☆56☆ 錆びた気持ち
予告とタイトル違うし!
連続更新してるし!
その理由はあとがきで……。すみません。
もうあやまるしか( p_q) シクシク
この寒い非常階段の踊り場にどれくらいいるんだろう。
もういい加減、寒さで身体が動かなくなりそうだ。
「どういう事? ふたりで何してたの?」
緑川君はあたしに問いかける。
でも、とてもあたしからは言えない、言いたくない。
「ごめんね、あたしがここに連れてきたの……話しておきたくて」
「何を?」
不機嫌な声で緑川君は答える。
「そんなに怒らないでよ。ちゃんと話すつもりだったんだから」
「だから何を話すつもりだったの? 神田さんが言ってた事?」
「……そうなるね」
野村さんは小さな声でつぶやく。
いつもなら明るくて弾む声はくすんで聞き辛い。
「必要ないから」
その言葉にうつむいていたあたしも野村さんもほぼ同時に顔をあげた。
「え?」
「必要ないって言ってるの。野村さんと僕の話を澤田さんにしてどうするの? どうしたいの? 澤田さんには関係ない話だし。それに野村さんにも関係ない話だよね」
緑川君ははっきりとした声で野村さんに言うと視線をあたしに向けた。
え……。
ちょっ、ちょっと! わかってるの?
そんな言い方したら野村さんは……。
好きだった人なんでしょ?
あたしがいるから気をつかってわざと冷たい言い方をするの?
問いかけるようなあたしの視線に気がついたのか、緑川君は困ったような顔をする。
わかんない、わかんないよ……。
好きだった人が目の前いるのに。
好きだった人が傷つくってわかるのにどうしてなの?
今も野村さんは目の前にいて、しゃべってるのはあたしじゃなくて野村さんだよ。
それなのに、そんな冷たい言い方で……。
なんで傷つくってわかっててそんな言い方するのよ。
あたしもいつかそんなふうに冷たくされるの……かな。
あたしが口を開きかけると。
まるで虫の羽音のような声で野村さんが何かを言った。
「……そう、だね。―――――ね」
あたしには最初の部分しか聞き取れなかった。
「もう、いいよね」
緑川君の手があたしの腕をつかむ。
その力の強さにハッとして顔を見上げた。
「ごめん。帰ろう、もういいから」
そう言って笑う緑川君は切なそうに見えた。
それでも、あたしは笑ってあげることなんてできない。
「いこう」
手を引かれながらも野村さんを見る。
野村さんはただ、うつむいていて顔が見えない。
「ノム――――」
言いかけてとまった。
前髪の隙間から何かが落ちた。
それが何なのかあたしにはわかったから。
見た瞬間に言葉は消えた。
「さーちゃん、ごめんね。またね」
うつむいたまま押し殺したような声がすれ違いざまに聞こえる。
「どうし、て」
どうして、あやまるの?
野村さんは悪くなんかないのに……。
非常口から廊下へ引っ張られて言葉は伝えられなかった。
ガシャンッ。
うしろでドアが大きく音を立ててしまると、暖かい空気に頬がゆるむのがわかる。
手足がかなり冷えていたのか全身で暖かさを感じていた。
じゃあ、悪いのは誰?
手を引く緑川君の背中をみながら、あたしはいつこの手を離そうか考える。
「み、緑川君」
時間のせいか、廊下ですれ違う生徒はほとんどいなかった。
だけど、あまりにも目立ちすぎる行動にあたしは耐えられなくて声をかける。
「ねえ!」
呼びかけても答えはなく、ただ引っ張られるだけ。
ギュッ。
足を踏ん張って全身の力をこめて抵抗した。
「止まって!」
教室まであと一歩。
廊下の真ん中で、あたしたちは止まった。
ゆっくり手を離されると緑川君は振り返る。
「も、もう……ひとりで歩けるから」
「……うん」
あたしの言葉に緑川君が小さく微笑む。
あたしはその横をすりぬけるように教室に向かった。
誰も悪いことなんかしてないのに。
みんなが傷つく。
好きって何?
何もかもがぼやけて、好きな人しかみえなくなって、特別な人以外に優しくできなくなるの?
それが「好き」?
好きだって言ってくれる緑川君。
でも、好きってなに?
あたしのどこが好き?
それって「今」限定の「好き」?
あたしもいつか野村さんみたいに突き放されるの?
変わらないものはないってわかってる。
でも……変わっていくことが怖い。
「好き」って何なんだろう……。
早足で入った教室の中には誰もいなくて、あたしは少しだけホッとしていた。
あたしのうしろで緑川君が静かにドアをしめる。
あたしは背をむけたまま数をかぞえていた。
3、2、1、0。
タイミングを計って振り返る。
机をはさんだうしろに緑川君が待っていた。
あたしが振り返るのを声もかけないで待っていた。
その姿に胸がきゅっと切なく痛む。
でも、いつか気持ちは変わってしまうんでしょ?
そうなんだよね、緑川君。
あたしたちは無言で見つめあった。
※下にあとがきと次回予告がひっそりとあります。
(あとがきパスな方用に見えないようにしています。
■あとがきという名の懺悔■
本日もご来場ありがとうございます。
いきなり連続更新。しかも予告と違うし! その理由は……。
早急にこの状況を脱出しないと書く気力がなくなりそうなので!
感想をいただくと励みになって気力が回復するのですが。
やっぱり、このままじゃいけない!と立ち上がったわけです。
そんな他人まかせなやる気なんてどうなの!? と自分にカツをいれまして
しばらく、あーーーっあーーーっと耳を塞いでがんばります!
疲れて帰ってきても疲れる文章を書いていたら疲れが倍なんですもんね><
さて次回♪ ☆57☆ ひとりぼっち
今度こそノムさんの涙を見て動揺したアヤちゃんがミドリ君を軽くためすみたいなお話をかこうかと思います。
アヤちゃんのなんとも傲慢な決断とまさに自爆!的ストーリーで。
長いな、と。
たぶん、勢いあまって明日も更新いっとく? みたいな。




