修行開始
とりあえず、書き直して、3つに分けてみた・・・読みやすくなった?
「それで、これはどういう事ですか?」
そう言って奴隷達3人を正座させるフウ…
何でこうなっているのか、それは、先程まで俺が訓練しているのに起因している…
3人に扱かれて、息も絶え絶えになっていた時に、フウは帰って来た…
だが、俺が着かれて動けない様子を見たフウが激怒したのだ…
「何をしているんですかあああああ!!!!!!!!」
…今まで出した事が無い程大声で、フウは怒鳴った…
(違うだ…俺が頼んだんだって…)
3人に訓練をしてくれと言ったのは、俺自身…
その事をフウに伝えたかったのだが…
「ぜえ…ぜえ…ち…が…」
訓練終わりの為、疲れていて声が出ない…
(いや、俺が頼んだことだから!本当に叱らないで上げて!!)
目の前には、1歳児であるはずのフウが、それより年上のはずの3人は叱ると言う異様な光景が広がっていた…
「奴隷なのに、お父様に危害を加えるなんて、万死に値します…」
いや、本当に違うんだって俺が強くなる様に訓練してくれって頼んだんだって…
そう言いたいのに…俺の口から出る声はカヒュとか変な空気音しか出なかった…
「本当は殺してやりたいのですが…ただ、お父様の事ですから、殺すのは嫌がるでしょう…ですので…」
(いや!殺すって何!!?っというより消えた!!?)
不吉な事を言ったフウは、そのまま一瞬で消えた…
奴隷達3人も一緒に居なくなった…
…おそらく、転移魔法でどこかに移動したんだと思うんだけど…奴隷達3人も連れてどこに行った?
…フウの奴殺してやりたいって言っていたから…凄く心配なんだが…
そんな事を思っていると、フウだけが俺の前に姿を現した。
「ぜえ…ぜえ…あ…い…つ…ら……は…?」
「ああ、あの人達は反省させる為にちょっと訓練させに行かせました。大丈夫ですよ、死ぬ事はさせませんから♪」
そう言って、フウは俺の所に飛び込んできた。
「お父様…強くなりたいという気持ちは解りますが…無理はしないで下さい…お父様は弱いのですから…」
そう言って、フウの身体が震えだした…
(…俺の気持ち…ばれてたんだな…)
俺はフウと一緒に居て、ずっと劣等感を感じていた…
フウに守られて…フウにお金の事や家の事も含めて全てに依存して…
フウの父親なのに…フウは俺より年下で小さいのに…
だから、せめて少しでも強くなりたいって思っていたんだ…
だけど…その為に、訓練をしたら…フウが震える程嫌がった…
(…やっぱり…このままじゃあ駄目だよな?)
フウが何で、ここまで俺が訓練するのが嫌がるのがわからないが…せめて自衛出来るだけの強さは手に入れないといけない…
そうしなければ、俺はフウの隣に立っている資格すら無いだろう…
「なあ…フウ…このまま俺じゃあ、俺はゴブリンすら倒せない冒険者になってしまう…せめて、ゴブリンを倒せる位は強くならないといけないんじゃないか?」
俺がそう言うと…フウは首を横に振った…
「大丈夫です、私が守りますから…絶対に!だからお父様は闘わなくてもいいんです!!」
そう言ってフウが抱き着く力がわずかに強くなる…
いつも…フウは癇癪を起すと、俺に抱き着いてくる。
今日は癇癪を起す程では無かったが、それでも、負の感情が高まると同じ様に抱き着く…
そして、抱き着いたまま思いっきりフウは甘えてくる…
「…フウは相変わらず甘えん坊だなあ」
そう言って俺はそう言ってフウの頭を撫でる…
精霊の村に居た時は、いつかは親離れするんだろうなあと思っていたが、この調子だといくつになってもこうしてくるような気がしてならない…
俺としては、それでもいいかなあと思う反面、もう少し親離れしなくて大丈夫なのか?という心配をしたのだが…
(まあ、奴隷にした時点で今更か…)
そう結論をだし…俺はしばらく俺はフウの頭を撫でるのであった…
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俺が訓練をした次の日…
「もっと早く!!」
そんなフウの声で目が覚めた…
慌てて部屋の中を見るが居ない…おそらく、外から聞こえてきた声だろう。
(外から、この部屋まで聞こえる声を出すなんて…どうしたんだろうか?そんなに大声を出して…?)
そう思って俺は寝間着から普通の服に着替えて庭に出ると…
昨日フウがどこかに連れて行って、いなくなっていた3人とファンが走っていた…
(…良かった、生きていたんだ…)
フウが3人を『殺してやりたい』とか言っていたので生きていたか心配だったが、こうして元気に走っているのを見て俺は心底安心をした…
(まあ、フウ自身、昨日『死ぬことはさせない』と言っていたし、その後も『死んでいない』『生きている』とはっきり言っていたから、大丈夫だと思っていたけど、本当に良かった…)
フウは俺に基本嘘を付かない…誤魔化したりはするが、俺に嘘を付いたりはしない。
とはいえ、昨日のフウの怒り方からして、色々心配をしていたのだが、杞憂に終わってよかった。
そう思っていると…
「あっ、お父様!!」
俺に気付いたフウが俺の所に駆け寄ってきた。
「…一旦終わりにします。」
そう4人に言って、フウは家の中に入っていた。
後に残された。4人は肩で息をしながら、ゼーゼー言っていた…
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃない…ゴーレムが…ゴーレムが…」
「死ぬ…死ぬ…死ぬ…」
「(ガタガタガタ)」
…何だか、3人の様子がおかしい。
「はあ、はあ、はあ…」
唯一ファンだけは普通に疲れて肩で息をしているだけの様だ…
昨日の俺よりは大丈夫みたいだ…だけど…問題は他の3人…
(…何だこれ?)
…ファンを除いた、昨日いなくなった、3人共全員身体を震わせ…同じ言葉を繰り返している…
目は虚ろの状態で…今にも死にそうな表情になっている…
(本格的にこれはやばくないか?本当に昨日の夜何があった??!!)
詳しい話を聞こうとしたのだが、精神的に3人がやばすぎて同じ事しか答えない…
下手をすれば、俺の質問すら、聞こえて無いんじゃないかこれ?
俺がどうしようか迷っていると…フウが戻ってきて…
「食事が出来ました」
そう言って来た…いやいや!この惨状のまま食事に行ける訳が無いだろう!というよりも…
「なあ、昨日いなくなった、3人様子がおかしいみたいなんだが、何をした?」
そう聞いた…明らかにおかしいだろう?!この3人の精神状態!!?
「…訓練をしていただけです…」
「訓練?そんなんでこんな風になるのか?」
俺はフウに問いただす…明らかに、これはおかしいだろうに…
「…お父様…お父様は昨日、私に相談せずに勝手に訓練をしましたよね?その所為で…お父様は息を荒げて疲れ果ててしまっていた…」
「ああ…だけど…それは、俺が頼んだ訳で…」
「…あの時私は、訓練の元になった、3人を殺してやろうと考えていました…」
っておい!やっぱり昨日の言葉は聞き間違えじゃなかったんかい!!
「だけど、そんな事は、お父様が望んで居ないと思った…なので、訓練だけですましたのです…お父様が自分で追い込んだ訓練の何倍…何十倍もの訓練を…」
…俺の機能の訓練の何十倍?何をやっているの!!?
「とにかく、ご飯を食べに行きましょう?…4人もいつまでも、座っていないで、立って食堂に行きなさい!」
そう言った瞬間、ファンを除いた3人が立ち上がる。
「「「はい!」」」
「えっ?えっ?」
ファンも何が何だか、わからないと言った感じだったが、遅れながらも、立ち上がって、3人に倣って家の中に入っていく…
…ねえ、何が起きているの?
「お父様いきましょう?」
そう言われ…何が何だかわからないまま、フウに連れられて、食堂に行くのであった…
食堂について、フウが作ったご飯を食べているのだが…気まずい…
フウはいつもと変わらず俺にべったりだったが、他の4人はフウから離れて距離を取って離れている…というか全員震えて無いか?
…訓練をしたとフウが言ったが、そこまで震える訓練って、一体何なんだ?
そう思ったが、雰囲気的に俺は聞けず…結局、そのまま、朝食が終わってしまった。
朝食が終わった後、フウがファンを連れてどこかに行ってしまった…
昨日の事もあって、心配になり、行き先を聞いてみたのだが…
「ちょっと街の外の邪魔にならない所で訓練してくるだけです」
としか言わず…結局そのまま居なくなってしまった。
今日の朝の様子も相まって、心配でしょうがないのだが…
それにしても、残った3人は…?
俺は慌ててフウが連れて行かなかった他の3人の奴隷達を探す…
…どこに居るのかと思ったら、全員が食事を取った部屋の扉を出てすぐの廊下で寝ていた…
…部屋に戻れず…食堂を出てすぐの廊下で寝るって…どれだけ疲れているんだよ!
「おーい、大丈夫か?」
返事が無い意識が無い様だ…
俺はため息をつきながら部屋から毛布を持ってきて、廊下に寝ている3人に掛けるのであった…
「帰りました!!」
そう言ってフウが帰って来た。
案の定帰って来たファンは以前フウが連れ出した様に震えていた…しかも今回は…
「怖い怖い怖い怖い…」
と呟いていた…
いや!本当に大丈夫か?!ファンも!!!
ちなみに廊下に寝ていた3人はフウが帰ってきた後、速攻で正座させられていた…
何でも『お父様を警護しないで寝るとは何事だ』だって…
「なあ…フウ…俺、別に俺重要人物でも何でもないし、軽度何て必要ないと思うんだが…それに、全員、さっきの訓練で疲れているだろうし…」
そう俺は言ったのだが…
「あの程度で疲れていたら!お父様の警護をするのには力不足です!」
と言って来た…
いやだから!俺警護する程重要人物じゃないって!
…そう言いたいのだが、フウにはそんな話は通用しないだろう…
だったら、せめて、訓練に強化魔法を使わない様にと言ってみた。
強化魔法を使うと、筋肉は増強されるが、その分、身体に負荷がかかってしまう…
多分、最初に訓練をした時から、ずっと、強化魔法を使って訓練していた為、ここまで疲れているのだろう…
そう思って、フウに言ったのだが…
「…?実力を測る為に、私と模擬戦をするときに強化魔法を使いましたが、その一回以外使っていませんよ?体の負担大きいですし…」
とフウが言って来た…
ちょっと待って!!って事は何か?今のあの3人の疲れは、強化魔法副作用でも何でも無くて…訓練だけで、疲労困憊の一歩手前になっているって事か?!
「とにかく、今日までで、ある程度全員の実力が分かったので、明日から修業を本格的にやります!!」
そう、フウが言い放った瞬間、4人全員が奈落の底に落とされた顔をした…
えっと、まじ?今でさえ、酷い状態なんだけど…
エレナは泣き出し、ユウナは笑い出し、ニームとファンは震えだした…
唯一、ファンだけは絶望した顔のままだが…3人とマシなだけで、酷い顔だ…
やばい、これやばいって…
そう思ったのだが、フウはそんな惨状を知らぬ存ぜぬでキッチンに向かっていく…
待って置いてかないで…というより、この惨状を起こしてそのままにしておかないで…
そんな俺の思いとは裏腹にご飯が出来るまでフウは戻ってこなかった…
あれから、何とか他の4人はご飯を食べて、俺は夜になるとそのまま眠った…
(本当に…フウと一緒に居ると色々あるなあ…気疲れの方が多い気がするけど…)
そんな事を考えながら眠りについた…
…次の日、俺が起きると地響きが起きているのに気付いた…
(何だなんだ?)
俺は慌てて飛び起きる。
周りを見ると…部屋全体が震えているのに気がつく…
それは、今も、地響きは止まる所かずっと続いていることを意味している…
(待って!!本当に何があった!!?何が起きている!!?)
俺は寝間着も着替えもせずに慌てて庭に出る…
そこには、途轍もない…大きな人型の土塊が3体立っていた…
(えっ…ナニコレ!!?)
よく見る…岩様に固そうな皮膚を持った人型の物体…それが動いて、周囲が地響きを上げている…
それが3体…
「あっお父様!!」
俺に気付いたフウが俺に駆け寄ってくる…
「これは…?」
「ちょっと錬金術の本を読みまして…ゴーレムを作ってみました!!」
そうか…これ…ゴーレムなんだ…俺、初めて見たよ…って
「はああああーーーーーーーー!!!!」
ゴーレムって確か魔物だよな!!!それって作れるもんなの!!?
「頑張りました!!」
…もうね…フウが頑張ったら、何でも出来そうだよ…本当に…
俺が、ゴーレムを見る…そこには、4人の奴隷達が居るのに気付いた…
身長が高い、ユウナより大きく、横幅もすごい岩のゴーレムが4人の所に向かって突進していく。
4人共、必死になって避けて攻撃を繰り出している…
「なあ、フウ…4人共、ゴーレムと闘っている様に見えるんだけど…」
「もちろん、訓練の為に作ったのですから!闘って強くなってもらわないと!!」
…まじで…えっ何!!?あの、魔の森の魔物すらも倒せそうな位、屈強そうなゴーレムと訓練しているの!!?
そう言えば、昨日、ユウナが『ゴーレムが…ゴーレムが…』と繰り返し言っていたよな…そうか…このゴーレムと闘っていたのか…
色々喋っていると奴隷達4人、俺が居る事に気が付く…
(あっユウナが吹っ飛んでいった…)
…魔物であるはずのゴーレムを作り…家の庭で、訓練用に使っている…
…お父さん、今までそんなことが出来る人の話聞いた事が無いよ…
「お父様も起きましたし、それじゃあ、朝ご飯作ってきますね♬」
そう言って、家の中に入っていくフウ…
多分今の時間的には朝食と昼食の間の時間だから、朝ご飯と言っていいか解らないけど…
いや!その前に他の人達は?!放置しているけど!こっちを見て、何だか休みたいオーラを4人共出してるよ!!
「貴方たちはせめて、ゴーレム1体位倒しなさい、倒さない限り休みは無し!!」
そう言ってフウは家の中に入っていく…えっまじでこのまま放置?
「お父様、入りましょう?」
そうフウに促され…俺はそのまま家に入っていく…
それから、食事を取っている間…ずっと地響きは続いていくのであった…
食事をとった後、さすがに俺はあれは無いと思い、フウを説得させて何とか休ませて食事をとらせた…
「神様ありがとうございます!!」
とエレナは俺を拝み
「救世主様」
とユウナは呆けた顔をして
「ぐず・・・ぐず・・・」
とニームは泣きじゃくり
「ありがとうございますありがとうございますありがとうございます……」
と壊れたようにファンがお礼を言ってきた…
本当にフウを説得して止めて良かった…
「フウ、やり過ぎなんじゃないか?」
絶対やり過ぎだろう!!訓練にゴーレムを使うって!そんな訓練聞いた事が無いぞ!!
「…全然実力が足りないんだもん…」
「いやそれ言っちゃったら、俺なんて…」
この3人が弱かったら、俺なんてどうなるんだ!!
「お父様を守る為に買ったのに…全然頼りないんだもん…」
「がは」
とユウナが口から女の子が出してはいけない声を出し…倒れこんだ
「なあ、フウ俺別に要人でも何でもないんだ…狙われている訳でもないんだし、4人共そんなに鍛えなくても…」
「…絶対って言いきれないもん…」
「フウ…?」
そう言ってフウは下を向いたが…すぐに顔を上げ…
「ご飯をさっさと食べて!!すぐに続きをします!!!」
と言い放った…
その言葉に4人共、絶望的な顔をしたが、こうなってしまっては、フウはどう言っても聞く耳を持たないだろう…
(頑張れ!)
と心の中で応援する…
(ん?待てよ?)
「なあ、俺も参加してもいいか?」
そう、確かにゴーレムは危険だ、その物理の固さはAランクの戦士すら傷つけるのが難しいと聞いている。
だが今ゴーレムを操作しているのはフウだ、怪我はするかもしれないが死にはしないだろう。
かなり無茶苦茶な訓練方法だが強くなる為の訓練としては最適なのではと考えた俺は、フウにそう発言した。
だが…
「駄目です!!」
一瞬で却下されました…
「どうしても…?」
俺が諦めきれず、そういう…けれど…
「お父様は私が守りますので…強くなる必要はありません!」
そう言って会話が終わってしまった…
『強くなる必要が無いって』…なあ、まじでこれから先も俺強くなれないの!!?
しかし、その後、4人が訓練に戻った後の訓練を見たのだが、その訓練の様子を見て、すぐさまやらなくて良かったと思った。
あのゴーレム図体が大きい割に速くて全然動きが見えないんだ…
多分、俺一瞬でやられるわ…
4人を見る…はっきり言って、蹂躙と言っていい程、全員がやられていく…しかも、ゴーレムは3体も居るのだが、動いているは1体だけ…3体同時に動いたら…一瞬で4人ともやられるだろう…
(本当にやらなくて良かった)
雲一つない青空の中…奴隷達は宙を舞うのであった…




