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☆30☆ 携帯番号のプレゼント


 コメントありがとうございました!

 励みにがんばりますっ!!

  ちなみに、前書きあとがきと長々書くのが好きで

 いろいろ書いてますが。

気に入らない方はスルーでお願いいたします♪


 ―――キーンコーンカーンコーン。


 チャイムの音と一緒に先生が立ち上がる。

 それを合図に日直が号令をかけた。

 

 「きりーつ!」

 

 ガタガタッと教室中から椅子と机を動かす音。


 「きをつけーっ!」


 「じゃあ、みんな冬休み中も気をゆるめるなよ〜。よし、二学期はおわり! 礼っ!」


 最後に山田先生が号令をだし、教室はまた騒がしくなる。


 「ほら! 忘れものすんなよー!」


 音をかき分けるように先生が大声で言うが聞いている生徒は少ない。


 「終わったーっ! 今日しかないんだし決めちゃお〜」


 優ちゃんが待ってましたとばかりにあたしの目の前に立つ。


 「決めちゃう?」


 「とぼけた顔しないでよ。明日は何の日?」


 明日・・・・・・。

 何の日だっけ?


 「冬期講習初日?」


 本当にそれしか思いつかない。


 「ばかーっ! 何その灰色仕様!」


 「ばかって・・・・・・」


 目を丸くする優ちゃんにあたしはのけぞる。


 「さーちゃん、本気で言ってる? 今日は12月23日だよ。明日は24日だよ」


 そこまで言われてやっと理解できた。

 12月24日といえば子供の頃は楽しみで仕方なかった日。

 クリスマスだ。

 

 「あ〜、そうか。クリスマスだね」


 「受験生にはクリスマスも正月もねーだろ」


 「久美ちゃんが言うの似合わなすぎですね」


 下校準備を終えて雪ちゃんと久美も机のまわりにあつまる。


 「やっぱクリスマス会は無理? ダメかな〜? ダメだよな〜・・・・・・」


 クリスマス会。

 やる気だったの・・・・・・?


 優ちゃんの力の落とし具合からいって、かなり本気で考えていたっぽい。


 「あ、あ〜・・・・・・。冬休みは遊ぶのは難しそうですよ、私」


 優ちゃんの落ち込みを見て申し訳なさそうに言う雪ちゃん。


 「雪んとこは無理そうだな」


 久美は雪ちゃんの肩をポンポンとたたく。


 「久美は?」


 あたしは久美の優しさを羨ましいとおもいながら聞いてみた。

 

 「オレか? オレんちはそんなの無視すっから」


 「無視って、怒られるでしょ」


 「まあな」


 「じゃあ、仕方ないから。今、ちゃちゃっとクリスマス会!」


 優ちゃんはなにがなんでもソレらしい事をしたいと言い放つ。


 「優ちゃん・・・・・・」


 こういう時の優ちゃんはわがまま女王なため、あたしは言い返さない事を学習していた。


 「あとどれくらい学校に残っていられるかな?」


 「ってか。腹へった〜」


 久美がヘナヘナと近くの席に座る。


 「お昼前ですからね」


 「先生の見回りがなければ・・・・・・」


 そう言いながらあたしは教室の時計を見る。


 お腹が減るわけだ。

 時計は12時過ぎを示している。

 





 「だめだよ」


 突然、声が割り込む。


 反射的に声の方向に顔を向ける。


 席と席の間をすり抜けながら近づいてくる笑顔。


 うっそ・・・・・・みんなでいるときに話しかけてくるなんて・・・・・・。 

 やだやだ。

 こっちくるなー。


 キッと笑顔の主を睨みつけるけど効果はなかった。


 「下校時間は決まってるんだし、先生にみつかったら怒られるよ。それに、僕が困っちゃう〜」


 楽しそうに4人の間にわりこんでくる。


 「緑川が困るなら全然オッケーでしょ。ね、さーちゃん」


 優ちゃんに同意を求められて苦笑い。


 「す、少しならいい?」


 見逃してくれない? とお願いしてみる。

 一瞬、緑川君が照れたように笑う。


 「あ、ダメダメ。そういう手にはのらないから! あー、騙されるとこだった。いつの間にそんなワザを・・・・・・」


 訳のわからないことをブツブツと言う。


 「ケチーっ! さーちゃんたのんでるのにー!」


 「あ、さては。松田さんのせいか! 僕の澤田さんに変な事教えないでくれるかな〜」


 「ちょっ!!」


 かなり焦る。

 教室中にぐるんぐるんと首を回して警戒した。

 誰もいないことを確認してホッと胸をなでおろすが、次の瞬間には嫌な汗がでていることに気がつく。


 僕のって。

 誰が僕のになった! ボケ! 


 きゅっと口を真一文字にむすんで立ち向かう。


 「誰かに聞かれたらどーすんのよ!」


 「誰も聞いてないでしょ〜。それに聞いても信じ・・・・・・」


 そこで緑川君は複雑そうに考え込む。


 「聞いてもの次はなによ」


 優ちゃんが好奇心でウズウズしているのが良くわかる。

 雪ちゃんは緑川君の爆弾発言に顔をあからめて落ち着かないようだ。

 そんな雪ちゃんを久美が落ち着かせている。

 あたしはといえば戦闘態勢でいつでも反撃できるように整えていた。


 「あ〜、なんか言いたくなくなっちゃった〜」


 あはははっと笑う緑川君に優ちゃんの怒りゲージがマックスを迎えようとしていた。


 「あんたねぇ〜っ!」


 

 「いた! 緑川君!」

 

 特徴のある甲高い声がまたもや割り込んでくる。

 頬を赤くして、走ってきましたとばかりに息があがっていた。


 「もーっ! 仕事は最後までやって・・・・・・あ・・・・・・」


 あたしたちに気がついたのか声が小さくなる。


 「あ〜、ごめ〜ん。田巻さんがやっちゃってくれるかな〜なんて。えへ」


 田巻さんの視線はあたしに向けられていた。

 野村さんとの放課後以来、田巻さんとはなんとなくぎこちない。

 田巻さんの本当の気持ちがどうとか。

 あたしの気持ちがどうとか。

 野村さんとの真実とか。

 なにもかもがうやむやだ。


 あの頃とは確かに違うあたしの気持ち。

 

 あたしは選んでしまったから。

 田巻さんとの友達関係よりも緑川君を。


 ごめんね。


 あたしが目をそらさずにいると、田巻さんはツカツカと近づいて緑川君の腕をつかむ。


 「さ、澤田さんたちと何遊んでるのよ! 仕事して!」


 あたしに背をむけてひっぱる。


 「ちょ、ちょっと。そんなに急がなくてもさ〜。田巻ちゃ〜ん?」


 ご機嫌をうかがうようにひっぱられて確実に教室を出ようとしていた。

 がっちりと掴まれた腕からは逃げられないとあたしに言い訳するようにバタバタと騒がしい。


 調子のいい男・・・・・・。


 あたしは半分呆れたように笑う。


 「待って、待ってーっ!」


 田巻さんがそんな言葉を聞くはずがない。

 あたしのところになんて・・・・・・どんなに緑川君がお願いしたって。


 「待つわけない」


 自分の席に座りながらバカバカしいとカバンを叩く。

 どいうわけか面白くなくてもう一度、緑川君の背中を睨む。

 廊下にでてしまっていたふたりの影。


 さっさと行けばいいよ。


 その時、緑川君の影はスッといとも簡単に田巻さんから腕を取り戻すとあたしの方へ走ってくる。


 



 「これ」


 小さくそう言って手渡されたのは小さな紙切れだった。


 「じゃあ、ちゃんと帰るんだよーっ! 早く帰ってねーっ!」


 教室の出口で、先ほどと同じように情けなくひきずられながら手を振って出て行く。


 「なんだったんだ・・・・・・あいつ」


 久美が台風の後のような静かな教室を見渡す。


 「なんだったんでしょうね・・・・・・」


 「恥ずかしいやつ。軽い男は嫌われるね! 田巻さんも田巻さんだけど、調子のりすぎ!」

 

 優ちゃんがあたしを気にしながら怒りを表現している。

 でも、本当は怒ってないこともわかってる。


 「手紙か?」


 あたしの手の中にある小さな紙切れを久美が気にしていた。


 「なんだろうね」


 あたしはみんなの前で開く。


 090・・・・・・これって・・・・・・。


 「携帯番号?」


 3人が覗き込む。


 そこに記入されている番号は確かに携帯電話の番号にしか見えない。

 だとしたら、これはきっと。

 あの日、持っていることを知ってしまった緑川君の携帯。

 でも、番号はもらえなかった。

 

 たぶん直通番号。


 「やるぅ〜」


 優ちゃんは満足そうにあたしの肩をもむ。


 「明日はクリスマスだし、電話でもしたらどう?」


 優ちゃんの言葉にふわっと今までに感じたことのない、わくわくした気持ちになる。

 まるで子供の頃、年に1度のその日を待ちわびていた時のように。


 クリスマス・・・・・・。


 あたしはそっと制服のポケットにしまった。



 


※下にあとがきと次回予告がひっそりとあります。

    (あとがきパスな方用に見えないようにしています。

















  ■あとがきという名の懺悔■


 本日もご来場ありがとうございます。

 終業式ってだいたい23日くらいでしたよね。

 たしかそうだったかな〜とおもいながら書いたんですが、イマイチ時間が・・・・・・。

 とりあえず冬休みへ突入させます!



 さて次回♪ ☆31☆ クリスマスなんて大嫌い

 

 またまた塾でも1コマ。


 

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