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奴隷が欲しいので赤ん坊を育てた  作者: ・・・・
街へギルドへ
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大剣セシル 前編

ちょっと書いてみた、セシルのこれでない感が強い・・・


前編、後編に分割してみた・・読みやすくなりました?


「大丈夫か?」


「ええ…何とか…」


俺は、ギルド長のギャンと顔を見合わせて、息を整えた。


先程俺は死線を切り抜けた所だ。


俺の名は大剣セシル…


一応ギルドで英雄クラスと言われている上位の冒険者だ。


それが先程、小さな子供に殺されかけた。


まさか冒険者の英雄クラスである俺が殺されかけられるとは…


―――――――――――――――――――――――――――――


今日、ギルドに来たのは本当に偶然だった…


いつもこの時期になると、魔の森に行き訓練をする。


今回は、請け負っていた依頼が速めに終わった為、早めに魔の森に行く為に、魔の森の近くの街であるフォーカに来た。


早目に来たのだが、流石に移動して疲れた身体で、すぐに魔の森に入るなんてことは出来ないので、今日は、宿屋に泊る予定でギルドで休憩がてら酒を一杯飲んでいたのだ…


それがあんなことになるとは…


…俺が酒をギルド内で飲んでいると受付が騒がしくなり始めたのを感じた。


いつもの冒険者同士の口論かと思い最初は無視をしたのだが…


「馬鹿な!!こんな小さな子がベアーキラーを!!!しかもこの大きさの頭からしたら3m越えはいってるはずだ!!!倒せる訳が無い!!!!!」


そんな言葉が聞こえた瞬間、俺は、受付に意識を向けた。


(ベアーキラー?…その魔物はいつも魔の森で訓練する際狩っている魔物だが、並大抵の冒険者が狩れるものでは無いはずだ…しかも、3m級?そんなもの俺ですら狩るのは骨が折れるぞ…)


先程の冒険者の言葉を聞き、俺は、この騒ぎに興味がわいた。


俺は受付に行く事にした。


受付に行くと、俺を見て周りが騒めくのを感じる。


英雄クラスの冒険者‥‥その肩書は、ギルド内で大きな意味合いを持つ…


冒険者の上位者と言えばそれだけだが…それになれるのは…本当に一握り…


100万人に1人の割合でしか生まれないと言われるほど…それは、狭き門…


ただ、生まれ持った才能、能力、スキルが強いだけでは、なれない。


その才能、能力、スキルを切磋琢磨し…鍛え上げ、状況による、判断能力で危機を乗り越えられるだけの力を持つ者…


そう言った者だけしかこのクラスにはなれない。


どんな生まれ持った力が強くとも、そこから更に強くなり続けなければ、このクラスになる事は、不可能…


その為、このクラスになった者はギルド内でも、英雄視される…


(…いつもながら、この視線は慣れないな‥‥)


いつもの事なので、しょうがないと思っているが、やはり…好奇の目で見られるのは良い気持ちがしない…


まあ、これは、英雄クラスの宿命だと思いしょうがないと割り切っている…


俺は周囲の騒めきを無視して進む…


ざわめきが大きくなるが、気にしない様にしていくと…そこには…


冒険者が一人と、薄汚れたどう見ても子供しか見えない男と幼児の身長しかなく、しかも、草と蔦で作られた服しか来ていない女の子がいた…


(…こりゃあ、疑ってもしょうがない…)


薄汚い服や…どう見てもお金が無くて、草で作りましたという服しか着ていない子供がベアーキラーを狩って来たと言ったら、怪しすぎるだろう‥‥


だが、実際に受付の机の上にはベアーキラーの頭が置いてある…


これを持ってこれるとは、少なくとも、魔の森の奥地まで進んでいける実力があるという事だ…


しかも、これだけの大きさだ。


持ってくるのも一苦労のはずなのに…目の前の二人は平然としている…


(…一応警戒しておくか…)


どんなに、外見が幼かろうと、実力は関係ない。


現に、幼い容姿で、俺以上の実力者などごまんといる…


(まあ、それにしても、この格好はどうかと思うが…)


もし、それだけの実力を持っているとするのなら、この様なみすぼらしい格好をしているのは疑問だが…


まあ、ベアーキラーという、大型の魔物を持ってきたという事は、それなりの実力はあるのだろう。


…だからこそ、疑問に思ってしまう着ている物が汚すぎるという事に…


これだけの魔物をギルドで一度でも換金すればそれだけで、それだけで金貨が手に入る。


それなのに、こういった格好でギルドに来ているという事は…


(可能性としては…今まで何かの理由で、ギルドを使えなかった…そして、今までの持ち物や財産をを失った…と言う所か?)


理由は、考えられるとしたら他の国の犯罪者…と言った所か?それで、財産を没収されて、今ここに居ると…


…だとしたら、尚更、身元を確認する必要性があるな…


「失礼、今いいかな?」


俺は思い切って、話を切り出した。


(万が一、実力がある犯罪者なら俺が出て対処しなければいけないだろうからな…)


そう思い、注意を払いながらも、話を続ける。


「ベアーキラーを倒したんだって?」


本当のことを言うかわからないが、とりあえず尋ねてみる。


実際、俺自身、こんな子供が本当に、ベアーキラーを倒した何て信じられなかった。


身なりで判断するなと言うが…それでも、目の前の二人は見た目が幼過ぎた…


「…俺じゃないがな」


(…?俺では無い?)


そう言う男の子…さっき叫んでいた冒険者が『小さな子』が狩ったっていったよな…?


もし、この子じゃないのなら…


「じゃあ、誰が?」


この男の子では無ければ、誰が?このベアーキラーを倒したと?まさか…


「この子」


そう言って、その子は、更に小さな女の子の頭を撫でる…その女の子は気持ちよさそうな顔で男の子に撫でられている…


(…まさか…こんな小さな子がベアーキラーを倒したとでもいうのか?)


「本当か?」


余りにも信じられない言葉に思わず俺は口が出ていた。


(いくら、外見が実力に比例する訳では無いとはいえ、これは余りにも幼過ぎる…)


心の中で、そう呟く…本当に…こんな小さな子供が倒したのか?


「そんな嘘を付いてどうする?何だったら他のも見せるか?」


…嘘かどうか?わからず、迷っていると、そんな事を目の前の子供は言って来た。


(…そう言えば…さっき、『他のも見せるか?』と言っていた様な…)


確かに、男の子は、そう言っていたはず…だが目の前の二人は、何も持っている素振りを見せない…


「…他にもあるのかい?ちなみに、出すと言っても、2人共、手ぶらなようだが、どうやって見せるんだ?」


俺は、思わずそう聞いていた。


手ぶらなのに、どうやって、他の素材を見せるのか気になったからだ。


「アイテムボックス?だっけその魔法をこの子が使えるんだ」


その言葉を聞き、私は一瞬動きが止まった。


「…もう一度言ってくれ…何が使えるって?」


「アイテムボックスの魔法」


…聞き間違えでは無かった様だ…と同時に私は頭を抱えた…


アイテムボックスの魔法…その魔法を使える人は限られている。


空間魔法を長年精通した者や才能がある者…そう言った人達がようやくその魔法を使える。


現に、才能がある者で、10代でその魔法を会得した人を私は一人しか知らない。


しかも、その10代で会得した人物は、人類で唯一大魔法使いを名乗れるほど、魔法に精通している者だ。


それを、目の前のどう見ても、一桁台の年齢にしか見えない少女が使えると言っている…


(絶対に嘘だろう…)


そう私は結論論付けた。


恐らく、神話とかの話を聞いた。英雄気取りの冒険者なのだろう…


…この年齢で魔の森に、行けるだけの実力はあるみたいだが、アイテムボックスの魔法を使えるとは、そんな事は有り得ない…


「…わかった、アイテムボックスを使えるとして、ちなみに他にはどんな素材がある?」


私は、頭を抱えながらも、そう聞く。


一応、ギルドの英雄クラスの冒険者として、この騒ぎを鎮静させなければいけない、


そう思って聞いた。


「フウ」


「ベアーキラー237体、フェンリル153体、グリーンドラゴン256体、レッドドラゴン163体、ブルードラゴン…」


「…解った、もういい」


この話を聞いて、あり得ないと私は結論付けた。


上位種のドラゴンの名前が出てきたが…はっきり言って、私ですら、それだけの数を倒すこと等不可能に近い…


それに加え、それだけの数を魔法で仕舞っておくことなど出来ない。


私の親友もある大魔法使いのマイルでさえ、ドラゴンを100匹仕舞うだけで精一杯のはずだ。


それをそれだけの数を仕舞うなど不可能だ…


「…本当にドラゴンを狩ったのか?」


私は疑いの目を向けながらそう聞いた。


「ああ…」


そう答えるしかないだろう…そちらはもう、後には引けないのだからな…


だが、追及の手は緩めないぞ。


「すまないが、それも見せてもらってもいいか?」


「フウ…」


「外で出せばいい?」


「ああ…」


さあ、どう対応するのか楽しみだ。


――-----------------------------------


ギルドの前には、沢山の野次馬が集まっていた。


そりゃあ、そうだ。


娯楽の無いこの街で、英雄クラスの俺に、ドラゴンの素材を出すと言い切ったのだ。


その立ち周りを見た。ギルドの連中達が見物人をさらに増やしたのだろ…


これで、何も出せなかったら、ブーイング…いや、冒険者としての信頼は地に落ちるだろう‥‥


まあ、絶対に、ドラゴンを出すこと等、出来やしないんだろうがな…


目の前の子供はどうするのやら…まあ、私の知った事では無いがな…


「さあ、出してくれ!」


私は民衆の前でそう言う。


絶対に、ドラゴンなんて出てこない…そう思っての発言であった…


…それが、間違いである事をこの後…俺は知る事になる…


…小さな子供である二人が何かを喋ってたかと思うと…


…一瞬で…目の前に、大きなドラゴンの頭が出て来た!


魔法の発動予兆すら無く…本当に一瞬で!!?


(何だこれは…?!魔法の発動すら見えなかったぞ!…気づいたら…ドラゴンの頭が目の前に…)


私は、先程まで、ドラゴンを狩ったという言葉を嘘だと思ってはいた…


だが、ベアーキラーの頭をギルドにもってきたのは事実…


どれだけの実力があるかはわからない以上…俺は念の為、いつ何が起きてもいい様に、周囲を警戒はしていた…


相手の身元がわからない以上、警戒対象ではある。


その為、この見た目が子供の二人が、例え何をしたとしてもすぐに対応できるように、周囲を警戒していた。


もし万が一、何かの魔法を使われても、すぐに対処できるようにそれなりに気を張って二人を見ていたのだ…


だが、目の前の幼い女の子は、そんな俺に…魔法の発動すら感じさせずに、一瞬でドラゴンの頭を目の前に出してきた…


そんな事は…あいつにだって…大魔法使いである…マイルにだって出きやしない…


それに目の前にあるドラゴンの頭は…


(まさか…このドラゴンの頭は?!ブラックドラゴン?!!)


「ブラックドラゴンだと?!」


このブラックドラゴン…このドラゴンは俺が命かけで行っている魔の森の修行の締めに狩るドラゴンだ…


(そのドラゴンの頭をあっさり出しやがったぞ…こいつら…)


ドラゴンにはさまざまな種類がある…だが、どのドラゴンも、ドラゴンには魔法が効きづらい…


俺の唯一の親友である大魔法使いのマイルなら、そのドラゴンの皮膚すら貫通させるだけの魔法を使える…


だが、この子供は…その大魔法使いと呼ばれている親友すら魔法の扱いを長けている可能性すらある…


先程の魔法の発動すら見せずに空間魔法を使った…


マルイもこの空間魔法で物質をしまう事は出来るのだが、どうしても、魔法を発動させる予兆は消すことはできない。


いや、ある程度なら消せるだろうが、俺くらいになると…魔法が発動されるタイミングすら予兆出来る…それは、大きな魔法程、予測は容易になる。


例え、大魔法使いと言われている、マイルであっても、空間魔法を使えば、その予兆は出来る。


だが、この本当に小さな女の子はそのマイルすら消すことが出来ない、空間魔法の魔力放出を完全に消し…ドラゴンを出してきた…


これだけの技術…それに、これだけの大きな魔物をしまえるだけの魔力量…


(…大魔法使いマイル以上…あり得るぞ…)


しかも、これだけ幼い幼子が使えるのだ、それよりも大きい男の子もこれだけの魔法を使える可能性が高い…


(…2人共マイル以上の魔法を使える可能性があるというのか…信じられんが…)


マイルの使う魔法は、誰よりも、種類が豊富で、威力も馬鹿にならない…はっきり言って、マイル以上の魔法使いは居ないと俺は思っている…


それ以上に魔法を扱える可能性がある、幼女…だが、問題はそれだけではない…


「…本当に出すとは…しかも、よりにもよって、ブラックドラゴンの恐らく、成体を…」


(そう、更なる問題は出したのがブラックドラゴンという点だ…)


そう…このブラックドラゴンは魔法だけでは絶対倒せない…


その理由はブラックドラゴンの特徴はその凶暴性、そして、どのドラゴンよりも早い運動能力を有しているためだ。


余りにも早い為、普通の魔法使いなら…またもに魔法を当てる事すら困難…だから、マイルでさえ、ブラックドラゴンと戦う場合、絶対にパーティを組むだろう。


俺が修行で一人で倒している、ブラックドラゴンは、成体ではなく、幼体だ。


だが、このブラックドラゴンどう見ても大人だ…


幼体のブラックドラゴン…それだけでも、今の俺にとってはいっぱいいっぱいな相手だ…


はっきり言って、英雄クラスが何人もいなければ、ブラックドラゴンの成体を一体倒す事すら不可能だろう…


(それを…こいつは…いや、こいつらは…倒したというのか?)


目の前に居る幼女一人で倒したというのは、嘘であるだろう…というより、嘘であってほしい。


ならば、目の前の子供のように見える、男もそれなりの実力を持っているはず…


…それでも、二人で倒しただけでも、すごい成果なのだが…


「最早、俺だけでは、対処できないな…」


これだけの実力がある者を俺だけでは扱え切れない…そう思い、俺は…


「ムウとフウと言ったか?」


「はい…」


「すまないが、俺と一緒にギルド長の所に来てくれないか?」


はっきり言って、目の前の子供たちの実力は未知数…いや、俺の予想が当たっていれば、俺の想像以上の実力を持っている…


俺一人の判断では解らないと思い、俺はギルド長でもあり、師でもあるギャンのところに連れて行くことに決めた。


「…頼む…」


俺は、英雄クラスの地位も外聞も捨てて頼んだ…最早、一刻の猶予もない。


「…解りました…」


その言葉に安堵して、私は、ギルド長のところに向かうことにした。

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