にも言わないな?』


「言いません…というより、他の人に会えるかも今は解りませんし…」


そう、俺自身、この魔の森から出る事すら解らないのだ…最早、街に帰れるかさえ怪しい…


『…そうだったな…それなら良いか…私は精霊だ!』


その頭の中に響いた言葉に、俺は一瞬思考が停止した…


…精霊?!精霊ってあの?!!


「心が清い人にしか姿を見せないというあの伝説の精霊!!?」


そう…おとぎ話聞いた事がある。


心が清らかな人しか姿を見せない存在がいると、その名は精霊、もしその精霊を見つけ契約が出来れば地位と莫大な財産は思いのままになると言う話を聞いた事がある。


(もし万が一…この精霊さんと契約出来れば…地位も名誉も…思いのまま…)


そんな思いが俺の頭をかけめくる…そうすれば…奴隷だって…


『…ものすごい邪な感情が見えるのだが…』


「すみませんでした!!!」


俺は速攻で土下座した。


邪な感情が見えるってどういうことだよ!


確かに、契約出来たら、地位とか財産が思い通りになるとは考えたけど、思っただけだよ!!


だけど、もし、これが原因でまたこのまま放置されてしまってば、森の中で野宿である…そんなの嫌だ!!!


俺は、恥も外聞も捨てて、土下座をして、許しを乞うた・・・


『はあ、もういいから、頭を上げて…本当に大丈夫だから…』


その言葉に俺は顔を上げる…精霊さんの顔は何故か少し怯えている様であった…


『…とにかく!私は精霊だが、誰とも契約何てしないからな!そこだけは間違えない様に!!』


…うん…そんな事は解っていた…俺にとって大事なことは、安全な場所を確保できることだから、それはいい…いいのだが…


だからと言って…ここまであからさまに拒絶されると…少し、心に来るものがある…


『…はあ…私達の村に案内するから…そんなに落ち込むな…』


そう言われて…俺は、目を見開く。


村?村って言った今!!


『まあ、本当に小さな村だが…少なくとも、魔物達に怯える事はなくなるはずだ』


その言葉に、俺は涙を流す…本当に…?本当に…魔物に怯えなくていいの?!


『だから!泣くな!!はあ…その代わり…約束をしろよ…この場所を秘密にする事を…』


そんな事を精霊は言って来た。


いや…秘密も何も…


「秘密も何も現在位置すら解らないんだけど…」


本当に、何でこんな魔の森の奥深い所まで来ちゃったんだろうか…。


あっ思い出したらまた涙が頬を…


『本当に…迷い込んできただけみたいだな…何だか、最初に警戒していた私が馬鹿みたいだ…』


そう言うと…精霊さんは、頭を抱え始めた…どうした?頭が痛いのか?


『…よし決めた。村へ案内しよう!!』


「えっ…?」


いいの?そんな言葉を言う前に…精霊さんは森の奥へと進みだした…


『付いて来い!!』


そう言って、俺は精霊の後をついていくのであった…

…これ書き直すのって、終わるのかなあ?

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