☆7☆ 思いどおりにならないココロ
ご飯をゆっくり食べてたらこんな時間にっ!!
気取らない!簡単!読めない漢字はつかわない!
をモットーに♪
授業の終わりを告げるチャイムが終わると同時。
彼女、田巻志保はあたしの机の前に立っていた。
「ど、どうしたの? 田巻さん・・・・・・」
ぽっちゃりとした頬が心なしか赤い。
口元がいかにも文句を言いたそうにとがっている。
「さーちゃんに聞きたいことがあるんだけど」
ほらきたっ!
優ちゃんの予想大当たり。
しかし、これじゃ呼び出しみたいだよ・・・・・・。
「田巻さん田巻さん、もう帰るんだけど」
優ちゃんは間に入るように机の横に立つ。
2人にとりかこまれるようにあたしは動けないでいた。
「優ちゃんには関係ない話だから、帰ってよ」
いつになく挑戦的だ。
「だめ〜、さーちゃんはあたしの彼女だし置いていけない」
「あの〜・・・・・・」
「さーちゃんは喋らなくていいよ」
優ちゃんにピシャリと止められる。
「私は優ちゃんと話をしにきたわけじゃないのっ」
なぜかあたしを無視して2人はにらみあってる。
教室には数人のクラスメイトがまだ残っている。
周りを見ると田巻さんグループの数人と雪ちゃんと久美だった。
緑川君本人の姿はない。
帰ったのかな・・・・・・。
しかし、こうなると女の子は厄介なもので。
本人は関係なく話が進むことが多いのです。
当事者になるのは初めてだけれど。
以前にほかのクラスの友人の話を聞いたことがあった。
大抵は加わった人間同士が険悪になり。
円満に解決することない・・・・・・らしい。
――――――嫌だな。
田巻さんは決して悪い人ではない。
どちらかといえば、とても良い人だ。
ただ、とても不器用な人なんだよね。
一生懸命でがんばり屋さんで意地っ張りなので理解者が少ない。
ぶっきらぼうな言い方も誤解させてしまう。
「優ちゃん」
あたしの呼びかけに答えない。
「優ちゃんっ!」
「・・・・・・何?」
不満いっぱいの優ちゃんの声。
「田巻さんとお話するから玄関で待っててよ」
あたしは大丈夫、と優ちゃんに笑ってみせた。
何を話すつもりよ?みたいな顔を優ちゃんがしたけど。
あたしにもわからない。
ただ、優ちゃんを巻き込むのは嫌だった。
「・・・・・・わかった。玄関で待ってるね」
優ちゃんは力なく笑ってあたしの背中を軽くたたいた。
「田巻さん、はやくしてよね」
優ちゃんは軽く威嚇して教室を出た。
その後から雪ちゃんと久美もでていく。
田巻さんグループもあとをつづくと。
教室の中は2人だった。
一瞬にして、静まり返る。
遠くから話し声や部活のかけごえなどが聞こえてくる。
廊下の足音が遠ざかる。
ごめんね。
優ちゃんの好意はうれしいんだけど。
本当はめちゃくちゃコワイし。
どうしたらいいかわかんないし。
でもさ、自分の事だもんね。
あたしは小さく深呼吸してから。
「話し・・・・・・なんだっけ?」
「え・・・・・・うん」
見上げると田巻さんはバツが悪そうに目をふせていた。
「あのっ・・・さ。さっきの優ちゃんを悪く思わないでね」
「え?」
「田巻さんが嫌いとかそういうんじゃないから、いつもは「田巻さんはスゴイ!エライ!」って叫んでるから」
優ちゃんのモノマネをしてみた。
田巻さんは驚いている。
「似てなかった?」
「・・・・・・優ちゃん怒るよ」
「あはははは。だよね」
本題に入るのが怖いのもあるけど。
嫌いなわけじゃないって知ってほしい。
同じクラスで特別仲良しではないけど。
トモダチ・・・・・・だよね。
「あのさ・・・・・・」
田巻さんは穏やかな声で話しだす。
「うん?」
「この前の、文化祭の、準備の、アレさ」
田巻さんはモジモジと単語を小さく言う。
聞きたいのは「アレ」の事か。
それとも「アレ」か?
アレじゃどれかわかんない・・・・・・。
先ほどまで、教壇の上からみんなの意見をまとめていた彼女とは別人だった。
声も消えそうなくらい小さく。
苦しそうに見える。
苦しいなら聞かなきゃいいのに。
言えないなら言わなきゃいいのに。
「さーちゃんはどう思ってるのっ!?」
やっとのこで吐き出した言葉はイマイチ不完全だった。
「どう思ってる?」
つまり「緑川君を」ということなんだろうけど。
「そうっ! どうなの?」
机に両手をついて、身体をのりだして。
突然、強気。
「どうって・・・・・・」
椅子ごとあとずさりする。
――――ガラッ。
2人しかいなかった空間に侵入者。
「あれ〜? さーちゃんと田巻さん何してるの〜?」
けだるそうに甘い香りと一緒にあらわれた。
「ノムちゃ・・・・・・野村さん」
あたしはつい昔のくせで出そうになる愛称を言いかえた。
目の前の田巻さんは固まっていた。
「なになに? なんか深刻?」
おもしろそうに野村友花は近づいてきた。
地味な田巻さんとは対照的に少し派手な印象ではあるが。
派手だからといって成績には関係なく。
おしゃれで頭もいい、うらやましい人だったりする。
彼女とは小学校の時、仲良しで。
よく遊んでいた。
その頃は「ノムちゃん」と呼んでいつも一緒だった。
中学にはいり、クラスがわかれてからは疎遠になり。
3年生のクラス替えで同じになったときには、もう・・・・・・。
ノムちゃんは「野村さん」に変わっていた。
彼女もまた、緑川君の噂の彼女。
つまりここに1号2号3号とそろったわけだ。
なんていうメンバーなのよ・・・・・・。
「田巻さんどうしたの〜?」
野村さんは近くにあった椅子をもってきて座る。
田巻さんを良く思ってないという話を聞いたことある。
なんで椅子?
なんで座るのっ?
不機嫌になったのは田巻さんだった。
「野村さんには関係ない」
「ひっど〜いっ、あたしも聞きたいな〜」
田巻さんの言葉に野村さんは一瞬、眉間にしわをつくる。
ほんの一瞬。
田巻さんは気がつかなかっただろう。
うっすらとグロスがぬられた唇が小さく尖る。
「さーちゃん、田巻さんにいじめられてたの?」
「え?ちがうよ」
「え〜じゃあ、2人でないしょ話?」
「そういうわけじゃないよ・・・・・・」
チラッと田巻さんを見ると、おもしろくなさそうにそっぽを向いていた。
「あっ! わかったー」
野村さんは何故かわざとらしく手をたたくと。
「さーちゃんに、緑川君の事好きなのっ!? て問い詰めてたんだ!」
!!!!!
ぎゃぁぁぁぁっ!
容赦ないっ!
バッサリと斬りつけられた様で力が抜ける。
驚くあたしと田巻さんを見て野村さんは不敵に笑う。
「やっぱりね〜」
「そんな話してない!」
田巻さんは顔を真っ赤にして声を荒げている。
「うっそだ〜、田巻さんが緑川君を好きなのなんてみんな知ってるし〜」
「好きじゃないっ! 好きなわけない!」
田巻さんは今にも野村さんに襲いかかりそうだ。
「それに〜緑川君がさーちゃんに告白してふられたのもみんな知ってるし〜」
やっぱり、フッたことになってるんだ・・・・・・。
野村さんはチラリとあたしの顔を見る。
「さーちゃんの気持ちを聞いて安心したいんだ〜」
「なんで! なんで野村さんに言われなきゃいけないのっ!?」
「え〜、だって。なんか田巻さんって自分の彼氏でもない人の事をみんなにとらないで〜とらないで〜ってふれまわってるみたいでズル〜イ」
アタックする勇気もないくせに〜。
野村さんの大きな目はそう訴えて、あははははっと笑う。
いつもの野村さんとは別人に見えた。
どうしちゃったんだろう・・・・・・。
こんな事、言う人じゃないのに。
どうして、傷つくようなことを言うのかな。
友達なのに・・・・・・。
それに・・・・・・なんか語尾がのびすぎ?
「た、田巻さん・・・・・・?」
気がつくと田巻さんは石像のように動かない。
ちがう・・・・・・。
小刻みに震えている。
でも、それ以外は動かない。
野村さんだけがつまんな〜いと言いながら立ち上がった。
その時。
「私・・・・・・帰る・・・・・・さーちゃん、ごめんね・・・・・・」
声も震えている。
田巻さんは一度も顔をあげずに歩きだした。
「田巻さんっ!」
呼んでも振り返らない。
「またっ! ・・・・・・またっ!明日ねっ!」
教室から出て行く田巻さんの背中にむかって叫ぶ。
それが届いたかどうかはわからない。
田巻さんが出て行ったのを確認すると。
野村さんの姿を探した。
「野村さんっ! 田巻さん泣いてたかもっ!」
「いいんじゃない? 泣けば」
我関せず状態で野村さんは笑う。
自分の机から荷物をとりだしながら。
「どうせ、何もできないんだから」
「何もって・・・・・・」
「それに、できても困るでしょ?」
一瞬、手をとめてあたしを見る。
その意味ありげな言葉と視線に身体が硬直した。
もしかして・・・・・・。
知って・・・・・・。
生きてきた人生、最大級の秘密。
仲良しの3人にしか明かしてない秘密を。
知ってるの?
「さーちゃんさぁ」
突然、野村さんはあたしに近づいてくる。
「優しいのもいいけど、そうやって選ばないでいるとどっちも失くすよ」
田巻さんと話していた時の野村さんとは感じが違う。
もっと、真剣な。
もっと、優しい。
目の前までくると。
両手であたしの頬をひっぱる。
「にゃに、ふるのっ」
頬をひっぱられながら必死に抵抗する。
こんな事をされるのは何年ぶりだろう。
小学生の時はよくノムちゃんにされた。
「さーちゃんは、ずるいよね・・・・・・」
一瞬、野村さんの顔が泣き笑いになる。
そう見えた。
「・・・・・・のみゅらさん?」
パッと頬から手をはなされる。
それでも、まだ頬に痛みの余韻が残る。
野村さんはため息をつく。
「・・・・・・緑川君がさーちゃんの事、好きなのなんてバレバレだよね」
「え・・・・・・」
「ずっと・・・・・・知ってたから」
長い髪を耳にかけて。
野村さんはきれいに笑う。
「緑川君が誰を見てるかなんて見てたらわかるんだよ」
「なに?」
「さーちゃんじゃなきゃ・・・・・・ダメだったんだよ」
終わったことだから・・・・・・。
とフローラルのコロンの香りを残して教室をでていった。
教室に1人残されて。
机に寄りかかって立っているのがやっとだった。
終わったことだから・・・・・・。
野村さんの言葉が反芻する。
終わったってどういうことですかーーーっ?
なんか始まってたって事ですか?
え?
もしかして、あたしってとんでもなくオクレテル??
教室に1人、悩むあたし。
そして、衝撃の告白に隠れてしまった大切なお言葉。
――――選ばないでいると・・・・・・?
※下にあとがきと次回予告がひっそりとあります。
(あとがきパスな方用に見えないようにしています。
■あとがきという名の懺悔■
本日もご来場ありがとうございますーっ( p_q) シクシク
初評価もいただいたり。
読者数のアクセス解析がぐんぐんでおどろいてますっ(」゜ロ゜)」 ナント
ありがとうございますっo((><o))((o><))o
あたしの良き理解者の妹にも内緒ではじめた「小説になろう」なだけに。
モチベーションが・・・・・・と不安になったりしてたので。
読んでいただけてるのは本当にうれしいです。
が、反面とても申し訳ない気持ちでいっぱいです。
こんなダメな落ち気味な文ですみませんっ><
読み返す気もおきなくなって、ほかの先生方のすばらしさ。
表現力の豊かさに脱帽しつつ。
へこむ毎日です;;
それでも勉強しながらがんばっていけたらと思っております♪
さて次回♪ ☆8☆ 世界中でふたり
タイトルのまんま。
またどうにもできない恥ずかしいモノをこの世にさらしてしまうわけですが。
それでもよろしければ。
また明日のご来場をお待ちしております☆




