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奴隷が欲しいので赤ん坊を育てた  作者: ・・・・
街へギルドへ
18/118

おねだり

文章変更中・・・ましになったと言っても、まだまだ、変更箇所あると思います。


もし、読みづらい場所があったら、感想欄に書いてもらえれば、対処できる所は変更します。

たった今起きた出来事に俺は呆然としていた。


俺は1時間前にギルドにやって来た。


来た理由は1週間前にギルドに渡した素材を換金したお金を取りに行ったのだが、そこで何故かギルド長から、これまた1週間前に出会った大剣の男と試合するようにいきなり言われた。


最初は乗り気じゃなかった俺だが、何だかんだと話が進んでしまい、フウもやる気を出していたので結局その男と試合することになった。


こう言っては何だが、何が何だか分からないまましかも、心の整理が出来ないまま、試合に臨んでしまった。


まあ、ただの試合なら大怪我をする前に止められるだろうそう思っていたのだが…


しかし、試合が始まる直前にギルド長が…


『ルールは何でもあり、生死についてはお互いの差加減で、勝敗は死ぬか負けを認めるまで…』


と言ってやがった!


ギルド長のその言葉に、俺は心底驚いた!!


だって!行うのは、試合…模擬戦であり、命のやり取りをするなんて考えていなかったからだ!


だから俺はフウに…


『おい、フウやっぱりやめた方が…』


と言って、試合を止めようとした…だが…


『大丈夫!お父さんはどっしり構えていて!!』


とフウがそう言ってきた…


その堂々とした宣言に俺は止める事を止めてしまった…


まあ、本当は強くやめろって言えば、フウは止めたと思うのだが…


ここまで言われてしまっては、止める事も憚られた…


だって、フウは、今まで、俺に殆どわがままを言った事が無かったのだ。俺のいう事をだってよく聞く…


それこそ、本来はまだ、赤ん坊の年齢であるはずなのに…大人びた様な考えを持っている…まあ、偶に癇癪を起すが、それでも、赤ん坊には見えない程、しっかりしている…


本当に我儘1つ無く…


そんなフウが初めて、俺に『俺と一緒に試合をしたい』というお願いをして来たのだ…


フウの初めてのお願い…そう考えると、心情的にどうしても、止めることが出来なかった…それに…


(もし、危なくなったとしても、すぐに止めれば大丈夫だよな?)


そう思い、俺はそのままフウを試合をする事にした…


試合が始まる事を了承して、大剣の男と対峙する…今更ながら、本当に大きな剣だよな…あんな剣で来られたら、一瞬で死ぬんじゃないか…


(やっぱりやめた方が…)


そう思ったのだが…ギルド長の試合開始の合図の方が速かった。


『よし、始め!!』


そうギルド長が言った瞬間に、俺の目の前から2人が消えた…


どこに行った?!と思ったら、次に2人を見つけた場所は、最初に居た場所からかなり離れた場所に居た…


(いつの間に?!)


フウ何て!俺の隣に居たはずだよな!!?何でそんな場所に居るの!?


というより!フウの奴いつの間にか作った氷の剣を持っているし…今、消えた瞬間に何が起きたの?!


しかも、試合前には大剣の人は剣を構えていたはずなのに、何故か、男は剣をしまっていた…


フウが何かを叫んでいるが早口な為、何を言っているのか俺には解らない…


(本当に何が起きているんだ?)


俺が今の状況に混乱していると、フウが、何故か氷の剣を消した…


また二人で早口で何かを喋っていたかと思うと…またしても、大剣の男が消えた…


そして、気づいた時には、先程までフウが居た場所に、大剣を振り降ろした男が居た…


(ってフウは!!?)


俺は慌ててフウを探す…


(居た!)


先程の場所から、少し離れていた場所にフウは居た…少し砂ぼこりが服についているが、怪我が無い様なので、一安心だ。


(だけど、これで終わりじゃないよな…)


最早何が起きているのか、解らない俺だが、まだ、試合開始から、全然時間が経っていない…というより、試合開始から一瞬でこれだけの事が起きたのだ…俺としては唖然とするしかない…


しかし、時間的には、本当に一瞬でしかないのだから、まだ、試合は終わるはずが無い…


そう思った俺だが、何故か大剣の男はフウに対して、後ろを向き…そして、そのまま訓練場を出て行った…


(えっ…終わったのか…?)


…それは、本当に一瞬の出来事…時間にしたら、一分も経たなかったのではないか?それほど、短時間で様々な事が起きた…


俺としては、白昼夢を見た感じだ!


(はっきり言って何が起きていたのか解らなかったんだけど!)


俺は、先程の光景を思い出す…一瞬で消える2人…気づいたら、別の場所に居る2人…そうして、気づいたら大剣の人が訓練場から出て行く…


(というより、大剣の男の人が訓練場から出て行ったんだけど、本当に終わりでいいの!!?)


俺が混乱していると、ギルド長が、俺の所にやって来た。


「悪かったな、付き合ってもらって、ほれ!!約束のお金と後、これは新しいギルド証だ」


ギルド長に預けていた、自分のギルド証を返してもらうと、そこにはAランクと書かれていた…


「…このギルド会員証Aクラスって書いてますけど…」


呆然としながらそう質問する…


…ちょっと待て!試合が始まる前にこの試合は昇級試験も兼ねているって聞いていたけど、俺!さっきまでFランクだったんだけど!!それに!俺自身はまだ、ゴブリンすら倒せないんだけど!!そんなのが、Aランクになっていいのか!!?


「そりゃそうだろう、最高クラスのSSクラスに勝ったんだ。本来ならそのクラスに上げなきゃいけないんだが、ギルド長権限でもこれが精一杯だ、勘弁してくれ…」


えっフウって、さっきの冒険者に勝ったのか?!


はっきり言って勝敗云々の前に速すぎて試合内容すら俺…解らなかったんだが…


というより!フウが闘った冒険者ってSSランクの冒険者だったの!!?あの人そんなに高ランクだったのか!!そんなの初めて聞いたんだけど!!


SSランクの冒険者、通称英雄クラスと呼ばれるランク…冒険者の憧れのランクであり、頂点でもある…


というより、SSランクの冒険者…


思い出すのは、俺の身長よりも大きな剣…そして、それを悠々と降っていたあの男…


…大剣を持っていて…SSランクの冒険者って言ったら、あの人もしかして、大剣のセシル何じゃあ…


SSランクの冒険者は本当に有名で俺みたいな、底辺でも冒険者なら誰でも知っている。


まあ、それだけ物凄く強いって訳なんだけど…


(そんなのに、勝ったのか…本当に…フウって何者なんだ?…)


…魔の森に居た謎の赤ん坊フウ…生後一年すら立たずにドラゴンまで簡単に狩ってくるというとんでもない赤ん坊…


(まあ、今更か!)


…フウの正体何て考えてもしょうがない!


フウはフウなんだ!何者だって関係無い!


魔の森に出会って心の支えになった時から、フウは俺の命の恩人だ…はっきり言って、フウが居なかったら、心が折れて、歩く事すら出来ずに、精霊さんの村に着く前に死んでいただろう…


だから、フウが何者だったとしても、俺は気にしない!


…そんな命の恩人を奴隷にしようとしたなんて…絶対に、誰にも言えないな…


頭を振って、意識を戻す…手を見る、そこには、自分のギルドカードが握られている…


……そう言えば、Aランクのギルドカードを貰ったんだっけ…何だよ…余りにも現実みが無かったから、思考を別の事にずらしたのに…結局、元に戻るのか…


…Aランクのギルドカード貰ったけど…結局、強いのって、フウだよな…俺が貰ってもいいのか?!貰うのは、フウなんじゃあ…


「ちなみに、フウは、ギルドの登録できる年齢になるまではギルド証が発行できん!実力は申し分はないが、本当に1歳ならギルドの条約上渡すことができない…出来ない」


そうギルド長に言われ、俺は何も言えなくなる…言われてみればそうだ…フウはまだ一歳なのだ、本来はギルド登録すら出来ない…


…だけど、本当にAランクのギルドカードを俺が貰っていいのか?!俺!ゴブリンした事すら無いんだぞ!?


しかし、その後、フウが…


「構いませんよ♪私なんかより、お父様のランクが上がる方が私にとっても嬉しい事です♪」


と上機嫌で言ってきた為、このAランクのギルドカードを断る事も、出来なくなってしまった…


だって!フウがあれだけ喜んでいるんだぞ!断れる訳が無いだろ!!?


そして、そのまま言いたい事を言ったギルド長は訓練場から出て行った…


…俺はその後姿を見送りながらも…俺は先程起きた出来事を思い返していた…


…SSランクにフウが勝ち…Aランクのギルドカードを貰って…俺が一生かけても稼げない程のお金を手に入れた…


(絶対夢だろこれ…)


だって、ゴブリンすら倒した事が無い俺がAランク何てなれる訳が無い…そう思うのだが…俺の右手にはどう見ても、Aランクと書かれたギルドカードが握られている…


目を瞬かせる…どうしても消えない…名前の欄を見る…何度見ても、自分の名前が書かれている


(何だこれ?Aランク?誰が?俺が?…ゴブリンすら満足に倒せない俺が?!あり得ないって!!いや、このギルドカードは偽物だな!だって…俺が、Aクラスの冒険者何て…あり得ない…)


俺の実力は、ゴブリンを倒せるかどうかの実力のはず…


それなのに、目の前にあるギルドカードにはAランクとベテラン冒険者の称号が掛かれていた…


何だか、完全に夢を見ている様だった…いや、夢だよな?だって、ゴブリンすら倒せない俺が、Aランクになるなんてありえないんだから…


俺自身がそんな風に現実逃避していると…


「お父さん!!大丈夫?」


とフウが話しかけてきた。


いかん!頭が混乱して呆けていた…最早、悪い冗談みたいな状況だが、今更現実逃避しても仕方がない…


それに、俺は一応フウの父親なんだ…せめて、この子の前ではシャンとしないと!


「ああ、大丈夫だ…」


俺は何とか、それだけを口に出す…


「良かった!!フウ勝ったよ!!!」


…フウは無邪気な笑顔でそんな事を言ってくる…


「ああ、おめでとう!」


そう俺は言うが、内心冷や汗が尋常では無かった…


(フウは勝ったみたいだけど…お父さん…全然試合の内容見えなかったんだけどね…)


はっきり言って、2人の闘いのレベルは俺の予想の上をさらにいっていた…


何だよ!見えないって!!完全に人間の闘い方じゃねえだろ!!!俺はっきり言ってついていけないよ!!!


(もう、パーティ変更していい?絶対、フウのパーティメンバーだったら、俺なんかよりさっき闘っていた人の方がふさわしいよ!!?SSランクに勝ったんなら、そのクラスの人達と一緒にパーティ組んだ方が良いよね!!?)


問題は、ギルドカードが作れない事だが、フウが15歳になるまでは、別の人が俺の代わりに換金すればいい…


そうすれば、今まで何でもこなしてきたフウの事だ…すぐに1人でも生きていける様になるだろう…


…ちょっと寂しいが、それが一番フウの為になるだろうし…


そんな事を考えていると…


「あっそうだ、今日ねお父さんにあげたいものがあるんだ!!」


そんな事をフウが言って来た。


「へっ?あげたいもの?」


「うん!宿屋に着いたらあげるね!!」


何言ってんだ?いつも俺フウから貰ってばっかりなんだけど…


魔物の肉とか、素材とかお金とか…逆に、貰い過ぎて、申し訳ない程なんだけど…


だけど、フウはそんな事は考えていないだろう…それどころか、俺に何かを上げる事に喜びを感じている…それこそ、それが当たり前だとフウは考えているかのように…


その為、わざわざ、フウは俺に何かをあげるというのを、言葉にして言わない…気づいたら、フウが自分から、自分が手に入れた物を全部俺に渡してくる。


だけど、フウはわざわざ俺にあげると言って来た…


フウの非常識を知っているいつもの俺なら、何をあげるのか、根掘り葉掘り聞くのだが…


もう、Aクラスのカードを貰った事ですでに頭のキャパシティを超えていた俺は何も考えず、こう言ってしまった。


「解った、楽しみにしている…」


俺は今日の晩この安易な返事を後悔するのだった…


――----------------------------------


俺とフウは、決闘が終わった後、ギルドを出た。


ギルドから出た後もこれは夢だと俺はずっと考えていたが、手持ったAクラスのギルドカードはいつまでも消えない


(まさか?本当に?!現実???!!!)


夢現でボーとしながら道を歩いていると…通っている道の中に雑貨屋があるのを見つけた。


そういえば、ギルド長に服くらい買えって言われてたっけ?


(雑貨屋にも服位あるよな?)


そう思って目についたその店の中に入ってみる。


「いらっしゃ…」


中に入ると体格のいいおばさんが出てきた。


見た目は30代から40代程度…身長は160位と俺より高い…


悔しく何てねえぞ…小さいからって何だ!この世は身長が全てじゃない!


(…そう言えばさっきいらっしゃいと言おうとしたみたいだけど、何か最後言葉に詰まっていたな?どうしたんだ…?)


「…お金持ってるんだろうね?」


その反応はひどいんじゃないか?


そう思いながら自分達の恰好を思い出す。


一年森に居た所為で服と言うより布切れと言っても過言では無い物を俺が来て…


フウに至っては森にある蔦や草を組み合わされた服を着用している…


…一応、フウのは、精霊さんの手作りの服だけど…どう見ても、普通の服じゃない…


うん!どうみてもお金思っている様に見えないな!!!


宿屋も良く取れたよな!!これで!!


俺はお金を持っている事をアピールする為に金貨を取り出す。


「これで大丈夫?」


「…盗んできたもんじゃないよね…?」


…何だかここまで言われると悲しくなってきた…


まあ、確かにこの金貨はフウが働いたお金で、俺が稼いだお金じゃないけど…


あっ…そう考えると…更に情けなくなってきた…俺がうなだれていると…


「きちんと働いて稼いだものです!!」


とフウ…そうだよな、俺じゃなくてお前が稼いだもんだもんな…


お前は堂々とおばちゃんに言う権利があるぞ!


そういう俺は……うん!!惨めになるしこれ以上考えないでおこう!!


そんな風に頭の中で納得していると…


「解ったよ…ちょっと待ちな…」


そう言って、おばさんが店の奥に入っていき、数分後、白地の服を取り出してきた。


「この服なら1枚銅貨25枚…女性用だと1枚30枚だね」


…そうか、やっぱり結構するなあ。


とりあえず、服を男性用、女性用の服を10枚ずつ買おうとしたんだが…


(そういえば、金貨しか今持っていなかったんだ!金貨の両替ってこのお店で出来るか?!)


いつもなら、銅貨しか持っていなかった為、そんな心配した事が無かったけど、金貨って高級店しか使えなかったはず…


こんな小さな雑貨屋で両替何て出来るのか?そう思って聞いたら案の定…


「金貨の両替?こんな小さな雑貨屋で出来る訳無いだろう!お釣りに関しても、出せる銀貨に枚数が限りあるんだ…出来るだけ、品物を買って消費してくれ!そうしないと、お釣りの銀貨だって準備できないよ!」


そうですよねえ!!


金貨なんて、高クラスの冒険者か貴族位しか使わないお金…


高ランクの武器や装飾品を扱っている店ならまだしも、このお店どう見ても、普通の雑貨屋だし…どう考えても向こうの言い分が正しい


しかし、そうなると…何とかこのお店で金貨1枚を出来るだけ使い切らなければならない!


そう思い、俺はおばちゃんにこのお店にある服をすべて出してもらった。


結果白地の服男性用25枚、女性用20枚、簡単な装飾が施された女性用服を10着…お値段合計銀貨20枚位…


全然金貨1枚に届かねえ!!


「フウは他に欲しいの無い?」


「お父さんが欲しい物!!」


…お父さんね、このお店で欲しいの服以外に特に欲しいの無いんだ…


本とかも、俺読まないし…装飾品も男の俺には必要ない…


というか!以前から思っていたが、自我が芽生えたというのに、フウの欲求のない!


それが、今ここでは裏目に出てくるとは…


精霊の村にいたときは、その欲のなさに救われていたのだが、今この現状においては最悪の展開だ!


(…やばい!このままじゃあ、金貨を使いきれない…)


はっきり言って、いらないものを強引に買い込めば、金貨1枚といっても、使い込むことはできるだろう…


だが、恐らく、本当に要らないものを買わないと金貨1枚を消費するのが難しいということだ。


今俺達は宿屋で生活をしている。


いくら高級の宿屋と言っても、結局借りているのは一部屋…物を置くスペースが限られてくる。


今ここでいらないものを大量に買ったとしても、どこに置く?という問題がある…


それに、欲しくないものを買って無駄遣いするのも…勿体なさ過ぎるし…


…そんな事を考えていると…


「あっ…」


フウが何かに気づいたように声をあげた…


何かに目を向けたようだが…すぐに目を背けた…


この様子…フウのやつ何か欲しい物があるらしい…


(よし!お父さん今なら何でも買ってやるぞ!!)


もし、大きなものをフウが欲しがっても、一つ位なら置けるだけのスペースはある。


今住んで居る宿屋はそれなりの値段がする場所なので、部屋もそれなりに大きい。


それに、フウが稼いだお金だ。フウ自身が欲しいものがあるなら、優先的に買いたい…


そう思い、先ほど、フウが目が向けた方向に見ると…


そこには首輪がありました……


しかも、宝石が付いている立派な奴…


なあ、フウ俺達…ペットを飼ってないよな?


第一、これ装飾はしているけど…奴隷用の首輪だろ?


1年前、街で隠れて、奴隷の手引きという本を読んだ際、挿絵として奴隷の首輪として絵が書いてあった、確かそこに書かれていたマジックアイテムとめちゃくちゃ似ている…


確か…奴隷用の紋がこの首輪に書かれていたはず何だか…やっぱり書いてある…これ完全に奴隷の首輪に決まりだ!


何でフウはこれを見ていた?


…まさか、これ欲しいなんて言わないよな?


というか、この首輪を買って何に使うつもりだ?お前…


俺がギルドの決闘…Aクラスのギルドカードを貰った事に続いて本日三度目の思考停止しながら首輪を見ていると…


「何だい、こんなのが欲しいのかい、これ一応マジックアイテムらしいから首輪1つで金貨1枚何だけど…まあいいや服と合わせて全部で金貨1枚でいいよ!」


と言われた…いや買わないよ!というか!この感じこの人どんな首輪か解ってないじゃないか!!?


第一今!奴隷もいないから!付ける人居ないし!!


…おい、フウ何で俺の事をじっと見てくる…何で期待した目で俺を見てくる?


「…お父さん…」


か弱く小声でそう言ってくるフウ…何だよ…そんな期待した目で見られても…奴隷の首輪を買うなんて…


第一奴隷も居ないし…そう思うのだが…フウが何だか、もの凄く期待している様な目で俺を見てくる…


「…これ下さい…」


俺は結局フウの瞳に負けて買ってしまった。


どうしようこれ…?


というより、何に使うつもりで、フウは欲しそうにしていたんだ?


…装飾品にしても首輪だぞ!?奴隷以外に首輪を買うなんてそんな人なんて居ないだろうし(チョーカーという概念はこの世界にはありません)本当にどういう意味で買ったのやら…


俺は疑問を抱きつつもそのままフウと一緒に宿屋に帰宅し、その後、宿屋で食事をした。


今、俺は前から泊りたいと願っていた高級宿屋に泊っている。


部屋は奇麗、清潔で広く良いのだが、出てくる食事の味はそんなにおいしいと思えなかった…


(フウが作ってくれる食事の方が美味しい位だなあ)


精霊の森に住んで居た時、フウは俺に手料理を作ってくれていた。


はっきり言って、精霊さんの食事は、薬草や果物だけを切っただけの本当に素材の味そのままの料理しか作らなかった…


だが、それから、暫くして、フウが俺の為に、料理を作ってくれるようになった…


魔物の肉とどこから手に入れたのか解らないが野菜を使い、料理を作るのだが…その料理がまたうまかった…


こう言っては何だが…家で食べた料理より、何倍も美味しかった…


まあ、家の料理は家の料理で食べたら懐かしくは感じるだろうがな…


そんな事を思いながら、宿屋で食事を食べ終えた俺は、フウと2人で部屋でくつろいでいた。


すると


「お父さん」


フウが俺に話しかけてきた。


「どうした?」


「決闘が終わった時に、言ってた上げるもの、今あげるね♪本当はお父さんの誕生日に上げたかったんだけど…」


そう言ってフウは悲しそうな顔した。誕生日…その言葉に、誕生日という概念があった事を思い出す…


家が裕福じゃなかったため、誕生日だったとしても、おかずが一品だけ増えるだけという質素なもの…プレゼントなんて全くなかった…


それを、フウが誕生日プレゼントを用意していたという事実にまた驚いた…


わざわざ、あげる物があると言うのを口にしたのも納得した。誕生日プレゼントという特別なものをフウはあげたかったのだろう…


わざわざ、長い期間準備して…


俺の誕生日までに用意できなかったみたいだけど、それでもものすごく嬉しかった。


「いや、貰えるだけ嬉しいよ!」


俺は本心をフウに言った。


今の俺は15歳、本当なら成人した今誕生日プレゼントなんて貰える可能性は0だった…


それが、日にちが過ぎてしまったが、誕生日プレゼントを貰えるなんて…!


(…ん?待てよ…フウの奴『本当は俺の誕生日にあげたかった…』って言っていたが、フウ自身に俺の誕生日何て言ったっけ?)


…精霊さんの村でも、俺の誕生日何て一度も話した事が無かったはず…それなのに、何で知っていたんだ?


…まあいいか!第一、フウがわざわざプレゼントを準備してくれたんだ…どんな物でも祝ってくれるその気持ちだけでもはっきり言って十分嬉しい!!


何をくれるのかなあ?


そう言えば、今フウの手に何も持っていないけど、空間魔法を使ってプレゼントをしまってるのかなあ?


そう思っていると…


「喜んでもらって良かった…じゃあ、あげるね?」


そう言うと、フウは何か呪文を唱え始めた?


(えっ何してんの?プレゼントだよね?何で呪文を唱えているの?)


俺が驚いている内にフウの手の甲に何か大きな痣が出来てる…ナニコレ?


「お父さん、ここ触って」


俺は言われるがままほとんど無意識にフウの痣を触る。


(こんな事して何がしたいんだフウは?)


そう考えた瞬間


…光が目の前を覆った…


「…うん!!出来た!!!おと…ご主人様には私を上げます!!!」


はい?


「えっ、どうゆう事?」


「?おと…ご主人様は、奴隷を作ってハーレムを作りたいんですよね?」


いや、確かにそうだけど…いやちょっと待って?


フウに…いや、誰にもその事一回も言ってなかったよな??


全部頭の中で考えていたけど、一度たりとも口には出した事が無いはずだ!!


「えっ、何でばれて…」


…もしかして、無意識に考えていたことを口に出してた?!


いや、それなら、他の人にもバレていたはず…少なくとも、皆の態度からこの事はバレていないはず…だったら何故…?


「精霊さんの感情を読み取る能力を真似して思考を読み取る魔法を作りました」


…ああ…精霊さん、感情を読み取る力を持ってたのね…


以前から、俺の事を見て、邪な考えを持っているのが見えるって言っていたのって比喩でも何でも無くて実際見えて居た訳か…


…道理で精霊さんが俺を見る目がいつも厳しいように感じてたのはそれだったのね…


俺…奴隷が欲しいとずっと思っていたから邪な感情垂れ流しだったろうし…そうか…それを真似をして、思考を読み取る魔法を…


(………ちょっと待って今フウは何て言った?!)


…思考を読み取る魔法?感情じゃなくて…思考?思考ってあれだよな…考えたことを読み取る魔法って事だよな…それって…


「…俺が精霊の村で考えてた事全部ばれてたって事?」


「…はい…」


(………………)


うぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!


ちょっと待ってまじで待って!!!


いや確かに成長したらすげー美人になるよな、今の内に手を付けておけば、後々有利になるよなとか邪な感情があったのは認めるが、手を出してはいない!!!!


……だけど、頭で考えてた事、妄想してた事全部ばれてたって事だよな…


それで今の状況…


(えっ何これ…?)


フウは俺の邪悪な目標を知っていた…そして、フウ自体を奴隷にしようとしていたのも、フウにばれて居た…


フウは知っていてなお…俺の傍に居て…


そして今、フウは『私をあげます』と言って来た…


(ちょっと待って!!本当に待って!!こういうのって!?普通!軽蔑されるんじゃないの!!?フウは何で自分を奴隷にしようとしているの!!?)


第一フウは精霊さんの教育で、奴隷制度は悪だって教えられていたはず…それなのに…


「精霊さんは関係ありません!!私がご主人様に私自身を上げたいと思ったからやった事です♪」


…えっと…もしかして、今考えている事もバレている?


「はい!出会ってからずっと…ご主人様の事は何でも知っています…」


…うぎゃーーーー!!!何だよそれ!!プライベートも何もないじゃないか!!!


「ごめんなさい…ご主人様の事をどうしても…知りたくと…」


そう言って、上目遣いに俺の事を見てくる…フウ…


…もう、いいや…もう今まで見られたと言いっても…最早…終わった事だし…


ちなみに…何?そのご主人様って?


「奴隷は主人に対して、ご主人様と呼ぶのが儀礼だって書いていました!!」


「…ちなみに、何に?」


「この街で見つけた本にです!!」


………なんだそりゃあ!!!!


赤ん坊の頃に奴隷教育をしようとしていたら…俺が手を出すまでも無く…勝手にフウで自分で奴隷教育を自主勉強をしていた…


最早、自分でも何を言っているのか解らない…本当になあにこれ?


「ご主人様?それで…」


そう言って、いきなりもじもじし始めたフウ…


…いきなりどうしたんだ?最早…俺は何も驚かないぞ!多分…


「…おと…ご主人様、首輪付けて…」


(…ああ…そう言えば、雑貨屋で奴隷用の首輪を買っていたんだっけ?何に使うのかなあと思っていたけど…自分に付けようとしていたのかあ…って…)


馬鹿野郎!!本気でフウを奴隷にする気なのか俺!!!


はっきり言って、こんな事が、精霊さんにバレたら…大変な事になってしまう…


それこそ、殺されるかも…


「その時は、全力で私がご主人様を守ります!!」


うるさい!!勝手に思考を見るな!!…というよりいいのか!?フウはまだ…1歳…何だぞ…


…もし、首輪を嵌めたら…いや!そうじゃなくとも、この痣って奴隷の紋章だよな…本で見たことがあるけど…こんなに光るもんなんだなあ…


こんなのを付けているのを他の人に見られたら…絶対鬼畜野郎って思われるだろうし…


いや…奴隷を買おうとしていた身としては今更なんだけど…フウは幼過ぎるだろう…


……どうしようかなあ…いや…どうすればいいのかなあ…


俺は頭を抱えた…

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