3話
今回は優也がメイン!
今後も紫穂(黒騎士)・優也の視点をコロコロ変えていく予定です。
優也視点
今日こそ言うんだ…
ずっと思ってきた気持ちを!
紫穂を呼び出した俺は、小さい頃よく皆で一緒に遊んだ公園で待っていた。
いつも相談にのってくれる香奈や雅人と一緒に。
「ゆっくん、頑張ってね。」
「もう逃げるのはなしだぞ?」
「サンキャー香奈、さすがにもう逃げないよ雅人。4年も経つからな。」
「去年もそんな事言ってたが?」
「うっ…」
そうなのだ…
俺は中学2年の頃からずっと紫穂が好きなのに
ずっと告白すら出来なかった。
きっかけは今も覚えてる
中学2年になってすぐ俺と香奈・雅人のファンとか言う変な奴らに何処かの倉庫に連れていかれた。
俺達のすぐ傍に居たから口封じだとか言われて紫穂も一緒に。
けどその後の紫穂は凄かった。
いつ覚えたのか、縄脱けをして俺達を助けてくれたり
携帯を使って刑事をやっている叔父さんに連絡入れて自分達が誘拐?されたのを知らせたり。
駆け付けた叔父さんにこれまたいつ覚えたのか、モールス信号で居場所を教えたり。
(優也達のファンからの嫌がらせに対抗する為小学生の頃から鍛えてるのを全く知らない。)
それからずっと紫穂は俺達の事助けてくれた。
(無自覚に紫穂を厄介事に巻き込んでいただけ。)
けど同時に俺が紫穂を助けたいと思う様になった。
「来たよゆっくん。」
「!」
香奈の声で公園の入口に目をやると一直線にこっちまで来る紫穂の姿が…。
「待ってたよ紫穂…」
「一体何の様優也?香奈と雅人も」
「私達の事は気にしないでしーちゃん。」
「そうそう、紫穂に用があるのは俺達じゃなく優也だからな。」
そう今日こそ言わなきゃいけない大事な事がある。
香奈と雅人に目を向けていた紫穂が再び俺を見る。
「それで一体何?優也」
「あっあのさ紫穂…俺…俺ずっと紫穂の事…。」
好きなんだ…
そう言おうとした瞬間
ドンッ
「「「「!!?」」」」
地面が揺れたと思った途端俺の足元を中心に黒い穴が表れた。
それは俺だけじゃなく香奈・雅人、そして紫穂を飲み込んで行く。
「きゃっ!」
「うわっ!」
「!」
「っ!…紫穂!!」
黒い穴に飲み込まれる紫穂に必死に手を伸ばすが…
俺の意識は呑まれてしまった。
ーーーーーーー
次に俺が目を覚ました場所は何だか凄い豪華な部屋だった。
「ここは…。」
「っん…優也?」
「んぅ?ゆっくん?」
「雅人、香奈、大丈夫か?」
「ええ…。」
「うん大丈夫。」
「お目覚めですか勇者様。」
「誰だ?」
突如聞こえて来た聞き慣れぬ声、
振り向いた先には…
ピンクの髪と翡翠の眼にお姫様の様なドレスを着た女性と白いローブを着た集団だった。
「はじめまして勇者様ってあら?勇者様は一人の筈じゃ…?」
「勇者って何の事だよ!」
「ここは何処で貴方方は何者ですか!?」
俺と雅人はものすごい警戒した。
4年前みたいな変な集団かもしれないからだ。
香奈は俺達の後ろに隠れてる…
紫穂は…
「!紫穂っ、紫穂!何処だ?」
さっき迄傍に居たはずなのに!
部屋の何処にも居ない…
「お前ら紫穂をどこへやった!?」
俺はピンク髪の奴に掴み掛かろうと近づくが
「落ち着いて下さい!まずは説明させて下さいませ」
「説明って何の?!」
「ここが貴方方が居た世界でなく異世界であるという事を!」
「「「!!?」」」
緊張した顔でピンク髪の奴は名乗る。
「私はルイス=アルデニアこの世界[アクティア]にある人間の王国、アルデニア王国第一王女です。」
ーーーーー
ルイスの説明によると。
ここが異世界[アクティア]という事
魔族と呼ばれる存在とこの世界の人達が戦争している事
3年前から黒騎士と呼ばれる存在(ルイス達は魔王の分身と考えている)が表れ人間側が劣勢の事
魔王達に対抗する為光の神に祈り勇者(俺達)を召喚した事
召喚されたのは俺達だけで紫穂は誰も見てない事を聞く。
「悪い…怒鳴ってしまって」
「いえ混乱させるのも無理ありません。ましてお仲間の姿を確認出来ないのですから」
頭に血が昇ってたからって女の人に怒鳴るなんて恥ずかしい…。
「よろしければお仲間の特徴をお教え下さいませんか?もしも皆様の様にこの世界に召喚されているなら、早急に保護致しますわ。」
「そうか、ありがとうなルイス!」ニコッ
「っ!///いえ、当然の事ですので…。」
嬉しくてルイスの方を見ると何だか顔が赤くなったルイス。
何でだ?
「あの~ところで私達の中の誰が勇者何ですか?」
「それはこれから調べますわ。皆様にはこの水晶に触れて貰います。そして魔力の大きさや属性を測るのです。」
香奈の問いに元に戻ったルイスが答えた。
その手には召使いから渡された水晶が…。
「では早速測りましょう、まずは雅人様から。」
「解りました。」
ルイスに促された雅人が水晶に触れた。
すると水晶が
赤・青・緑・茶・黄色に
光った。
「雅人様の魔力は一般の魔導師以上の様ですわ。また属性は火・水・風・土・空間の様です。ですが勇者は闇や回復以外全ての属性を操れるので…」
「俺は勇者では無いようですね。」
「じゃあ次は私~。」
次の香奈が水晶に触れてみると
今度は水色・黄色に光った。
「香奈様も魔力は雅人様と同じですね。属性は回復と空間魔法の属性の様ですわ。」
「じゃあ私も違うか~。」
「という事は…。」
雅人達が俺を見てる、
俺が勇者なのか?
とりあえず水晶に触れてみると
水晶が赤・青・緑・茶・白・黄色に光った。
それと同時に水晶が割れてしまった。
「!割れた…」
「ゆっくん、凄ーい!」
「決まりの様ですね。」
「はい、勇者優也様。雅人様、香奈様、我々に力をお貸し下さい。」
戸惑う俺にルイスは頭を下げた。
ーーーーー
「では、その紫穂様という女性の方の特徴をお教え下さいませ。」
俺達が魔力を測り終わった後、
ルイスは紫穂の居場所を調べる為尋ねてきた。
もしかしたら紫穂がこの世界に召喚されているかもしれないからだ。
「まず紫穂の名前は井野原紫穂といいます。特徴としてまず、香奈と同じ服を着ており。」
ルイスの質問に雅人が答えてくれた、
俺は質問が苦手だから。
「髪は短く、黒髪に黒い眼をしてます。」
「黒い髪に眼!!」
「どうしたんだルイス?」
紫穂の髪と眼の事を聞いてルイスは突然驚いた。
「この世界[アクティア]では黒髪黒眼は魔族の証。もしその紫穂様が人間の街に召喚されていたら…。」
「しょっ召喚されていたらどうなるの?」
「敵である魔族を人間側は容姿なく攻撃しているでしょう…。」
「!!」
紫穂が人間に攻撃される…?
ルイスの言葉を聞いて、
俺は頭が真っ白になった。