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私はお前らが大嫌い   作者: ヒスイ
15/29

過去編 5話


ドォン

ドォン



大きな音…

一体何の音?



目を覚ませば、もう夕暮れ。

大分寝てたのだと解る。

私の隣で寝ていたミントも大きな音で目を覚ます。




街で花火が上がったのか…大きな音が、街の者達の声も聞こえる。


「ここからは花火が見えないのかな?」

「でもおかしいよお姉ちゃん?花火があがるのもっと後だよ?」

「えっ?」




ドォン!

バンバン!



なら…


ワァァァァ



さっきから聞こえるこの音は何?



キャアァァァ


どうして悲鳴に聞こえるの?




街の離れであるこの丘からじゃ何も解らない…。



「ミント…様子見てくるからここで待ってて…。」

「やだ、ミントも行く!」

「ダメ!ここで隠れてて!…お願い…。」

「…判った。絶対戻って来てねお姉ちゃん。」

「うん。」



ダッ!

ミントと別れ街に向かう。


ただの杞憂である事を願って。

だが…




「何なの…コレ…」



街の至るところが燃え、壊されていた。

また道には街の住人達であろう魔族が倒れている。



「どういう事!?何でこんな事に!」

キャアァァァ!

「っ?!」



悲鳴の方を見れば、ミントと同じ耳と尻尾をした女性が剣を持った仮面の人物に襲われかけている。



「止めろっ!」


ガキンッ!


女性に振り落とされた剣を腰から抜いた剣で受け止める。

すると、仮面の人物は驚いた。




「ぬっ!黒髪黒眼…貴様も魔族か!」

「何なのよアンタ!何でこの人襲うの?同じ魔族でしょ。」

「同じ?…この俺が魔族?…そんな化け物と俺を一緒にするなぁ!」

「っ!」



仮面の人物によって放たれる強烈な連続斬りを私は剣で受け止める。



「こんな剣…龍部族長の剣より…弱い!!」



ガァッン!



仮面の人物の剣を弾き飛ばし、その首元に剣の切っ先を向ける。



「貴方何者?…何故こんな事するの!」

「ぬぅっ…まさかこんな小娘の様な魔族に負けるとは…。」

「答えて!」

「…」



全く答えない仮面の人物、話す気が無いのだろうそいつの鳩尾に一発入れる。

それにより気を失った為リスの女性に縄を持ってきてもらい、縛り付ける。




「先程は助けて頂きありがとうございます。」

「ねぇ、コイツが何者か知ってる?」

「はい…恐らく人間かと。」

「!?人間?何で人間が?ここは結界で守られているって聞いたけど?」

「はい…、実は。」




女性によると突如街を守っていた筈の結界が壊され、街にあの仮面の人物達が侵入してきた。

そして次々魔族に襲い掛かったそうだ。


魔族達は匂いにより相手が人間と解り応戦しようとしたがかなりの手練れで逆に返り討ちにあい、

現在に至る。




「そうか…、ところで貴女にはミントって言う娘は居る?」

「!?ミントをご存知なんですか?教えて下さい、あの子は今どこですか?」



やはりミントの母だった女性にミントの居場所を教え私は新たな悲鳴のする方に向かっていく。



ーーー



悲鳴の場所に駆けつけても、そこには既に事切れた魔族達の亡骸があるだけで仮面の人物達の姿は無い。

一先ずミント達の場所に戻る事にした私は走る。





水晶花の元に着いた私はミントと母親の姿を探す。



辺りを見渡せば、

水晶花の中心に数人の影があった。



「ミン…ト…?」



数人の影、

その足元には…






血だらけで倒れるミントとミントを守るように抱き締めて倒れているミントの母親の姿があった。




「何だ?まだ生きている奴が居るぞ?」

「さっさと殺してしまおう。魔族何て化け物、この世には必要ないのだから。」



数人の影…仮面の人物達がこちらに向かってくる足音が聞こえる。


だが私の眼にはミント達の姿しか写ってない。



〔絶対戻って来てねお姉ちゃん。〕


脳裏に浮かぶのはミントと最後に交わした言葉。





私が…私がミント達から離れていなければ…



ミント達は死なずに済んだのに…



私のせいだ…私のせいで2人は…。




「にしても、さっきのリスの獣人もバカだよな?俺等人間がお前等魔族を生かす分けないのに。」

「あぁ、娘だけは娘だけはぁって懇願して…、傑作だったなぁ。」

「つぅか、ラウルはどうした?さっきから姿が見えないが?」

「その辺で魔族殺して遊んでんだろ?弱い奴なぶり殺すの好きだしさ。」

「お前も人の事言えないだろ?何せ…





あのチビを何度も何度もいたぶって殺したんだし?」




ゲラゲラと下品に笑う仮面の人物達の言葉が聞こえー




「あああああああああああぁぁぁっ!!!」




私の中で何かが弾ける音が聞こえた。








血の海に沈む人間・・の姿を一瞥し私はミント達の元に迎う。



頭上を見上げればいつの間にか夜になっており、

満月の光りで水晶花は青く美しく輝き出す中

ミント達の傍にある水晶花は赤い血を吸い、

紫に輝いていたー。








ヒヒィーン



あの後、街中に縛り付けておいた人間に目的を聞いた。



殺気を垂れ流していたからだろう、

べらべらと簡単に話した。



人間の貴族、

アルロベ侯爵家のお嬢様に魔族を皆殺しにしてでも、水晶花を手に入れて来いと命令されたとー



殺さないでくれと喚く人間を道案内に私は烈火と共に人間領にある

アルロベ侯爵家を目指す。



手には

枯れ始めている紫の水晶花を一輪握って………


次回で過去編は終了!

本編の続きに戻ります。

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