~バレンディル王国前にて~
お久しぶりです。かたかなきんぐです。実は、私スマホを無くしてしまいまして、今まで書き溜めてた小説全部消えました(泣)
というわけで、1から続きを書いています!
今回は少し短めですが…
どうぞ!
「こ、これがバレンディル王国! 」
僕は、驚きで声を上げていた。
なんと立派な城門。なんと立派な城壁。装飾からも神々しい印象を受けた。恐らく僕のいた世界にはこんな立派なものは存在していないだろう。
「……立派なのは、外見だけです」
ユウカはポツリとそんなことを呟いた。
そんなユウカの顔は、悲しみに溢れていた。
(そこまで、酷いのかな……。この世界は。まずは、現状を見ないと)
「そこの2人。止まれ。」
1人の門番らしき者が僕らの前に立ちはだかった。
「貴様、旅のものか? 行商のものか? それとも……」
ギロっと門番の目が光る。ユウカに少し目をやると、
「いや、聞くまい。ギルドカードか入国証はあるか? 」
その問いに僕は頭を振った。
「うむ、何か事情があるんだろう。入国を許可しようと思う。だが、一応こちらも仕事だからな。犯罪を犯してないかだけ、確認させてもらう」
すると、門番は一つの石を出して手渡してきた。見ると、石だ。それ以外の感想が出てこない。
「これなんですか? 」
僕は、不思議な顔をして聞く。
「ああ、これは犯罪、罪を犯した人間が持つとそれだけ重くなるんだ」
僕は、これを持って、疑問が浮かんだ。
「これ、力があれば、罪が重くても持てちゃうんじゃないですか? 」
「ああ、そうだな。 でも、そんなやつが来たら、俺たちはどうも出来んだろ? 勝てねぇよ。そんなやつ」
僕は、なるほどと頷き、石を門番に返した。
すると、ユウカには石を渡さず、
「じゃあ、門開けるからさっさと通れよ? 」
「待ってください。ユウカはやんなくていいの? 」
門番は、頭をポリポリ掻きながら、
「いいんだよ」
とだけ行って、もんを開けるために建物の中に入ってしまった。
「あの人、優しい人です。私をみても暴行を加える気はなかったですし……」
「え? 暴行ってそんな当たり前のよう……に、ってまさか……」
ユウカは僕の言葉にこくんと頷くと、
「はい、今マナト様がお考えになった通りです。私たち子どもは、門を出入りする際に、暴行を受けるのが、当たり前です」
僕は、分かっていたが、分かっていたのだが。この国の現状、この世界の現状の端っこを見て、絶望した。
────ガガガガガガガガガガガガッ……
門が開いていく。
その音が、僕をまた不安にする。この先に、どんな地獄が待っているのだろうか。ユウカたちの味わってきた苦痛の世界が待っているのだろうか。
そんなことを考えている内に、
「早く、入ってくれ! 」
と、門番の怒号が飛ぶ。
ユウカは、僕が落ち込んだのが分かったのか、
「行きましょう! マナト様! 」
笑顔でそう言って、僕の手を握った。僕は、少し間をおいて、
「うん。そうだね」
と握り返して、門の中に進むのだった。