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私はお前らが大嫌い   作者: ヒスイ
17/29

9話

久し振りの本編だが、主人公は不在。


「…雅人に出番捕られた。……解せぬ。」

「すまん紫穂…。だから剣を収めてくれ。」



それでも良い方はどうぞー

雅人視点



この世界のどこかに居るかもしれない紫穂との再会を望んでいた。

それなのに…。



紫穂が魔族…、それも魔王の分身と恐れられている黒騎士だったなんて…。




それが衝撃的だったのだろう、優也と香奈は随分落ち込んでしまった。


だが、俺は信じられそうに無い。…俺達がこの世界に来たのはつい最近だ。

対して紫穂が黒騎士なのはどう考えても可笑しい。



黒騎士が現れたと思われるのは3年前だ、

国中の魔術師達が突如恐ろしい程強力な魔力を感知したのが始まり。



黒騎士が本当に紫穂なのか疑問に感じた俺は黒騎士に関する情報を集める為

今、書庫に居る。


魔族に関する膨大な量の資料が見つかったので、

ほんとのところ優也と香奈にも手伝って貰いたかったが止めておこう…。


パラパラと資料を見ながら黒騎士の大まかな経歴?を纏めてみた。




・----年(約3年前)

国中の魔術師が感知する程の強力な魔力が魔族領の方角より出現

魔王の分身ではないかという推測が為された。


・----年(約2年半前)

首都にある貴族、アルロベ侯爵家を黒騎士と思われる魔族が襲撃。

屋敷のメイドが約1名、命からがら逃げ無事保護された際、供述。


供述によると件の始まりは侯爵家の娘、マルゲリーナの部屋からの悲鳴。

駆け付けた執事並び警備の者が斬殺。

屋敷の人間は生き残ったメイド以外の者全てが殺されていた。

※のちに王宮魔術師が魔族の魔力痕を調べ、以前感知した魔王の分身と発覚


・----年(約2年半前)

アルロベ侯爵家の事件から数週間後、

戦場に全身を黒い鎧で覆い黒い馬の様な魔獣に跨った黒騎士が確認された。

※その魔力こそ、以前から感知されていた魔王の分身と判明した。

戦場にて大勢の兵士を倒して行き、

兵士達から魔王の分身は〔黒騎士〕と呼ばれる様に。



「やはり、黒騎士は3年前から居る…だが何故紫穂があんな格好を?

それに紫穂の髪は肩くらいまでしかなかった筈…あんなに長くなるにはかなりの時間が居るはずだ。」



それこそ3年の月日が必要なのに…。



そう考えて、一番思いつきたくなかった過程を思いついてしまった。


「っ!まさか…紫穂だけこの世界に来た時間が早いのか?」



もしも紫穂が本当に黒騎士なら、3年前から居た事になる…。

つまり紫穂だけ3年前から居るという事になる。



「もしそうなら紫穂があんなに変わってしまったのも頷ける。

2年半も前から戦争に参加しているんだ…、今の紫穂にとって人間は敵…。」


脳裏に浮かぶのは湖の畔で2人の人間の兵士を斬り殺す紫穂の姿…。



「いや、なら何故紫穂だけなんだ!?この過程も可能性の1つだが違うかも知れない。

例えば本当の黒騎士が死に紫穂がその代わりになったとか…。魔王に操られているとか。」


信じたくなかった。

真実は違うんだ。


そう思い、その考えを頭の隅に追いやる。



魔族に関する資料を読み漁る中、

俺は一冊の資料を見つけた。



「『魔族の種族名並び特徴』か。?日付が一年程前だ。新しく作られたのか?」



『魔族の種族名並び特徴』

その資料には魔族の様々な種族名、並びその種族の特徴がかかれていた。


・獣人

様々な獣(例:熊・猫等)の耳や尻尾に身体能力を持つ人型、性別も雄雌両方が確認。


・魔女

髪または瞳が赤か金の女人、基本的に黒い服を着ており必ず箒も持つ。


・吸血鬼

見た目は人間と全く変わらない、白い肌に鋭い牙を持っている。


・龍族

龍の鱗と爪と牙を持ち火を噴くことも可能、また鋭い鱗は剣の刃では敵わない。


・鬼

巨大な身体を持ち頭には角がある、強い者程頭にある角の数並び大きさが変わる



「魔族にもやはり様々な種族がいる様だな、だが肝心の魔王や黒騎士の情報が…。」



種族名や特徴に関しては代々が分かったが肝心の情報がない…。

だが次のページをめくった時、新たな項目を見つけた。



・黒い髪と眼の魔族

※この魔族に関する情報はまだ未知なる点が多いが判明した点のみ記載する



古来より黒い髪と眼は魔族の証と言われ、黒い髪と眼は魔王の証とも言われている。

近年、新たに発見した黒い髪と眼を持つ魔族はどの魔族よりも魔力が高く、扱える魔法も複数存在する。


※次ページには黒い髪と眼の魔族の資料絵を記載



嫌な予感がする…。

その項目を読みおわった俺は恐る恐るページをめくる…。

めくれば真実と向き合わなければならないのに…。





写真が無いこの世界では写真の代わりに絵を掲載している。

開いたページには



横顔だが、確かに黒い髪と眼をした人物が描かれて居る。


その人物は今よりも髪の短い、以前再会した時と同じ黒い鎧を纏った、




…紫穂だった…。




《なお、この絵は一年程前戦場にて確認された。魔族にはこの絵の魔族の様に、

我々が知らない未知の魔族が存在するのかもしれない。…引き続き調査は行われる。》

「まさか…本当に紫穂だけが…。」



一番当たって欲しくない過程が当たってしまった。

そう思うだけで頭が痛くなる。



「こんなの…どうやって、2人に伝えればいいんだ…。」



真実を知れば2人は更に落ち込んでしまう…。

だが知らないままな訳にもいかない…。



「一体どうすればいいんだ…紫穂…。」


俺は頭を抱えるしかなかった。





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