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☆8☆ 火のないところになんとやら


予告撤回ですっ><

 あとがきにもありますが諸事情により予告と違いますっ><

すみませんっすみませんっ;;


 下校時刻がとうにすぎた廊下は静かだ。

 3年生は部活も引退し、受験勉強のためか我先にと帰宅する。

 

 今日は塾もないし・・・・・・。


 力なく廊下を歩く。

 ペタペタという自分の足音が情けなく泣いているように聞こえる。


 野村さんと緑川君の噂がたったのはいつだったかな〜・・・・・・。


 野村さんとはクラスは別だった。

 でも、あの系統の女子グループには共通点があって。

 大抵のメンバーが女子テニス部。

 かわいらしくてオシャレ。

 生活指導には睨まれる反面、その女の子らしさで可愛がられる人たち。

 

 女子人気ランキングがあるなら上位20は確実にテニス部が占める。

 各クラスにステキ女子グループは存在していて。

 1クラスの女子の半分がステキ女子グループだった。

 残り半分は細かくジャンルにわかれていて、4〜5人の小さなグループになる。

 まるで縄張り争いでもするかのような構成だけれど。

 いくつかのグループにわかれることによってリーダーが自然にでき。

 クラスはうまくまとまっていた。

 

 そしてそれは他クラスの同系統のグループとも横でつながるという組織図。

 自然とできた子供社会。

 

 クラスのステキ女子グループが騒いでるのを聞いたんだっけ・・・・・・。


 「3組の野村さんがさ、うちの緑川とさ」


 「えっ、放課後?」


 「うっそ〜、野村さんが〜?」


 教室の後ろを占領してかたまり。

 それぞれが鏡を持ち、自分の顔をチェックしてお互いの顔を見ることなく話している。


 「なんか、生徒会に一緒にはいるとかって緑川君と話してたって」

 

 「えーっ面倒じゃん」


 「それは愛なんじゃない?」


 生徒会役員の立候補。

 そういえば、緑川君は生徒会もやっていた。

 一緒にやろうよ〜って緑川君に誘われたけれど、委員会なんて自分からなるものじゃないって面倒くさくてお断りした。

 

 「やっぱ、ここはあたし達ががんばっちゃう?」

 

 「がんばっちゃうか」

 

 「だけど、野村さんなら緑川も瞬殺?」


 大きな声で話しているので、ないしょ話とは程遠く。

 クラスメイトは誰もが耳にした。

 そして、野村さんと緑川君の噂は次の日の放課後には学年中に広まっていた。


 時々、教室に野村さんがやってきて緑川君をつれて出ていったりして。

 その度に歓声が上がり。

 「うらやましいだろ〜」とふざけながら緑川君は帰ってくる。

 そして。

 相変わらず、あたしのまわりをまとわりついて。

 「さっわださ〜ん」「あ〜やちゃん」と馴れ馴れしく名前を呼ぶ。

 いろんな事を聞いてくるくせに自分の事は話さなかった。

 もちろん噂についても話さなかった。

 あたしも聞きもしなかった。

 

 だけど、その後。

 度々、噂は更新され。

 一緒に下校していたとか。

 屋上付近の階段、踊り場で抱き合っていたとか。

 日増しに過激になる噂はしばらく続いて。


 あれは2年の終わりだったかな。

 一度だけ野村さんと緑川君が2人でいるところを見た。

 話している内容は聞こえなかったけど。

 緑川君が怒っていた。

 怒った顔は見たことがなかったから驚いた。


 2人が一緒にいたことではなく。

 緑川君が怒っていることに驚いた。

 温和で冗談ばかり言っている緑川君が怒っている。


 あの時は、興味が無かったから気がつかなかったけど。

 怒るって。

   

 ――――噂は本当だったのかな。


 階段を下りる足を止める。


 「くっそ〜」


 思わず汚い言葉がでる。


 思ったよりも動揺している。

 噂を耳にした時よりも今。

 

 何これ何これっ。

 頭ん中ぐちゃぐちゃだよ。

 

 野村さんは田巻さんとは何かがちがう。

 あきらかに何かがちがう。

 直感。


 どうだっていいじゃないっ。

 緑川君が誰と、どうだったとかなんて何とも思わないっ。

 もし、今。

 やっぱり冗談だからナシねって言われたって平気。

 だって、別に何が変わったって事もないし。

 それに・・・・・・。

 田巻さんみたいに強い気持ちもないし。

 野村さんみたいに自分に自信もない。

 

 ごめんなさいっ。

 みんな、ごめんなさい。

 緑川君、ごめんなさい。

 いい加減な気持ちでこんな状態。

 良くないよね。

 良くないよ。

 好きでもないのに。


 ――――ズキッ。


 胸が痛い。

 どうして?

 

 重たい足を一歩ふみだす。

 ゆっくりと進む。


 階段を下りて下駄箱へ向かう。

 下駄箱と下駄箱の隙間から小さく校門が見える

 玄関からまっすぐ、あの日と同じ夕方のヒヤッとした風が流れてくる。


 帰ろう・・・・・・。

 早く帰って眠りたい。

 優ちゃんたちは帰っちゃったよね。

 ちょうどいいか・・・・・・。

 

 泣きそう・・・・・・。

 

 なんで泣きそうなの?

 どうして胸が痛いの?

 

 今は考えたくもない。


 生徒玄関に近づくと人影が見えた。

 その人影が誰なのか。

 あたしはすぐにわかった。

 なんでだろう。

 すぐにわかった。


 緑川君・・・・・・。


 あたしより少しだけ背が高くて。

 細身の身体が軟弱そうに見える。

 いつもはおどけて真顔になることは少なくて。

 真顔になるのは、普段はかけない眼鏡をかけて本を読んでいる時。

 マンガばっかり読んでるって言いながら本当は難しい本を読んでいる。

 いつも冗談とウソばかり。

 本当の事がどれかなんてわからない人。


 嘘つきさんはこちらに気がついたのか手を振っている。

 遠くからでも少し大人びた笑顔が見える。


 ――――きゅっ。


 胸が締めつけられる。


 苦しい。

 痛い。

 切ない。

 寂しい。

 うれしい。

 ――――怖い。

 

 たとえようもない気持ちになる。

 

 会いたかった・・・・・・。


 散々にどうでもいいと言っていたのに。

 今は自然とそう思えた。


 そして気持ちを表すように笑顔を贈った。

 









※下にあとがきと次回予告がひっそりとあります。

    (あとがきパスな方用に見えないようにしています。
















 ■あとがきという名の懺悔■


 本日もご来場ありがとうございました。

 昨日の予告・・・・・・ウソつきました;;

 打ち続けているうちに話がのびまして、分割するハメに。

 このあとに「世界中にふたり」です><

 すみませんっ><

 女の子のドタバタした感じをだしたかった前回なのに少々修羅場になりそうで

 大人って大人って・・・・・・と悲しくなりました。

 今回は内面をこうぐーーーっと出したかったんですけど。

 力不足でこれが限界なのです;;

 

 さて次回♪ ☆9☆ 世界中でふたり(仮

 必ずや〜必ず〜っ!!がんばりますっ♪

 でわっ明日のご来場もお待ちしております(^-^)ノ


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