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☆33☆ 変身

おはようございます!

本当はお休みだったのに出勤になってしまい、眠いです;;

本日は夜にもう1話UPできるかな・・・・・・。


 頬を冷たい空気がチクチクさせる。

 電灯に車のライト。

 もうすっかり夜になっていた。


 あたしは時間を気にしながら公園へ向かって自転車のペダルを強く踏んでいた。



 澤田さんはずるいんだよね。


 さーちゃんはずるいよね。


 神田さんと野村さんの言葉が交互に聞こえてくる。

 この言葉はきっと消えない。


 田巻さんの事。

 野村さんの事。

 緑川君の事。

 あたし自身の事。

 受験の事。

 優ちゃんたちの事。


 考えなくちゃいけないことがたまっていく。

 後回しにしてきたからどんどん増えてるみたい。


 今日、新たに追加された「神田さんの事」


 本当に神田さんに嫌われるような記憶はないんだよね・・・・・・。

 あそこまで嫌われる理由がみつからないんだよな〜・・・・・・。


 神田さんも緑川君が好きだとか?

 え〜・・・・・・そこまでモテないでしょ。


 緑川君は頭はいいけど顔は普通だし。

 背だって低い。

 熊田君のほうがずっと背も高くてかっこいい。

 それに悪い癖みたいに女の子が大好きで誰にでもいい顔をするし。

 そうだ、この前なんかお嬢様グループの藤本さんの着替えを眺めてて田巻さんに怒られてたし。

 全然、かっこいいところなんかないっ!


 どこが良くて野村さんも田巻さんも必死なんだろう。

 もちろんあたしも・・・・・・。


 これで神田さんまで参戦してくるっていうなら討論会でも開きたい。


 そりゃあ、学校以外の緑川君は確かに少しだけ、本当にすこしだけ。

 かっこいいかな〜と思うときもあるけど。

 意外と怖いし、怒るし、すねるし。

 いつも笑ってるのしか知らなかったからビックリはしたけど。

 

 本当は低い声だったとか。

 いい加減そうにみえて部屋はきれいだとか。

 グレープフルーツの香りがするとか。

 優しそうに笑うと右側にだけえくぼがでる事とか。

 照れると眉毛が少しだけあがっちゃう事とか。

 隠し事をするときに鼻がなるとか。


 ここ数ヶ月でいろんな緑川君が見えて。

 学校での女の子大好き緑川君はもうひとつの姿なんだって事がわかって、少しだけ優越感はある。

 

 最初はどうしていいかわからなかったけど、今は普通に電話もできる。

 手をつなぐのはまだ緊張しちゃうけど、キライじゃない。


 スイッチが入ったみたいに気持ちが変わった。

 それがいつからとか、はっきりとはわからないけど。

 

 あたしはいつの間にか緑川君の低い声が好きだった。

 学校での声は少し高めでわざとらしく声を作ってるように聞こえる。

 でも、電話で聞く声は低くて優しい。


 その声があたしは好き。

 

 まだ知らないことがたくさんあって。

 あたしはもっと知りたいって思ってる。


 何かがあたしの中で動いている。


 塾で神田さんの言ってることを黙って聞いた。

 考えていた。

 そしたら気がついた事がひとつだけあった。


 あたしは怒っていたんだよね。

 神田さんの言う「いい加減な気持ち」の部分に。


 いい加減な気持ちなんかじゃないっ! って叫びそうだった。

 

 あたしはいつからこんなにはっきりと緑川君を好きだと思えるようになったんだろう。


 好き。

 好き?

 

 「そっか・・・・・・」


 あたしは冷たい空を見上げる。

 冷えた空気に星がきれいに輝いて見える。


 あの交差点を右。

 次のT字路も右。


 自転車はどんどん待ち合わせの場所に近づいていた。


 あたしは緑川君が好き。

 

 好きって気持ちがどういうものか知らないけど。

 

 あたしは緑川君が好きなんだ。

 かっこよくなくても、背が高くなくても。

 一緒にい笑って、一緒に歩いて、一緒に考えてくれる。

 あたしを見ていてくれる。

 あたしも緑川君を見て。

 もっと、もっとって心が要求する。


 たしかにやきもちとか独占欲とかそういう難しい事はまだわからないけど。

 まだこれから知っていけるよね。


 きっとそれを緑川君は待ってくれる。


 あたしは緑川君が好き。


 何度も心で思う。

 

 その度に笑ってしまいそうになる。

 暗闇で自転車をこぎながら笑う中学生。

 かなりあやしい。


 「ま、言わないけどねっ」


 空に向かって照れを隠すように独り言。


 恥ずかしくて言えない。

 それに言ったら、何かがまた変わってしまうような気がする・・・・・・。


 あんなに沈んでいた気持ちも今はすっかり上機嫌。

 神田さんに感謝なのかもしれない。

 鈍いあたしの心を活性化させてくれて。


 笑いを堪えながら公園を目指す。

 待ち合わせの公園はもう目の前に見えていた。


 一歩前進!


 あたしは座っていられなくて立ってペダルを踏んだ。



※下にあとがきと次回予告がひっそりとあります。

    (あとがきパスな方用に見えないようにしています。




















   ■あとがきという名の懺悔■


 本日もご来場ありがとうございました。

 今回はアヤちゃんの心の中でした。終始それっていうのがあたしの中で不満なんですが。

 心の成長を変化を書いてみたつもりです。

 もっと微妙に描きたかったのに、結局、こんなズバッとしちゃって切ないです。


 さて次回♪ ☆34☆ クリスマスプレゼント


  なんだか書きたいことが山積みなタイトルで。

 しぼっていきます・・・・・・。長くなりそうなので分割してしまうかもです。


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