勇者の報告
俺は、フウの家に行った後、宿屋に泊った・・・そして、その晩、眠りにつくと・・・ラーフが夢の中に現れた・・・・
「おい!あいつは何なんだ!!」
俺は夢の中でラーフの存在を感じるとすぐさま詰め寄った・・・
『・・・フウに会いましたか・・・それでどう感じました?』
「どう感じましたかって・・そんなの・・・」
そう言われて考え込む・・・確かに俺はフウと言う人物に恐怖を感じた・・・
だがそれは何故か・・・?実際俺は・・・フウに何かをされたわけでもないのに、知らずの内に恐怖を感じていた・・・
「・・・怖かった・・・理由は解らないが・・・殺気を向けられてからなのか・・・ずっと恐怖を感じていた・・・」
『そうですか・・・ちなみに、近くにいた男・・・ムウに感じてはどう思いました?』
・・・そんなの・・・
「フウの印象が強すぎて何も印象に残っていない・・・」
『・・・そうでしょうね・・・そして、ごめんなさい、私はこうなる事が解って貴方とフウを合わせました・・・』
こうなる事が解って・・・そうラーフは言った・・・なら・・・
「・・・・なぜ会わせた・・・いつも無理な事をさせられたが、それら全てに意味はあった・・・今回も意味があるんだろう?」
そう、今まで大変な目を合ってきたが、それは全て自らの為に結果的になっていた・・・今回も深い理由がラーフにはあるのだろう・・・
『・・・会ってみて、どうでしたか・・・?』
「・・・何とも・・・はっきり言って、フウからの敵意が凄すぎて、まともに話も出来なかったしな・・・それどころか、あいつムウの足に顔を擦り付けて顔すら上げてすらせず・・・俺の事を一度も見てこなかったしな・・・」
『・・・解りました・・・とりあえず、私が現時点で解っている内容を話します・・・』
そう言って、ラーフは話し始めた・・・・
ムウと言う人が本来、ただの村人として終わる存在だったこと・・・
だが、それが、本来の運命から離れ、フウと言う恐らく魔族と思われる子供を育ててしまったという事・・・
・・・今、現在バクバ王を殺した時に彼女・・・フウの様子が変わってしまったという事を言われた・・・・
?『恐らく魔族』とラーフが口にした時、何故か、彼女が遠い目をしたような気がしたが、俺の・・・気の所為か・・・?
『フウとバクバ王は人と言う枠組みを超えてしまっています。その為、神である私の力を持ってすら、2人の情報は読み取れません。なので、実際にどのような対峙をされたのが解らない現状、バクバ王の死因については詳しく調べられませんが、それ以外はある程度調べることが出来ます』
そう、ラーフは全ての人の目、耳などから、情報を手に入れ、纏める事が出来る力を持っている。
だが、人の枠組み以上の力を持つ者は、ラーフの力でも観測が出来ず、全て推測になってしまう・・・今回は、対峙した2人が、2人共、人の枠を超えていた為、バクバ王がどの様に無くなったのか、詳しく解らない様だ・・・だが・・・
「バクバ王の死因が調べられないとはどういうことだ?」
それが少し気になった・・・魔法を使われたのなら、そう言うはずだ、攻撃魔法を使えば、少なくとも、魔力の痕跡は残るはずだからな・・・
「・・・バクバ王に外傷が無かったこと・・・魔法が使われた痕跡が見つからなかったことから、詳しくは解らなかったそうです・・・」
魔法が使われた痕跡が無い・・・そう言われたら、魔法で死んだわけでは無いのか・・?だが、外傷が無かった・・・加えて、マイル以上に魔法に精通しているとも、ラーフは言っていた・・・それなら、完全に痕跡を消し去る事も可能か?
「・・・そうか・・・」
俺は、それだけを言った、素人が考えた所で、解る訳もない・・・
「ですが・・・状況的に、フウが殺した可能性が一番高いです・・・」
・・・・もしそれが本当なら、魔法の痕跡すら残さずにバクバ王を倒したことになる・・・セシル、マイル・・・英雄クラスのあいつ等を倒したのは伊達では無いという事か・・・
・・・フウの実力に戦慄しながらも・・・
・・・俺は先程のラーフで言っていた、気になる事柄を聞いた・・・
「・・・さっき、『フウの様子変わった』と言っていたが、どういう事だ?・・・以前がどういう性格なのか解らないから、何とも言えないんだが・・・」
『・・・彼女は元々、結構活発に動き回る性格でした・・・もちろん、ムウに甘えたりしていましたが、昼には自ら買い物に行ったりして、様々な行動をしていました・・・・ですが、今は・・・』
「べったりで、動かないってわけか・・・」
『・・・ええ、はっきり言って、ムウが食べさせなければ、ご飯すら食べないでただ引っ付いているだけと言うほどに・・・』
「・・・・・・・・・・・やばくね?それ・・・・・・」
いや、状況を聞いて・・思ってたよりやばそうなんだが・・・
『ちなみに、寝る時も含め、トイレ、風呂、24時間引っ付いています・・・』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
やばいやばいやばいってこれ、あいつと会話して解ったが、あいつは子供の思考何かじゃない・・・
完全に大人の思考と同じ思考回路を持っている・・・・その状態で・・・解っていて・・・離れない・・・・・・・
『もっと言うと、ムウから離れると、恐らく数分で魔力暴走してこの都市が壊滅します・・・』
「どんな危険人物だよ!!!!」
俺は思わず突っ込んだ!!何だよ、その危険人物!!関わり合いになりたくねえ!!!!
「・・・・・・・・なので、お願いがあります・・・私を・・・・」
そう言って、ラーフは俺にあるお願いをしてきた・・・・・・・・・勇者って大変なんですよ、本当・・・・




