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○○ヒロイン奮闘中!(でも意味なし)

作者: さくらぶし

なんとなく書いてみただけです。

どこにでもあるようなお話。

 あ、こんにちは。ヒロインです。この【乙女ゲーム】の世界で【ヒロイン】やってます。一応。


 私、華美萌香(はなみもか)はこの世界の元ネタである乙女ゲームのことを知ってる。物心がついた時から前世っぽい記憶はあったんだけど、まさかここが"あの"ゲームの中だとは思わなかったのだ。


 "あの"乙女ゲームは、私がやっていた訳じゃなくて、前世で妹がプレイしてた。熱狂的な乙女ゲームファンである妹は私を捕まえては『この乙ゲーはこれが魅力で、こっちはここがすごくってね……』など解説しまくっていたため、私も多少なりとは覚えてるっていう訳だ。ちなみに世間でこの乙女ゲームの評価は『いまいち』。

 スチルもすごい綺麗だし、声優さんも有名どころを使っていたためそこそこ売れてはいたみたいだけど、如何せんヒロインが不評だった。

 何に対しても肯定する優しいヒロイン。でもそれって色んな人にやってたらただの八方美人じゃん?ってな感じ。妹は、


『そんなに悪い子じゃないと思うけどなぁ。』


 って言ってたけど。


『これ現実にいたらただのビッチじゃね?』

『ちがうよー!心優しいの!攻略者たちを苦しみから解き放ちたいだけなのー!』

『苦しみねぇ。高校生なんて勉強だけしてりゃーいいのよ。色恋すんな!』

『お姉ちゃんヒドーイ!自分が女子校で青春してなかったからって!』

『チッ。どいつもこいつも頭はお花畑か!こんなもん、こーしてやるーー!』

『あーー!勝手に消さないでよ!お姉ちゃんのバカ!』

『ハーハッハッハッハーー!』


 あれ?違う違う。こんな姉妹喧嘩をお見せしたかった訳じゃないよ。えーと、何が言いたいかって言うと、


 そのビッチヒロインに転生しちゃったよね☆


 ってことです!

 うーわー、ないわー。超絶ないわー。ってか薄々感付いてはいたんだよ?あれ?このキラキラネーム、どっかで聞いたことあるような……って。でもまさか本当にあの乙女ゲームの世界だとは思わなかったんだ。なぜなら、


 超モブ顔だから。


 うん。美少女がテッパンの乙ゲーにあるまじきモブ顔。どこに出しても印象に残らないモブ顔。紛うことなきモブ顔。ここまで言ったらわかってくれる?モブ顔。

 もう一つのテッパンである、磨けば綺麗になるタイプでもない。なんていったって、モブ顔。何してもモブはモブにしかなれないのだ!

 だからいまいち信じきれてなかったんだよね。ここが乙女ゲームの世界だなんて。まぁ、あのゲームヒロインの顔は描かれてなかったし、ヒロインに人気がなかったせいでコミカライズとかもされなかったから、分かりづらいと言えばそうだと思う。でもまさかこんなモブ顔とは……神様酷いんじゃね?


 そんなモブ顔ヒロイン(笑)の私がなぜ今頃気づいたかって言うと、この学校ですよねー。あー見たことあるわー無駄にきらびやかなこの校舎。ってか今まさにオープニングだよねー。多分私の背後にはプロローグが流れているんだろーねー。っとまぁこんな感じで流石に気付いてしまった。

 ちなみに私はこれまたテッパンの2年生からの転校生です。これにも色々事情がありまして。聞くも涙、語るも涙なんですよ。話せば長くなりますが、簡単に纏めると浮気した父親と別れて再婚した新しいパパンがちょーお金持ちで、初めて出来た娘が心配だからって理由でセキュリティ抜群の金持ち学校に入れさせられた訳です。この学校は知人が経営してるからって、試験も有ってないようなもの。つまりはコネコネ。ゲームの中だとこの辺りも実はヒロインがパパンに愛されてないんじゃないかって悩んでるらしいけど、ないね。パパンは本当に私を大切にしてくれてる。美人なお母さんに似ずに、平凡顔の父親に似てしまった私のことを。微笑ましげに見てくるから若干恥ずかしいけど、なんでこの愛情をヒロインは疑えるのか私にはわからん。

 今も初日は不安だろうからってわざわざ午後出勤にして私に付き添って学校に来てくれた。挨拶やらなんやらは済んでるからいいよって言ったのに。パパン、ありがとう。私この学校で立派なモブやるよ!

 っつーわけで、華美萌香!(この名字もパパンの。最初は名字も違ってたから、これまた信じられなかった)モブ顔ヒロインやりますっ!


 ……って意気込んでみたけど、華美萌香。ヒロイン辞めてモブになります。え?早いって?だってだって、意味深な視線を投げかけてくる人たちがいるんだもん!しかもモブ顔はどうやっても太刀打ち出来ないようなカワイコちゃんが!

 これはあれですね。転生者は私だけじゃないパターンですね。ざっと見た感じ、転生者は3人。多分、傍観者を決め込んでスチルを狙う子と、サポート役の子、あとはライバル役ってところかな?後の2人はゲームの中で見たことあるし。しかもあれでしょ?ヒロインと攻略対象者を観察するフリをしてからの、『わたしこんなつもりじゃなかったのに……!』な逆ハーのパターンでしょ?ライバル役さんは、その立ち位置を変えようとしての逆ハーでしょ?…………いい!いいよそれ!私そっちの方が実は好きなんだ!巻き込まれたくないのに、ついつい自分から首を突っ込んでしまう……。楽しいよね!

 いいでしょう。私がその願い、叶えてあげますよ!ヒロインという立場を使ってね!

 いやーむしろ良かったー。キラキライケメンに囲まれたモブ顔とか、見たくないでしょ?私も嫌だ。やっぱ顔面偏差値が高い人には、それ相応の人じゃないとね!これで安心してヒロインの座を譲り渡せるってもんよ。さぁ、存分におやりなさいなっ!私は(影から)応援してますよっ!









 って思ってた日もありました……。えっと、なんでこんなことになってんの?


 目の前には私の目を潰す気か!って言いたくなるほどの美形集団。皆さんこちらにスプーンやらフォークやらを向けてます。なぜなら、お昼休みという名の餌付けタイムだからです。あと後ろにも1人。私の椅子代わりになってる美形が。この椅子制度、じゃんけんで決まります。落ちないように腕も回されてるんだけど……ちょ、このシートベルト不埒なんですけど!まさぐんなっ!


「ほら、いつまでよそ見をしている。口を開けろ。それとも、口移しして欲しいのか?」


 そういって肉汁溢れるおいしそうなお肉を差し出してくるのは、【俺様肉食系・ステーキ担当 花前内人(はなまえうちと)


「内人、萌香が困ってますよ。さぁ萌香。肉ばっかりじゃなくて野菜も食べないと駄目ですよ?」


 ほくほくなじゃがいもを差し出してくるのは、【世話焼きオカン系・肉じゃが担当 鳥宮燈(とりみやあかり)


「モカは和食じゃなくて洋食派だよなぁ~。はい、あーん」


 器用にパスタを絡めたフォークを差し出してくるのは、【ちょい病み王子系・パスタ担当 風崎セモリナ】


「モカちゃん良い匂い~。ランチより先にデザートを食べたくなっちゃうなぁ。先に味見してもいーい?」


 不穏な発言をしながら頬を擦り付けたり不埒な手を動かしている今日の椅子係りは、【エロなお色気系・オムライス担当 月野蘭(つきのらん)


 ……ん?あ!説明し忘れてたけど、このゲームの攻略対象者は『料理部』の面々です。え?ワンモア?だから、『料理部』の人たちです!ド定番の『生徒会』じゃないですよ!まぁ生徒会より偉そうだけどね。

 料理部はその名の通り、料理を趣味とする人たちの部活。でも入部出来るのは『彼ら』に認められた人たちだけで、それ以外は門前払い。そんなことを出来る権力も彼らは持っている。

 なんで料理部なのかは謎だけど、なんていったってこのゲームの名前が【おいしく愛して~デザートは君~】だもん。料理しないとね。

 好感度は攻略対象者が作ってくれる料理で見ることが出来る。好感度が低いときはサラダのレタス1枚とか。作ってすらいないっていうね。マックスになるとその彼の得意料理、担当料理が振る舞われる。

 つまり、目の前でお肉やじゃがいもなどを差し出してくる彼らは好感度マックスということになりますな。……解せぬ。


 なんっっっっでこうなった!?私なんもしてないよ!?本当に!あれだよ?『私逆ハーなんて望んでない!』と言いつつの彼らを落とすテクニックを披露するワザなんてもってないからね!?それは傍観者とサポート役とライバル役の人に(勝手に)譲り渡したんだからね!?

 確かに、確かにちょーっとだけ関わりは持ってしまった。そこはほら、ヒロイン補正なるものが働いたらしい。行く先々で攻略対象者に出会ってしまった。それでもイベントらしいことは起こしてないし、なんなら私の後をついてきた傍観者たちにさりげなーく押し付けてきたりもしたんだよ?悩み相談とかもあんまりちゃんと聞かずにお菓子もりもり食べてたし。(暇だったからやることなくてつい……)

 なのに知らないうちにこんなことになってるし。なんで!?ここはゲームじゃなくて現実なんだから、優しい言葉をかけてくるカワイコちゃんといちゃいちゃしてなよ!こんなモブ顔に構ってないで!


「おい蘭。あんまり萌香に触れるな。萌香がぷるぷる震えて可愛すぎて困る。」


 何言ってんの!?バカなの?バカなんでしょ!モブ顔に可愛いとか!鼻で笑えるんですけど!


「そうですよ。それに萌香にこういうことはまだ早いです。俺が手取り足取り教えてあげますからね?」


 いらねーよっ!オカンなんだからその視線ヤメテ!なんか怖い!


「ちょっと燈ってば何言ってんのぉ?モカが怯えてるじゃん!大丈夫だよモカ。俺がちゃんと守ってあげる。だからうちにおいで?」


 ずぇーーったい無理!なにその監禁フラグ!そこの恍惚とした顔になってるサポート役の子にでも立てときなっ!


「みんな勝手なことばっかり言って~。モカちゃんのハジメテはぜーんぶおれのだよ?ファーストキスも、セカンドキスもディープキスも、処女もねっ!あ~なんか我慢出来なくなっちゃった。今から保健室行かない?」


 行かねーよっ!お・ま・え・は!直接的すぎんのっ!高校生よ!恥じらいを持てぃ!あ、あと際どいとこ触んないでもらえます?そこ、弱いんで……。ちょ、だから!


「ひぁっ!」


 ほら!だから弱いって…………あの、皆さん?眼が、眼が怖いんですが、


「もう我慢出来ない。蘭、萌香をこっちに寄越せ!」

「萌香、こちらに来なさい。そこにいると妊娠させられますよ。」

「モカおいで?俺がちゃぁんと蘭の匂い消してあげるから。……蘭ごと。」

「ふふ~ダメ~~!モカちゃんのイイトコおれが見つけたんだもーん。さ、続きは向こうでしようね。」


 な、やめ……!あ、これダメ!パンツ見える!お姫様抱っこやめぃ!


「ニゲロ~~!!」


 え?……いーーやーーー!助けてーー!なんか連れ去られてるぅーー!貞操のピンチだよっ!そこの女子3人!睨んでないで助けて!この役はあなたたちにあげたはずでしょぉーー!?モブ顔がヒロインなんてやるべきじゃないのよぉー!何得?誰得?私損だからーー!えーーーん!!







・・・蘭side・・・


 ふふっ、モカちゃんってば可愛い~!真っ赤な顔で涙ぐむとか、反則だよ?本当は、"ヒロイン"に"攻略"されんのすげー嫌だったんだけど、モカちゃんならいっかなぁ~。むしろ攻略したいぐらいっ!


 そう。おれは、いやおれ"たち"は知っている。ここが【おいしく愛して~デザートは君~】っていうクソさむいゲームの世界を基にしているということを。そして自分たちが【攻略対象者】だということも。

 そんなさむいゲームをやった覚えもなければやりたいとも思わないし、前世の記憶やらとかもないけど、そうなんだってことを頭のどこかで"理解"しているのだ。なぜかは知らないし、イベントがどうやって起きるのかもわからないけど。

 だからってゲーム通りになるのなんて絶対嫌だから、ヒロインである華美萌香の動向を逐一探っていた。個別ルートか、逆ハールートか、はたまた全く関係ないふりを装うのか。彼女がこの世界(ゲーム)を知ってる転生者であることも"理解"していたから。

 予想は見事大ハズレ。まさか自分の役を他の人に押し付けようとするなんて。しかも前々から馴れ馴れしくて厭な感じを持っていたあの3人に。まぁおかげであいつらも"記憶持ち"の転生者なんだってわかったけどね。


 ヒロインに攻略されるのもあの3人に攻略されるのも御免だったけど、ヒロイン補正なのかゲームの強制力なのか、どちらにせよヒロインには関わらずを得なかった。仕方なく無難にやり過ごす気でいたのに、ヒロイン―モカちゃんの興味はあの3人とお菓子ばっかり。時々強引に迫ってみても、ポッ○ー咥えてはてな顔。たまに頬を赤らめるのは、新作のお菓子をちらつかせた時だけという食欲魔人。こっちは攻略対象者っていうぐらいだから、女にモテるし不自由もした覚えはない。正直悔しかった。なんとかしてモカちゃんの気をこちらに向けてみたくなった。


 今思えばそれこそゲームのシナリオ通りなのかもって思ったけど、おれはそれでもよくなった。ってかそれでモカちゃんがおれのものになるなら万々歳だ。だって見てて飽きないし、触り心地抜群だし。おれ、女の子がこんなに気持ちイイものだって初めて知った。モカちゃん限定だけど。


 しかもモカちゃんはこのゲームの熱狂的なファンではなかったみたいだから知らなそうだけど、このゲームには裏ディスクなるものが存在してるらしい。例によってやっぱり中身は知らないけど、それがR-18の濃厚でディープな感じだってことは"理解"している。だからモカちゃんがちゃんとした【ハッピーエンド】を迎えた場合、タイトル通り【デザート】として戴かれちゃうわけだ。まぁ付き合ったなら遅かれ早かれ奪っちゃうけどねっ!


 ってな訳でおれはモカちゃんを絶賛攻略中なんだけど、厄介なのは他の奴らもモカちゃんを狙ってるってこと。モカちゃんの魅力はおれだけが知っていればいいのにね?

 今も『これはあれ?ヒロイン補正なの?どうしよう、なんとかして目を覚まさせてあげないと……私がヤバイ!』ってぶつぶつ一人言を言うモカちゃん。ちょっと不気味だけど、そんなところも好きだと思っちゃうおれも不気味だよね。ふふ、かーわいーなーもぉ!

 きっとどこに出しても印象に残らない平凡顔のモカちゃんは、ずーっと誰の印象にも残らずにおれの腕の中にいればいいと思う。うん。そうしよう!善は急げって言うし、モカちゃんが一人の世界に入ってるうちにこっそり持って帰っちゃえば問題ないね!他の奴らが煩いだろうけど、大丈夫。もうモカちゃんを見せる気はないから。多分ゲームのシナリオとは全く違うエンディングになっちゃったけど、おれとモカちゃんが幸せだから関係ないよね。


 モカちゃんモカちゃん。【おいしく食べてあげるね?】


蘭推し。なぜって?オムライスが好きだからっ!!

本当は隠しキャラで栗きんとん担当の後輩ツンデレを入れたかったんですが、(お正月でしか見かけないからレアキャラ扱い)長くなりそうなので断念。入れなくても問題なかった。


オムライス……真っ赤に照れる君を僕が包んであげる。がコンセプト。スキンシップ過多のキャラなのでエロキャラ。

パスタ……絡め捕って放さない。がコンセプト。ソースの話です。だから病み系。


わかりにくい……。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ①エビチリ担当がいない ②栗きんとん作りたくなった [一言] エビチリは昨日作った。
[気になる点] 私の大好物の栗きんとんの出番が無かった!? (栗きんとんの栗だけ食べる酷い人間です) [一言] レタス一枚にうけました。 でも野菜が肉じゃがに入ってる野菜のみって栄養バランス悪いです…
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