☆24☆ いつもいっしょ
誰かがポチッといれてくれているネット小説ランキングがとうとうTOP10とかにはいったりでたりしていました。
最初の1Pにいられればラッキーくらいだったので今夜は祝杯!!
そして本日の「いつもいっしょ」は友情?モノです。
時計のチッチッという秒針の音と紙がこすれる音だけが聞こえる。
暖房は消えているので教室ですら寒い。
最後の一問を解き終わると大きなため息をついてプリントを眺めてみた。
「やればできるもんだね」
あたしは嬉しくておつかれおつかれと連呼した。
「―――で、何があったか教えてくれる?」
突然のつっこみ。
何をきかれているのかは見当はつく。
緑川君は躊躇なくその権利があるとばかりに強気にでてきている。
二次関数プリントはもう終わっているし、逃げようと思えばできる。
でも、逃げていいんだろうか。
逃げることは今度、緑川君を傷つけることになるんじゃ・・・・・・。
「何も・・・・・・」
「どうせまた変な事を思い込んでるだけだと思うけど言ってみてよ」
あたしの言葉なんて最初から信じてないのでまったく聞いていない。
「何があったの?」
真剣で優しい顔があたしをまっすぐに捕らえていた。
逃げることは許さないと。
胸の中にある闇を吐き出してしまえば楽になれるんだろうか。
目の前の特別な男の子はどう思うだろう。
嫌われてしまうかも・・・・・・。
嫌われてしまう。
目を伏せてため息をひとつ。
それでも・・・・・・今のあたしに逃げ道なんてどこにもないじゃない。
「あたしが・・・・・・」
乾いた唇が震えてしまうのをきゅっと噛むことでおさえる。
見えるのは制服のスカートをにぎりしめている自分の拳だけ。
「あたしが・・・・・・最低だから」
やっとの事で言葉になると、少しだけ落ち着く。
緑川君の視線を確認するように顔をあげる。
「それで?」
さらに逃げ道はないと問いかけてくる。
「あ、あたし・・・・・・よかったって思ってたの」
「え?」
ますますわからないと言いたそうに眉間に皺をつくる緑川君は断片的なあたしの言葉でいろいろな想像をしているみたいだった。
「あたし、熊田君が優ちゃんの告白、断ったって言った時なにもしなかったの」
「うん」
「熊田君にどうして? とか、お願い! とか全然言わなかった」
「うん」
「優ちゃんが誰にもとられないって知って嬉しかったの・・・・・かも」
「うん」
「だけど・・・・・・あの日。緑川君と会った次の日。優ちゃんが泣いたの・・・・・・あたし、初めて見た。優ちゃん、すごくつらそうで、だけど熊田君の事すごく想ってて。あたしばっかり浮かれててばかみたいで。あたしのせいなのに!」
「澤田さんのせいなの?」
「あたしが熊田君にお願いしなかったから」
「お願いして変わるものなの?」
それは思い上がりなんじゃない?と強く言われて体がビクッとする。
「え・・・・・・それは・・・・・・」
「そもそも、熊田が決めたことだし。澤田さんが決めたことじゃないし。澤田さんが動いたからって熊田の気持ちが変わるってどうして思えるの? 熊田とはどういう関係?」
緑川君の言葉はいちいち突き刺さる。
「それは・・・・・・そうだけど・・・・・・あたしの気持ちなんていい加減なのに、あんなに強く想ってる優ちゃんが傷ついて、そんなのおかしいって」
「澤田さんの気持ちがいい加減ってのはちょっと聞き捨てならないけど、強く想えば誰でも相思相愛になれるなら僕はとっくに相思相愛だったと思うんだけど、いまだに危ういのはなんでだろう」
「それは・・・・・・」
緑川君の視線は少しもあたしを逃がさない。
「どうせ、自分も同じ気持ちになって慰めあおうって思ったんだろうけど、それって悲しいな〜。僕はどこにいるの?」
悲しそうな声。
でも目は翳るだけで少しの動揺もない。
「ねえ、松田さんの事が好きなのはわかるけど、松田さんはそんな事望んだの? 澤田さんに同じように傷つけって言ったの?」
「言わないよ! 優ちゃんはそんな子じゃ!」
「ほら、ちゃんとわかってるのに何で悩むの?」
「あたしが・・・・・・あたしだけがうまくいくなんて・・・・・・」
頭が痛い。
答えていくうちに自分が何をしたかったのかわからなくなる。
どうしてこんなに責められているのかも。
「友達っていってもさ、部外者だよ。それわかってる?」
「・・・・・・」
あたしはどう答えていいのかわからなかった。
部外者。
その言葉にひどく傷ついた。
あたしは優ちゃんにとって・・・・・・。
視界が滲む。
悔しくて、情けなくて。
涙なんて、泣きたくなんてないのに。
あたしのやったことは見当違いもいいところで結局、また自己満足。
緑川君の言ってる事、良くわかる。
あたしは関係のない緑川君でさえ傷つけているんだ・・・・・・。
「ちょーーーっと!! やりすぎ!!」
教室の後ろの方から大きな優ちゃんの声が響く。
「緑川!! さーちゃんいじめてどーすんのよ!」
「そうだぞ! 聞き出すだけだって言ってただろ!」
「そうですよー! 泣かせるなんてひどいです!」
帰ったはずの3人の声が教室中に響きだす。
どうして・・・・・・?
あたしはゆっくりと振り向くとそこには確かに雪ちゃん久美、そして優ちゃんの姿があった。
「ごめんね」
緑川君があたしにポケットティッシュを差し出す。
「どういう・・・・・・こと?」
「ごめんね、さーちゃん」
優ちゃんが駆け寄ってきてあたしの目からこぼれた涙を拭いてくれた。
「さーちゃんが何か悩んでるみたいだったから緑川に聞き出してくれって頼んだの。だってさーちゃんちっとも話してくれないから」
「じゃあ・・・・・・」
あたしは緑川君を見る。
緑川君は複雑そうな顔で笑っていた。
「まさか、あたしの事で悩んでたなんてショックだよ! さーちゃんのせいなんかじゃないし、さーちゃんに傷ついてほしいなんて思ったことないよ! ばか!」
優ちゃんはあたしに抱きつく。
「やだな、だから嫌だったんだよ。悪役になるってわかってたし」
緑川君が面白くなさそうに呟く。
「緑川君は優ちゃんに言われて・・・・・・」
「それもあるけど、僕も避けられてる原因を知りたかったし」
「緑川なんてどうでもいいって! あ〜ん、さーちゃんのばかー! ごめんねごめんね」
優ちゃんは強く抱きしめてきた。
「くっ・・・・・・苦しいって」
「あ、ごめん」
「よかったです〜。これで解決ですよね」
「だなだな」
4人で笑いあう。
は〜っと大きなため息が聞こえて緑川君を見る。
「これからもこうやって澤田さんはおかしな思い込みで振り回すんだろうな〜。しかも、松田さんたちと天秤にかけらて、いつも捨てられちゃうのかな〜・・・・・・」
「情けない声ださない! そんなのわかってることでしょ。だってあたしたちはずっと一緒なんだから、ね〜」
優ちゃんが満面の笑みで言うと雪ちゃんも久美もそれに答える。
「やっぱり僕の敵は澤田さんの友達だね」
緑川君は困ったように優ちゃんを見てからあたしに微笑みかける。
「ごめんなさい」
あたしは小さく呟く。
「でも、希望がないわけじゃないし。それまでは我慢だね」
「うっわ〜! 自信家! 最悪ーっ」
「松田さんに言われたくないけどね、さっきまでお願い〜って泣きついてきてたの誰だよ」
「あれは緊急事態だから! そもそもさーちゃんは頑固なのよ。この硬い口を開かせるのはなかなかできるもんじゃないんだから」
あたしの口をひっぱって優ちゃんは笑う。
「じゃあ、開かせた僕は合格?」
「問題外にきまってるでしょーが!」
優ちゃんはケダモノから守るように緑川君からあたしを遠ざける。
「泣かせたからな・・・・・・」
「泣かせちゃったらだめですよね〜」
久美と雪ちゃんがヒソヒソと言い合う。
あたしはおかしな光景におもわず笑ってしまった。
涙はいつの間にか消えていた。
突然、優ちゃんの腕の中にいるあたしの耳元で緑川君が囁く。
「澤田さんの気持ちがいい加減でも変えてみせるから」
!!!
ボンッと一気に顔が赤くなる。
「こら! 緑川!!」
優ちゃんの振り下ろされた拳をひょいっとよけると。
「じゃ、またね!」
と緑川君は笑顔で教室を出て行った。
「きゃー! さーちゃんしっかり〜」
「大丈夫か!?」
「しっかりですよー」
あたしはボーっとする頭の中で優ちゃんの言葉を思い出す。
あたしたちはいつも一緒。いつだって一緒なんだ。
いままでも。
これからも。
そうだよね。
たとえ、みんなが恋をしても・・・・・・。
いっしょなんだよね。
優ちゃんの言葉であたしは何かから解放されたような。
新しい何かを見つけたような感じだった。
※下にあとがきと次回予告がひっそりとあります。
(あとがきパスな方用に見えないようにしています。
■あとがきという名の懺悔■
本日もご来場ありがとうございます!
これでやっと期末テスト部分終わりで、これからなんだっけ・・・・・・と。
あらすじノートとにらみあう日々です。
二日に1回の更新になってしまったのは睡魔もありますが。
他の方の、特に大好きな方のお話が読めなくなっているのが辛くて・・・・・・。
感想とかバシバシいれてお返事いただくのがすごくうれしくて♪
ただ、登録してるくせに一般読者を装って感想とかいれちゃってる方もいるので
あたしの文を読んでいただくことはないんだろうな〜と。
いや、そのほうがいいんですけどね。
たとえ名前入りで感想があってもお返しとか恥ずかしすぎですし。
さて次回♪ ☆25☆ 向かってくるもの
この時期って三者面談でしょ〜。という事で三者面談です。
そして衝撃の!! な〜んて何にもないんですけどね・・・・・・。




