8話
久し振りに作品評価がどうなったかなぁ、と評価を覗いてみたらまさかの200ptが超えてるからめっちゃ驚きました。
皆様ありがとうございます!
(作者は評価についてまだよく理解出来てません(笑))
黒騎士(紫穂)視点
何故だ?
さっきまで誰も居なかったはずの反対側に何故…
優也達が居る?
今ここに着たのか?
だが近くに魔力は感じなかった。
なら私が見過ごしたのか?
こんな巨大な魔力を見過ごす分けない。
感知する範囲が狭いからと言っても、一体どうやって私の感知魔法から逃れた?
湖一帯は感知範囲。
逃れられる筈はない…。
なら何故?
微かだが魔法の痕跡がある…、黄色い粒子。
空間魔法による何らかの結界または疑似空間を作り出して、姿や魔力を感知されない様にしていたか…。
香奈か雅人の仕業かな…。
「紫穂!よかった…無事だったんだな…。」
「しーちゃん!会いたかったよぉ!」
「無事で何よりだ!」
無事…?
何を勘違いしてるんだ、こいつら…。
何も知らない癖に…。
反対側で私に手を振る優也達。
その姿に私は苛つく。
こいつらをどうしてやろうか…。
そう思った時だ。
「魔族がぁぁ!」
「死ねぇぇ!」
私の背後から表れたのは2人の人間の兵士。
「紫穂!?危ない!」
「逃げるんだ!」
「しーちゃん!!」
優也達も彼らに気付き私を心配している。
でもこんな雑魚に負ける様な黒騎士じゃない!
腕にある黄緑色の石に魔力を与えれば、私は宙を浮き2人の兵士の剣を躱す。
「「なっ!」」
攻撃を躱した私は…。
「「!!」」
鞘から抜き出した剣で……斬り殺した。
「「「!!?」」」
優也達が息を呑むのが判る。
斬った事で兵士の返り血を浴びた鎧と剣。
(帰ったら洗わないと錆びてしまうな…。)
「お前!何者だ?!何故紫穂と同じ顔をしてる!?」
湖の反対側から優也の怒声と殺気が私目がけて放たれる。
中級魔族なら怯むレベルだろうが、私には何の障害にもならない。
「何だ?久しぶりに会ったのに、もう幼なじみの私の顔を忘れたのか?」
「なっ!」
「ほっほんとにしーちゃんなの?」
「いや、紫穂の髪はあんなに長くない…、魔法で幻覚か何かを見せられてるんだ…。」
こっちが声を掛けたら青い顔をする3人。
見てて滑稽だな。
「幻覚だなんて心外だな、雅人。髪が伸びたのは仕方ない事なんだから…。」
「!?幻覚じゃ…ないのか?」
「紫穂、どうしてその人達を斬った!それにその格好はまるで…。」
「まるで黒騎士みたい?」
「っ!」
ますます青い顔をする優也…、
今思えば何でこんな奴らに振り回されてたんだろうな人間だった頃の私は…。
「この人間達を斬らなければ私が斬られていた。今は戦争中だ、殺し合いは当たり前だろ?
私は魔族でお前達は人間なんだから。」
「違う!紫穂、お前は人間じゃないか!」
「そうだよ!しーちゃんは人間で、私達の大事な幼馴染だよ!」
「確かにこの世界で黒髪黒眼は魔族の証だが、それは俺達には何の関係もない!」
「関係ならある。」
「「「??」」」
「だって、私…。」
そう…関係ならある…
こいつらには少し前でも、私には3年も前のあの日。
「私は一度死んだ…そして魔族に生まれ変わったんだから…。」
あの日、優也が呼び出さなければ。
あの日、私があそこに行かなかったら。
あの日…何か変わっていたのだろうか?
…だから…今更だが、私はお前達に復讐する。
「私は魔族軍№2!黒騎士!勇者・聖女・賢者!元同郷のよしみだ、お前達は私が倒す!」
人間だった頃の私の仇…、
今まで巻き込まれた怒りも含めて全部を。
「首を洗って待ってろ。」
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優也視点
「私は一度死んだ…そして魔族に生まれ変わったんだから…。」
どういう事だ?
死んだ?
紫穂が?
ただでさえ、紫穂が黒騎士みたいな格好して、兵士2人を斬ったってだけで、俺は混乱してるのに…。
けどそんな俺の思いとは別に紫穂は言った。
「私は魔族軍№2!黒騎士!勇者・聖女・賢者!同郷のよしみだ。お前達は私が倒す。」
「首を洗って待ってろ。」
と、
そうして兜を被った紫穂は馬に跨り、俺達の前から去っていった。
「まっ待ってしーちゃん!!?」
「紫穂!待つんだ!?」
香奈や雅人が去っていく紫穂に呼びかけるも
紫穂は振り返らない。
俺も引き止めるべきなのに…
声が出ない。
どうしてだよ?
紫穂…君に何があったんだ…。
どうして死んだんだ?
何で魔族になったんだ?
何故黒騎士になってしまったんだ?
俺は今後紫穂と戦わなきゃいけないのか?
紫穂…教えてくれ…。
君に何があったんだ。
そんな考えが頭の中をグルグル回るだけで
俺は何もできずただ去っていく紫穂の姿見ながら立ち尽くすしか出来なかった……。
唐突ですが次回からは紫穂の空白の3年間を書いていきまっす!!
次回作もよろしくお願いいたします~。




