過去編 3話
『そういえば話してなかったな…すまない。』
「別にいいよ、そっちの方が私も安全なんだろうしね。」
『そう言って貰えるなら良いが…今後城に戻ったら部族長達以外の前ではそれらしい振る舞いをして貰わなくてはならないかもしれんぞ?』
「既に街で完璧な振る舞いをしている私に抜かりは有りませんわ、魔王様。」
今街の宿にて念話で話しているのは、魔王城に居る魔王だ。
私を気に掛けてくれたらしくこうして念話で話掛けてくれたのだ。
私が闇の神が新たに産み出した姫君と魔王に発表されていた事を聞いたと話すと
申し訳無さそうに話したのだ。
『流石だな…。そういえば、もう一つ話しておかなければならない事がある。』
「どんな話し?」
『人間側にも、お前の存在が出回っているそうだ。』
「!、どうして?」
私の存在が広まる何ていくら何でも早すぎる。
一体何で?
『お前がこの世界に降り立った瞬間放たれた魔力がとても強力でな、人間側の魔法使い達がその魔力を感じ取ったらしい。半年前から人間側でお前の様々な噂が流れている。』
私の魔力が原因でしたか…。
その時は魔力のコントロール出来なかったもんなぁ、仕方ないか…。
「例えば?」
『第二の魔王、魔王の分身、闇の神の分身、と言う噂だ。』
「へぇ…。」
『今のところはそんな感じだな、お前が心配する程では無いだろうが…、
俺と同じ黒髪黒眼だ、用心するんだぞシホ。』
やっぱり闇の神が造り出しただけあるわ、
私の心配をしてくれる魔王は闇の神に似てると思うんだよね…
ついでに光の神に振り回される所も。
「判った、ありがとう魔王。」
『ふっ…それはそうと、今日は何か面白い事でも出来たか?』
「勿論!私、新しい魔石を作って空を飛ぶ事に成功したの!」
『お前…、まだ空を飛ぶ事を諦めてなかったのか。しかしどうやって成功した?新しい魔石とは一体…。』
「ふふん、私の説明をよーく聞きなさいよ。」
念話で魔石の事、跳んだ事を詳しく話すと
魔王は真剣に話を聞く。
「ねぇ魔王、これなら戦争の役に発つ?」
『無理だな。』
「えっ!?何で!?」
『俺やお前なら使えるが他の魔族には無理だ。多くの魔族は属性は1つしか扱えないからな。』
「あっ…。」
そうだった、私や魔王は火・水・風・土・空間・闇の魔法が使えるが大半の魔族がそのうちの1つしか使えないのだ。
対して私の作った魔石は2つの魔法を使わないと無理なのだ…。
「しまったぁ…。役に立つと思ったのに。」
『お前が戦争の事を気にする必要は無いと言っただろう。』
「でもさぁ、せっかくお世話になってる訳だし?何かしたくなるのよね。」
『そうか…、ならその魔石を1つ俺様に作っておいてくれ。どんな装飾品に加工するかはシホに任せる。』
「…判った。」
せっかく作ったのに私しか使わないのかと思った…。気をつかってくれたんだろうなぁ。
でもいいか、魔石が少しでも魔王の役に立つと良いが…。
『城下町を出たら次は何処に行くか決めたか?』
「まぁね。人間領の近くにある水晶花って花で有名な街があるらしいから、
そこに行くつもり。」
言葉の通り水晶で出来た花である水晶花。
月の光を浴び、さらなる輝きを放つと言われる花は魔族領1綺麗な花らしい。
『水晶花か…アレは満月の日が一番綺麗に見れると聞いたな。…しかし人間領の近くか…少し心配だな。』
「平気よ平気、その街は中からしか破れない強力な結界があるらしいし。」
『そうか…、なら存分に楽しむんと良い。ではな。』
「ありがと、じゃあまたね。」
魔王との念話が終わったら眠くなった私はそのまま、
フカフカなベットにダイブする。
…明日はどんな事があるかなぁ…。
そんな思いを胸に私は眠りについたのだった。
ーーーーー
「準備はどう?」
「ハッ、万全です。必ずや任務を遂行し、…」
どこかの部屋、
辺りを照らすのは1本の蝋燭の光のみ。
そこで2人の人影が何やら話し込んでいた。
「必ずや……
水晶花を手に入れてみせます。」




