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☆29☆ 終業式にて

風邪ダウンすみませんでした;;

またがんばっていくます。

 

 「今日、成績表くるでしょ。うちのお母さん仁王立ちよ」


 優ちゃんが通路をはさんで隣の席から話してくる。

 教室は終業式を終えて体育館からもどったクラスメイトで騒がしい。

 

 「優ちゃんの成績で仁王立ちなの!?」

 

 「さーちゃんのお母さんは成績表で怒らないんでしょ?」


 「うん。うちのお母さんは勉強うるさくないから」


 いいな〜と唇をとがらせる。


 「成績表の話なんかすんなよ〜、雪が泣くぞ」


 「久美ちゃん! そんな事わざわざ言うほうがつらいですよ〜」


 「あ、わり〜」


 机のまわりに囲むように立っていたふたり。


 「雪ちゃんのうちも仁王立ちか」


 優ちゃんは仲間ができたと不敵に笑う。


 「今回の期末テストの結果なんてもう知ってるわけだし、いまさらおびえてもさ〜」

 

 あたしは今にも泣き出しそうな雪ちゃんをなぐさめる。


 「さーちゃんはいいですよね〜・・・・・・うちなんて、うちなんて。うっうっ」


 「ゆ、雪ちゃん、なにも泣かなくても・・・・・・」

 

 とうとう泣き出してしまった雪ちゃんはどうみてもあたしが泣かしたみたいな図になっている。


 「泣かしてやれよ。こいつんちマジやべーって」


 久美が小声で言うが本人にまる聞こえだ。


 「やばいって?」


 優ちゃんが心配そうに同じく小声で聞くが、まる聞こえ。


 「今回の成績表で3があったら冬期講習2コースだってよ」


 「うっわー! 2コース?」


 「2コースって・・・・・・休みなし?」


 思わず絶句してしまい、反応がにぶいあたし。


 だって鬼だよ。

 成績表の評価は5段階。

 そのうちの3ってのは普通ってことだけど。


 あたしにしたら3がほとんどなんですけど・・・・・・。



 「さーちゃん・・・・・・あたしたちまだマシかな」


 「そうだよ・・・・・・優ちゃん」


 冬期講習の申し込みはあたしと優ちゃんの通っている塾からもきていた。

 もちろん参加の方向でカリキュラムももらった。

 通常、週二回の夜の部にプラスした冬期講習は。

 終業式の翌日からはじまる。

 集中講座5日間、缶詰の旅。

 朝9時から夕方4時までの超鬼カリキュラム。


 それを見て文句を言わない塾生はいない。

 まさに鬼。


 塾の講師である鈴木先生は「受験生だって事を忘れるな!」とピシャリとみんなを黙らせた。


 しかし。

 冬期講習を2コースっていうのはおそろしい・・・・・・。


 「つまり、4のオンパレードか4と5の羅列でないと休みなしって事だよね」


 優ちゃんはありえないと額に手をあてる。


 「おばさん・・・・・・そこまでするんだ」


 「さーちゃんもオレもなんもねーけど、優ちゃんと雪は大変だな」


 「雪ちゃんに比べたらウチの仁王立ちはまだ甘いかも・・・・・・」


 3人で雪ちゃんの肩に手を置く。


 「がんばれ」


 それしか思い浮かぶ言葉がなかった。


 

 「ほーーーいっ! みんな席につけ〜」


 担任の山田先生がいつの間にか教室の入り口に立っていた。


 「じゃ、また」とふたりは自分の席へ戻っていく。

 優ちゃんは隣で「いよいよか・・・・・・」と呟いていた。


 騒がしかった教室はうって変わって静まる。

 先生の持つ白い紙の束が妙に目立つ。

 それが何か教室の誰もが知っていた。


 「じゃ、みんなのお待ちかねから配るか?」

 

 ニヤニヤと教卓の椅子に腰をかける。


 「名前呼ぶから取りにこーい」


 先生は名簿順に名前を読み上げていく。

 取りに来た者にコメントをして渡す。


 コメントしなくていいし。

 ってか、そこで広げなくていいし。

 

 あたしは汗ばむ手をこすり合わせる。

 成績表がどうとかという事ではなく、教卓のところへ行くのが嫌だ。

 注目をあびるであろうあの場所にわざわざ行くなんて恥ずかしすぎる。


 目立つことは好きじゃない。

 見られることも好きじゃない。

 できれば地味に平凡でいたい。


 「緑川〜、緑川翠」


 自分の名前でもないのに身体がビクンと反応する。


 「あ、は〜い」


 緑川君はスッと立ち上がり慣れた感じで教卓の前に立つ。


 「よくがんばってる。これなら余裕だな。推薦の件も考え直してくれてよかった。この調子でな」


 「はい。がんばります」


 緑川君は成績表を受け取ると自分の席へもどっていく。

 ずっと見ていたのに視線が合うことはなかった。


 推薦・・・・・・考え直したんだね。

 よかった。

 というか、あたしヤバイよ。

 なんで緑川君の名前で反応しちゃうんだろう・・・・・・。

 ヤダヤダ。


 席に着いた緑川君はすでに熊田君とふざけていた。


 どうかあたしの時は見ないでいてください。


 そんなあたしの願いなんて先生に届くはずなくて順番はやってくる。


 「澤田彩〜。はよーこい」


 「は、はい!」

 

 緊張のあまり声がひっくりかえる。

 

 ぎゃっ。変な声だよっ。


 小走りで先生の前に立つ。

 先生は他の生徒にもしたように折りたたまれた白い成績表をひらく。


 「ん〜。まあいつもと変わんないな。がんばればできそうなのにな〜。冬休みも怠けないでがんばるんだぞ」


 「・・・・・・はい」


 なんとも情けないコメントありがとうございます。

 

 あたしは成績表を受け取ると自分の席に向かう。

 ふっと視線をあげると緑川君と目が合う。

 緑川君は親指を立てて「グッド」とサインを送っていた。


 なにがグッドよ。

 ちっともグッドじゃないつーの!


 あたしはいーっと悪態をついて自分の席に座る。


 成績表を見ると芸術科目に5と4があるものの。

 5教科では3のオンパレードだった。


 雪ちゃんちだったら地獄を見るな・・・・・・。


 一通り見ると閉じてカバンにしまった。


 教室をみわたすと雪ちゃんが成績表を食いつくように見ていたかと思うと小さくガッツポーズをした。

 近くの席の久美はすでに成績表なんてみていないし。

 隣の優ちゃんは安心したようにニコニコと上機嫌だ。


 雪ちゃんも優ちゃんも大丈夫そう。

 よかったよかった。


 あたしは先生が話している冬休みの注意点を真面目に聞く体勢にはいる。

 校長先生の話とほぼ同じ話を聞きながら2学期が終わっていくのを感じていた。


 ※下にあとがきと次回予告がひっそりとあります。

    (あとがきパスな方用に見えないようにしています。




















 ■あとがきという名の懺悔■


 本日もご来場ありがとうございました。

 長いこと読んでいただいてる方もいらっしゃるのかな〜とドキドキしたり

 途中でやめちゃっおうかな〜と思い悩んだり。

 とにかく戦ってます。

 なろう作家様のお友達がほしいこのごろです。

 結論的には1人でも読んでくれている方がいるかぎり

 完結めざしてがんばりたいと思います。

 今回の終業式の1日はまだまだ続きます。ごめんなさい。

 最後まで書いたらめちゃめちゃ長い章になっちゃうのできりました。

 次回にまわします。


 さて次回♪ ☆30☆ 携帯番号のプレゼント

 

 普通しないでしょ。というボケが波乱を起こす話が書きたくて。

 書かせていただきます! 


 

 

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